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頼れない。それは何より、プライドのため

 人に頼れないのは、責任感のためでも、迷惑をかけることへの申し訳なさのためでも、ましてや何を頼れば良いか分からないためでもなく、プライドが許さないからである。
 どんな人にでもプライドはあって、それは自分を大きく見せたいという欲望だ。この欲望は協力よりも独力を信奉していて、1人でやることによるメリットを過大評価して考えてしまうのだ。
 結果、複数の人の協力によって何かが成し遂げられることよりも、1人の力でそれができることを重要だと思い込む。たとえ協力によってより良く、より早く成し遂げられるのだとしても、その結果ではなく、自分自身の独力によって「何かを為している」、その過程を評価する。
 なぜならプライドだからだ。
 人はそのかたまりであって、本当は、どんなことでも自分が成し遂げ、手柄にできること、そしてそれを褒め称えられることを望む。
 本当は協力して為すことのほうが、早く、正確で、しかもより良いとしても。

 独力への憧れ。そしてプライド。誰にも頼れない、頼りたくない。合理的ではないが、このように「個」にこだわることこそ、人間としての当たり前の感情の1つである。
 それを否定することはできないが、しかし、事実として私たちは自分のプライドのために、他人に頼ることがすぐにはできないのである。

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