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地球星人の「続き」。

*ネタバレあり

だいぶ前に読んだ、村田沙耶香さん著作「地球星人」が、なんだか最近またじわじわ自分の中で来ている。

彼女の作品は、今までに「コンビニ人間」と上記の二作品を読んだ。
「コンビニ人間」は、母親に薦められて読んだが、一回目、その良さがまるでわからなかった。
これで、賞をとったのも理解できなかった。
しばらくして、再読。
なんか、「おもしろくないか!?」と、どっかでスイッチが入った。
そして、このストーリーで二次創作したいくらい好きになった。

「地球星人」もそうだけど、私にとってこの二つの村田作品は、本を読み終わった後のストーリーを考えさせずにいられなくなってしまうほどの魅力がある。
本を読了して、『ハイ面白かった!』 だけではない、「ハマる」何かがある。

「地球星人」の場合。
村田沙耶香さんは、本での物語が終わった後も、ナツキの人生をちゃんと設定していたのではないだろうか、そして、その描かれていない「ラスト」こそ、ナツキの復讐なのではないだろうか、というのが私の最近の新しい考察だ。

話は逸れるが、他の読者はどんな感想を書いているんだろうと、ネットで調べると、意外と物語は「ナツキの妄想」とか「ナツキは殺していない」とか、妊娠についても本当に妊娠したと思っている人が多く、驚いた。

私は、村田沙耶香さんは、ああいうストーリーを書きながら、実は地に足がついている人だと(勝手に)思っている。というか全てが妄想でした、という物語ほどつまらないものはなくないか?
村田さんは、リアルとあっちの世界ギリギリの境界で生きる人たちを描くのが、とても上手だと、私は(勝手に)思っている。

そういうわけで、私の考察『ナツキの復讐』に行こう。
まず、ああいう衝撃のラストを迎え、物語は終わっている。
で、その後日談だ。
ナツキはじめ、三人は既に完全に「あっちの」人になっている。
なので、裁判になっても、要精神鑑定→責任能力が問えない→無罪という路線は確実である。
しかし、ナツキを虐めていた母親や姉は?
こちらはもう「殺人者の家族」のレッテルを貼られること間違いなしだ。
社会的に抹消されるのは容易に想像がつくだろう。
姉や母親が一生地獄をみる。
私はそんな想像に至り、溜飲が下がった。
まあ、これは個人の想像の域を出ない。
しかし、本には綴られないが、その綴られない部分を含めての、あの物語の運びだとしたら、設定の奥の深さに心の底から感心させられてしまう。

ちなみに、このストーリーのテーマでもあり得そうな(この本のテーマは読んだ人それぞれ違いそうな気がする)「蚕」だが、
このモチーフにも村田さんの何かのメッセージがあるのでは、と思い、調べてみた。
すると、蚕は羽があっても飛べない、そして、幼虫は白くて自然界では敵に見つかりやすいので、人間に飼われるしかない『完全養殖』なのだそうだ。

蚕は孵化し、幼虫になって繭を作る。
成虫になると卵を産みつけ、10日ほどで死んでしまう。
結局、蚕は「繭」を作り(仕事)、そして卵を産む(繁殖)するだけの存在だ。
なんだか、この蚕も「地球星人」を表しているような気がするのは、ちょっと深読みしすぎだろうか。

ネタバレしっかりしましたが、
まだ手にとっていない方、秋の夜長に、『地球星人』はおすすめです。
(グロいの苦手な方は無理かもです)

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