AIに物語づくりを聞いてみた
1.AIは創造力のパートナーたりえるのか?
イラストのみならず「物語作り」のパートナーとして、近頃AIはよく使われるようになっている。しかし、実際のところどれくらい役に立ってくれるのかに関しては、疑問の声もある。
アドバイスを求めても支離滅裂だったり、通り一遍のことしか返してくれなかったり、つまり、人間の持つ創造力に寄り添えないことが多々あるようなのである。
そこで1つ、AIに「物語の作り方として、キャラを重視するのか、ストーリーを重視するのかどちらがいいのか」ということを尋ねてみることにした。
2.「キャラかストーリーか」へのAIの回答
1. 登場人物を重視した物語描き方のメリットとデメリット:登場人物の深くて強固な関係性を作って聞き手を引きつけることもできるが、ストーリーはおおよそ停滞してしまいます。
2. ストーリーを重視した物語描き方のメリットとデメリット:ストーリーラインが新鮮で盛り上がりやすくなりますが、登場人物が深く描けないことがあります。
3. ストーリーと登場人物をバランスよく物語描き方の場合、すべての要素を満たせる可能性が上がり、聞き手の興味を引きつけやすくなります。
4. Aha!体験をもたらすために、まずはストーリーを極力新しく、刺激的なものにしてみましょう。
5. Go WILD, Go Boldな表現を登場人物に加えて、どんな反応を演出していくかをテストしてみると良いでしょう。
3.最初の3つに関して
登場人物を重視すること、そしてストーリーを重視することのメリットとデメリットを述べつつ、最終的には「どちらもバランスよく取り入れた方がいい」というような当たり障りのない結論に至っている。
これについては、実際のところは正しい。大抵の場合、物語を作り出すという時には、作者の頭の中にあるシーンが思い浮かび、そこから創作が始まることが多いからである。そのシーンだけを見ると、ストーリー展開もキャラクターの魅力も申し分ない。
しかし、必要なのはそのシーンを全体の中で成立させ、他のシーンとうまく結合し、そしてある程度の長さの物語としてまとめきることである。それをするためには、物語のある箇所ではキャラクターの関係性を深く描くことも大事だし、また別の箇所ではストーリーラインへの意識が必要になることもある。
4.残りの2つに関して
問題なのは、この2つのアドバイスである。どうやらAIは、ストーリーには「アハ体験」が、キャラクターには「Go WILD, Go Boldな表現」が必要だとおすすめしているようである。
アハ体験とは、「ああ、そうか!」とひらめいたりする際の脳の働きのことであり、AIはこれを驚きとか新鮮味といった意味に解釈したようである。
つまり、ストーリーでアハ体験を引き起こせるように仕掛けを施せというアドバイスである。ただし、AIが言うように、「ストーリーを極力新しく、刺激的なものにしてみ」るというだけでは不充分で、どちらかというと伏線回収とか、予想だにしない事件の解決方法とか、トリックとか、そういうのをストーリーに組み込むことを目指すのが良さそうである。
最後の1つ。「Go WILD, Go Boldな表現」とは「突飛な、大胆な表現」ということになると思われる。これをキャラクター達に適応してみて、その反応によってキャラクター性を深掘りしていくということだろうか。
要するに、キャラクターを落ち着かせるなということである。冒険させて、あるいは非日常においてその反応をちゃんと見るのだ。すると、ありきたりでない生きたキャラクターが作れるし、そのキャラクターのこともよくわかる。
5.AIのアドバイスする物語の作り方
総じて、ストーリーにせよキャラクターにせよ、「ありきたりでないこと」や「落ち着いてしまわないこと」が、AIには大切なことらしい。
それは確かにそうである。
リアルとリアリティは異なる、という言葉もあるように、創作物というのはわざわざそれを人間が作り出し、そして人間がそれを楽しもうとするために受け取るのである。ならば、この世によくあるものではダメなのだ。かけ離れすぎると理解できなくなるから良くないが、むしろ理解できるギリギリならば、どれだけ突拍子がなくても、めちゃくちゃでもいい。
物語作りとは、その「非日常」を提示するものだから、AIの言わんとするところとは、この現実にとらわれずに、ストーリーもキャラクターも、きちんと「アハ体験」そして「突飛で大胆に」を目指そうということなのだ。
そう考えるとAIのアドバイスは、中々に参考になるところがあったと思われる。
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