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物語化する人生の幸せ

 物語のある人生は幸せなはずである。なぜなら物語とは人生に芯を通すものだからである。つまりそれが創作物のことでない時、それはある物事の生まれから終わりまでをまとめあげる、すっきりとした枠組みとして機能するのだ。
 そのようにまとまったものはブレがない。揺れない。
 揺らがないということは、それは迷うことがない。少なくともその最初に決めたテーマを一貫することによって、物語がある物事は変わらない質を保ち続けることができる。

 だから、人における物語も同じである。
 その人生が幸せだと言えるのは、物語によって決められた軸を守ることで人生の質を保てるからだ。あるいはそれが変わるとしても、「人生の軸を変える」という物語として、自分を納得させることができる。
 特にこれは、精神的な安定には大きい。つまり人生などいくらでも変わってしまうし、思い通りにいかないことは往々にしてある。でもそれを、そういうものとして一貫できるのが、物語なのである。
 それはある種の強さであり、生きることの頼りとなる。だから幸せなのだ。その人生は物語によって補強される。物語という枠組みによって。

 もちろんそればかりが人生の幸せではないが、少なくとも幸せな人生は物語が提供できる。そういう仕組みとして、私達は「物語のある」ことを目指すのも悪くない。

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