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女もなく粗末な食事と安い酒で雑な夜を過ごす他ないという悲しみ
酷く疲れたが誰もいない部屋で他者の労りなどあるはずもなく金がないから残業であっても自炊しなければならない。
やる気がない。身体が重い。これはまずい。
もういいや開けちゃおうと買ってきた安ウィスキーをタンブラーに注ぐ。喉から胃にかけて熱が入り活が湧き上がる。あぁ身体に悪い。しかし飲まねばやってられん。
フライパンをコンロに置き具材を投入。レシピはない。適当に炒めた肉と野菜はもはや餌。フライパンのまま卓に置き箸で突く。学生の頃から変わらない横着な食事の摂り方と下品な酒の飲み方が憐憫を誘うが考えたところで仕方がない。どうせ死ぬまでこのままなのだから、悲しむよりも諦めよう。
だが、そうはいっても寂しい時がある。伴侶が欲しいと思う日がある。温もりが恋しい夜がある。
ウィスキーを煽る。タンブラーが空になる。ウィスキーを注ぎ煽る。タンブラーが空になる。
いかん。明日も仕事だ。控えねば。
携帯で犬の動画を視聴して心を落ち着ける。せめてペットでも帰ればいいのだが、この安普請は動物禁止だ。まったくままならない。
……三十代のOLか俺は。止め止め。飲もう飲もう。
女より犬より何よりも、沢山の酒と、沢山の酔いだ。