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先天性耳瘻孔の話2

44歳初夏、35年ぶりの再発


高校生のときの手術以来、30年近く経ってから、まさかまた耳に悩まされるとは思わなかった。結局GW最終日、奇跡的に近所の耳鼻科が外来診療をやっているとのことで、行ってみた。そこから、抗生剤をまたいろいろと試すことになった。
なかなか効く抗生剤が見つからず、クリニックの入ったビルの1階はドラッグストアで、そこで処方薬をもらっていたが、そこの薬剤師も1週間ごとにちがう抗生剤の処方箋を持ってくることに疑念を持ったのか、根掘り葉掘り聞いてくる。一から説明する気力もなく、のらりくらりと薬剤師の質問から逃れていた。

実は私も薬剤師

私も実は薬剤師であるが、患者に根掘り葉掘り聞くことは良しとしていない信条だ。かつて勤めていた薬局でも、薬剤師は処方箋からその患者の病状を推測し、患者の話や過去の薬歴と矛盾がないかを確認する。必要なこと以外を聴収する必要はない。ましてや、興味からズケズケと病状などを聴く必要はない、と教育された。今思うと本当にいい教育を受けたと思う。
軽く5、6種類の抗生剤を試しただろうか。ようやく、少しは効くか?という薬に到達。それが、「ファロム」であった。赤黒く腫れあがっていた耳介部は、ようやく赤みがひいてきつつあったが、ただ、完全に腫れや痛みが治まることはなく、次に試したのが、いわゆる「オグサワ処方」だった。

オグサワ処方とは
オーグメンチン配合錠(アモキシシリン250mgとクラブラン酸カリウム125mgの合剤)に含まれているアモキシシリンを高用量で使うために、アモキシシリンを別で追加処方。クラブラン酸カリウムの副作用を抑える目的で、単純にオーグメンチンを倍にはしない。


えっこれって…アモキシシリンがダブってるよね?こういう使い方って初めて知ってドラッグストアの若い薬剤師に今度は私のほうから聞いてしまった。いろいろ教えてもらって楽しかった。薬剤師の仕事から離れてだいぶたって、本当に勉強になった。医学も薬のことも、日進月歩だなぁと感じた日だった。

しかし、この「オグサワ処方」を初めて数日後、私は、娘の体育祭を見学するために、半日ほど、日の当たる屋外で過ごした。帰宅後、腕といい、首といい、日が当たっていた場所が赤くなり、じんましんが出ていた。光線過敏症か?と脳裏をよぎった。(続く)

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