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利と情はどちらが大事なのか?

 利益になれば何でもやっていいと、堂々と言う人はいないがそう思う人は多い。それは同時に、利益のためならば「情」など持ち合わせる必要がないということを言っているに等しい。
 目の前に困っている人がいるとして、もしその人を助けるには自分が損をしたり、あるいはなんのお礼も約束されていないのならば、助ける必要がないということである。

 現代は情よりも利の時代である。
 それが正しいということではなく、「まかり通っている」という意味だ。だから私たちは利を優先しないのは馬鹿だと思っている。そして情は弱者の道具であって、振りかざしてもなんの得もないものだと。
「損得で人生を計る思考」は、しかし誰によって作られたものだろうか?実際のところ情によって得られるものは多いはずなのに、私たちはいつの間にか利に注目することを当然としてしまった。それは、誰か分からない誰かの作ったルールによるものだ。
「利」というのは分かりやすい。つまり目に見える。私たちは目に見えるものを信じてしまう。だからそうでない「情」を蔑ろにする。
 でもそれは「ある」ものだ。
 人間は特に、情によって動く。そのことを忘れて「利」にばかり注目してしまうのは、まさに時代という大きくよく分からないうねりに飲み込まれていることと同義だ。
 それよりも私たちは、自分と、目の前にいる人々が情を持つ存在であることを忘れぬようにしたい。

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