誰かに口出すことをやめられないのは
別にそんな絶大な影響を他者に与えられるわけでもないのに、他人をコントロールできるはずもないのに、不毛にも他者へ口を出すということをやめられないのはなぜだろうか。
立場上、役職上、なんらかの使命感……様々な動機はあれどそのどれだろうとも、とにかく私達は自分のおかげで他人が動かされたという事実に、喜びを見出すものである。それがゆえに、口を出すことをとめられない。人によって多かったり少なかったりするかもしれないが、とにかくそのようにして、他者とかかわりを持ち続けるように作られた人間という存在は、誰かに口を出すことをやめられる気がしない。
SNSというものが定着するにしたがって、それはより顕著になった。というよりも、すでに私達は近くの誰かよりも、遠くで活動する会ったこともない人のやることに物申すことの方が、もしかしたら多くなっているくらいだ。それくらい私達の言動の中心は「口出し」になっている。
口を出さずにはいられない。批判も否定も、肯定も何もかもを含めて、私達は他人の何かをきっかけに、それに口を出すことを始まりとして活発化し、衣食住とは全く関係のないエネルギーをそこに注ぎ込んでいる。そうすることが1つの生きることの証であるかのように、私達はそれをやめられない。生き生きと、他人に口を出す。他人のやることを皮切りに色々なことが始まっていく。
現代の人間には、口を出すことを抜きにしては存在しえない、とても他者依存の生き物である。
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