小説の書き方講座⑦【語感とリズム】なぜか合う文字と合わない文字
お~っす!千夜特急という旅小説を書いた川島です!
今回は第7回、勝手に小説講座をしていくよ。
え、まって何それ?って人はこちらの記事から。
今日のテーマはズバリ語感!
なんか、響きがいいなって文章と、嫌なんか語呂悪くね?って文章がこの世には存在する。
今日はそんな語感と音のリズムについて、
超勝手に解説していくよ!ではいこう!!
※この講座は小説講座や小説教室に通ったことのない僕が、小説を読んだり書いたりしながら文章について考察したものを主観的に語る場ですので、その点ご了承ください。
文字の持つ語感
まず先ほどのヘッダーの絵を思い出してほしい。
あの歌手のように、響きがいい音というものが、この世には確実に存在する。
これは意識していない聞き手からしても、なんとなく語呂がいいという風に認識できる。
そして語感をうまく使いこなす人もいれば、語感をうまく使いこなせない人もいる。
ただ面白いことに、
語感を文章でうまく使いこなせない人だとしても、語感がいいか悪いかはわかる。
そしてまた困ったことに、
語感を文章や会話で使いこなせる人だとしても、何がいい語感なのかを説明することは難しい。
そこで言葉のセンスがある。言語化がうまい。などという表現になってしまうのだが、今回はあえて、そこの語感について少し考えていこうと思う。
では早速だが、次の文章を見てほしい。
①見ざる、言わざる、聞かざる。
②隣の客はよく柿食う客だ。
③昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
こういった文章を見たことがあるだろうが、これはどれもその語感が素晴らしい。
これをたとえば、
聞かざる、言わざる、見ざる。言わざる、聞かざる、見ざる。
という風に入れ替えてみても、
やはり一番語呂がいいのは、
見ざる、言わざる、聞かざる。で間違いない。
ならば、文字数を3、4、4にしてみるとどうだ?と思った人もいるだろう。
そうすると、
見ざる、聞かざる、言わざる。となる。
悪くはない、しかし、見ざる、言わざる、聞かざる。
この本家には少し語感が及ばない。
だから、見ざる、言わざる、聞かざる。これが並び変えても、やはり一番語感がいいということになる。
では②についてはどうだろうか?
隣の客はよく柿食う客だ。
これを入れ替えてみよう。
よく柿を食う客は隣の客だ。これはそもそも文章としておかしい。
なら、こうも考えられるのではないか。
隣の客はよく柿を食う客だ。
文章としてはこちらが正しい。ただ、語感としては
「を」をつけない方が気持ちいいのだから不思議なのだ。
何の話やねん?と思わず、落ち着いてそのまま③にいこう。
では、最後の例として
③昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。を見ていこう。
まず、昔を二回も繰り返している。これも大昔にはね、なんていうことを強調したいのではなく、音の語感をよくしているに過ぎない。
そしておじいさんとおばあさんを入れ替えると
昔々、あるところに、おばあさんとおじいさんが住んでいました。
なんか違和感あるよね。いや、あるのよ。あってほしいのよ。
今までの講座の中でもかなりの難易度である語感。これらの文章が響きのいい理由をセンスではなく、理論として分解してみたい。
その時に最重要となるものが母音だ。
母音ってなんやねん?って人はいないだろうから省略するが、
それぞれの音が持つ母音に注目してほしい。
①見ざる、言わざる、聞かざる。
②隣の客はよく柿食う客だ。
③昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
見ざる、言わざる、聞かざる。
みぃざる、いわぁざぁる、きぃかぁざぁる。
隣の客はよく柿食う客だ。
とぉなぁりぃのぉきぃやぁくぅわぁ、
よぉくぅかぁきぃくぅうきゃぁくぅだぁ。
③昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
あるぅとぉこぉろぉにぃ、おじぃいさぁんとぉおばぁさぁんがぁ、すぅんでぇいまぁしたぁ。
さぁ、もう完全に頭がパンクしてきたことと思います。
もういいでしょう。
いーいーあ。
この母音を持つ文章に、なぜか、日本人はいい響きを感じます。
なにを するに しても いけません ね。
なにを するに しても、あきません なぁ。
ホントかよ。って人は、区切る場所を間違えずに文章を作ってみてください。
僕は 木の下で 彼女を 待つ。
きぃ まぁ
僕は 木の下で、静かに 彼女を 待つ。
きぃ しぃ まぁ
みたいにね。
個人的には、こういう文章語感図鑑みたいなものがあったらいいのにって思ったりもする。
僕がそうやって語感のいい文を考えたり読んだりしているうちに、いくつか発見した語感のうちの一つがさっきも言った「いーいーあ」だった。
もちろんパターンは絶対にこれだけではない。
ただ長い説明と文章で頭がこんがらがっているかもしれないけど、ここでわかってほしいことは、
語感の響きがいいものは、必ず母音が関係しているということ。
だからラップとかでも響きがいいなってものは必ず、韻を踏んでいる。
それは、ふとん、ふっとんだ。みたいな直接的な韻ではなくて
さっきみたいな、いーいーあーみたいなもの。
それを韻という風には聞いてて感じとれないとしても、
やっぱり語感が良く感じるのは、独特の母音の重なりがあるから。
だから、読むときや書くとき、
この文章ぴったりだなぁ。はまってるなぁ。
そういう語感があれば、その文章を分解して母音を見てみたらいい。
もちろん、きちんと文節で区切るのは言うまでもないことだよ。
そこから、いーいーあ以外の響きのいいものが見つかることもあるはずさ。
まぁ、ここまで書いて思うのは、やっぱり言葉ってあくまでも言語だから。
だから、それを説明するのは母国語の人にはとても難しくて、
それを感覚的に書ける人の方が、やはり文章を書く上で楽なのは間違いない。
でもどんな人でも語感とリズムがいい文章の母音を意識することで、
その感覚がしみこんでいくから、その練習が小説を読む際や、書く際にも重要っていう話でした。
いやぁ、今日のNoteは難しくなっちゃった。
僕も分析していくつか発見しただけで、全部はわからないしね。そして、実際はそこまで意識しなくても、語感がいい文章かどうかくらいはわかる。だから、これはあくまでも書き方というよりは、書くときに役立つ意識のもっていき方という感じかな。
次回はもう少しわかりやすい話にしようかな笑
そのほうが読む人にとってもいいよねきっと笑
あ!それと、
僕が語感を意識して書いた本で、千夜特急っていう本があるんだけど、
全6巻中、現在1巻を無料公開中だよ。もし良かったら、読んでみて、楽しんでもらえたら嬉しい。
次は何を書こうかな。
小説講座を意識して短編小説も書いているから、もしよかったらのぞいてみてね。
ではではしーゆーねくすとたいむ!
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