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よの20 とはいえ

5年振りに友人と偶然ばったり遭遇した。
友人といっても、それほど親しかったわけではない。

以前同じ職場で隣の課だった、知ってはいるという程度の関係。

そんな微妙な間柄の友人と、プライベートで、しかもちょっとレアな場所で、しかも5年ぶりに偶然逢った。

私は妻と二人。
友人は奥さんと2,3歳くらいのお嬢さんの三人。

友人と私は目が合い、お互い思わず小さく
「あ・・」と声を出した。

一瞬、間があったが、

「あれあれあれ。どうして?」
「いやいやいや。久しぶり!」

二人とも同時に驚きの声をあげた。

5年振りに出会った驚きと、何故こんなところでという驚きとの相乗効果で、思いのほか声が出た。

するとお互いの奥さん達も、よく分からないながらもそれに共感して、一瞬わーっと場が盛り上がった。

「いや~、びっくりしたよ!」と私が驚くと、
「とはいえ、全然変わってない~!」と友人はさらに驚きの表情を見せた。

意外な盛り上がりのなか、私は友人の奥さんを横目で見ながら、

結婚して、子供までいたんだ、という驚き。そして彼の私生活を初めて垣間見た新鮮な驚き。そして以外と綺麗な奥さんだなという驚き、そして逆にそもそも、それほど親しくなかったのに、これだけ盛り上がれるんだという驚きと同時に、こんなに驚いている自分にも驚いた。

様々な思惑の驚きの相乗効果で予想外の盛り上がりとなった。
通りかかった見知らぬ人達も何事かと横目で見ながら、そして微笑ましい表情で通り過ぎていった。

「とはいえ、元気そうでなにより」
と友人が言った。

友人も元気そうだし全然変わってない。

ただ。
関係ないけど、とはいえ、という言葉を連発してきたのがちょっと気になった。


一瞬わーっとなった盛り上がりも、
(もともとそれほど親しくないから)すぐに会話が続かなくなり、急速な盛り下がりを察した私は、

「じゃあ、また・・」
と、(また逢うかどうかもわからないけど、)別れを切り出した。

すると、友人は、
「とはいえ、また」と言った。

とはいえ、またって何?と思ったけれど、友人の子供に焦点を切り替えて、「またね~バイバイ」とお互い手を振りながら別れた。

別れた後、妻が、
「知り合い?」と聞いてきた。
「うん。前の職場で一緒だったんだ。違う課だったから、そんなに親しくはなかったけど」
「ふーん。なんていう人?」

あれ?


う~ん。
思い出せない・・。



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kawawano


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かわわの
小さな喜びの積み重ねが大きな喜びを創っていくと信じています。ほんの小さな「クスッ」がどなたかの喜びのほんの一粒になったら、とても嬉しいなぁと思いながら創っています。