「モンストロマン」が完結して

 小説が終わる瞬間って、とんでもなく多幸感があるんですね。
 今回が初めてなので、毎回そうなるかは分からないけど、書いた後で「何も手につかない」放心状態になりました。
 本当に今何をしていれば良いのか分からなくなってしまって。普段はそんなことしない癖に、ベランダに出て星を眺めたり、引っぱり出してきたCDのジャズを聴いたりしました。一時間ぐらい、星を眺めていると「人間どうしようもなくなると空を見上げるのか」という、毒にも薬にもならないような感想が湧いてきて。一人で笑いはじめるような有様でした。

 小説を完結させた。これ実は人生初の快挙だったりします。
 今まで生きてきて、何かを始めることは沢山あったけど、ちゃんと最後までやり遂げたことが一度もなかったので。何かを成し遂げても、その喜び方が分からず。不器用に呆けていたのが昨日の自分なのかもしれません。


 あ、小説の話をまったくできていない!

 さて、(強引な司会進行)「モンストロマン」ですが、これはどんな話なのか自分でもよく分かっていません。ジャンル・カテゴリにしても、ファンタジーかと言うと中途半端で、童話といえば納得できるような……、そしてハードボイルド的な要素も雰囲気としてはあったりなかったり。結局分かんないですね。何だこりゃ?

 なんで作者がそこら辺を把握できてないのか、それは「無計画に初めて、無計画に書いたから」です。
 僕が憧れている小説家に「森博嗣」という方が居て、その方が小説作法本の中で言ってた言葉なんですけど。「自分はプロットを一切書かない。タイトルを決めたら後は書くだけだ」みたいなの。執筆を始める前にこれを読みまして。
 で、僕は非常に影響を受けやすい男。すぐに「モンストロマン」というタイトルだけを決めて書き始めました。設定等は何も考えず、手の動くままに……

 そうして完成したのが、自分でもよく分からない例の小説です。思いつくままに書いた結果として、伏線らしきものを三つも回収し忘れて終わりました。かのレイモンド・チャンドラーですら、時々はやらかしたようですが。彼の場合は長編小説で一回。僕の場合は中編小説で、三回も。言い逃れできませんね、野球ならスリーアウト交代です。
 言い訳をするつもりが、自分の首を絞めてしまいました。(蛙の首ってどこでしょう?)

 タイトルが「モンストロマン」。きっと怪物の話なんだろうなぁ、と安直に考えました。で、怪物は怪物でも、疲れた子供みたいな性格だったら面白いかな──、からの主人公「モンストロ・ジャック」誕生。
 元々人間だったなら、過去が必要だろうということで彼をスカンディナヴィア人の元ヴァイキングに設定しました。なぜ、ヴァイキングにしたかと言うと。時代の変化で失う価値観が大きそうだな、と思ったからです。戦いと略奪、そして死を求めるような人間には現代が地獄に感じるんじゃないかという発想でした。信じていたものが劣化して、求めていたものが手に入らなくて……、みたいな地獄。僕はそういった残酷な話が少しだけ好きみたいです。性癖なんでしょうか?

 最初の思いつきに重点を置くなら、一人の男が苦しみ続ける虚無みたいな話になるはずでした。でも、そうならなかったのは相棒が居たからですかね? たぶんキティが居なかったら、とことん暗いだけのハードボイルドになってました。
 書いていくうちに段々と主人公に対して愛着を持てたのも、彼女が彼に話しかけてくれたからです。登場人物を愛せなかったらどうしよう? という悩みがあったので、そこは僕にとっても救いでした。ありがとうキティ。

 最後に、モンストロマンに対する後悔が一つ(本当はもっと沢山)。主人公の二人を幸せに出来なかったことです。全ての物語がハッピーエンドで終わるべきだとは思いませんが、それでも僕の書いたラストは何か足りないだろう、という感覚が残ります。
 次は、西部劇? SF? 学園もの? 何を書くかは分かりませんが、それでもとにかく、今度こそは納得のいく結末にしたいです。

 なんかもう、キリが無いので終わります。自分の書いたものについて話すのは照れるし恥ずかしいですね。


/*やってるうちに、noteで更新しなくなってましたが、そのうちカクヨムから引っ張って来ます。今は学校の課題が忙しいと言い訳を……)*/

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