2023年8月の記事一覧
rewrite今昔物語 第三話
藤次に馬を任せ、七郎は屋敷の中に入った。日は西に傾いているとはいえ、何故か部屋の中は薄暗い。雨戸も閉め切っているわけでもない。
そして外より空気が冷んやりとしている。むしろ肌寒いくらいだ。七郎は、確かに藤次の言う通りだ、妙な雰囲気の屋敷だ、と思った。
屋敷の中を一通り見て回り、かつてこの屋敷の主人が寝ていたであろうと思われる部屋を今夜の寝所とする事に決めた。
埃っぽい部屋ではあったが、贅沢は
rewrite今昔物語 第四話
ようやく眠りにつこうとしたその時、部屋の隅からカリッカリッ‥と何かを引っ掻くような音が聞こえてきた。七郎は何だ鼠か、と思っていた。
カリッ、カリッ、カリッ‥段々と音が大きくなってきている。
七郎は明かりを持ち、音のする方向を照らしてみる。部屋の片隅に匣(はこ)が見えた。部屋に入ったばかりの時は全く気づかなかった。闇に紛れるように置かれている匣。大きさは馬に付ける鞍が収まるくらいか。しっかりした造
rewrite今昔物語 第二話
七郎達は今夜の寝所を探し街道を進む。完全に日が落ちるまでそんなに猶予も無い。
暫く進んでいると、大きな屋敷が見えてきた。どうやら廃屋らしい。大きな門に沢山茂った樹木が覆い被さっている。
何とかこの屋敷で夜露はしのげそうだな、藤次。ちょっと中に入って様子を見て来てくれないか?と七郎は言った。
分かりました若様、わたくしが調べてまいります。そう答えると藤次は荷物を地面に置き、武器のみを携え屋敷に
rewrite今昔物語 第一話
今となってはもう昔の話になります。ここより遥か東より、京に向かう若者と彼に仕える従者がいました。
名前が無いのも不便なので、若者の名前を七郎(しちろう)、従者を藤次(とうじ)と呼ぶ事にしましょう。
七郎の目的は京への留学。都で多くの事を学ぶ為に従者の藤次と遥々東国から旅をしています。
長い旅も終盤に向かい、やっと近江国(現在の滋賀県辺り)までたどり着いた二人。
東国からの玄関口である勢田橋
持ち家ってなんだろう。
こんな話を聞いた。とある商社に勤務していたHさんの話。妻と二人の娘の四人家族。
地方から都会へ出てきて賃貸のマンションに住んでいた。Hさんの夢は土地付き一戸建て。
そんなHさんは頑張って働いて都会に土地と家を買う事が出来た。希望通りの家だ。
しかし、ここで転勤する事になってしまう。娘達もまだ幼い。ローンはまだ返し終わらない。
妻とも相談したが、頼る身内もいない都会で母子三人で暮らすなんて嫌
狐の嫁入り、あるいは天泣(てんきゅう)
狐の嫁入りって知ってますか?天気が良いのに雨が降ってくる気象現象。
日本各地で呼び名が様々あります。日照り雨(ひでりあめ)・日和雨(ひよりあめ)・戯雨(そばえあめ)・天気雨・涙雨など。
「狐」〜で表す言葉だと、狐雨・狐の御祝儀・青森県だと狐の嫁取り、千葉県だと狐の祝言となるらしいです。結婚絡みの名前多し。
私が好きだなって思う表現は天泣(てんきゅう)です。天の流す涙‥詩的ですね。
伝承では