濃いサングラスは目に悪い?/専門性と話題性による誤解

こんばんは。最近、急に暑くなってしまい服装に困っております。この時期は、そろそろサングラスでもと考えるかた、多いと思います。メガネの販売員をしていて、この時期に良く聞かれる質問があります「濃いサングラスは目に良くないんでしょ?」

今回は、この質問について考えてみました。メガネ店に勤めてはいますが、いち消費者として、色々と考えさせられました。

▼目次
濃いサングラスは目に良くないのか?
専門性と話題性による誤解
まとめ

濃いサングラスは目に良くないのか?

私の考える答えは「濃いサングラスは目に悪くない」です。
眩しさをしっかり抑えてくれるので、日差しの強い時にはとても活躍してくれます。ではなぜ、この誤解が生じたのでしょうか。

ここで、一応、前提条件を考えてみますと

目に良くない  紫外線が目に入って良くない

当たり前ですよね。すみません(汗)。この前提で考えると“色が濃くても紫外線をカットしたレンズなら目に悪くはない”となります。

ただし、ここでもう少し考えてみると、これはメガネ屋さんの理屈なのかもしれません。お客様が良く誤解されるのは

濃いサングラス = 紫外線をしっかりカットする
薄いサングラス = 紫外線をうっすらカットする

これは大きな誤解です。間違いです。

以前の記事『UVカットとカラーレンズ』でも書いたんですが、この誤解はけっこうあります。レンズの濃さと紫外線カット率には何の関係もないんです。この誤解を前提に考えると、お客様の思考は

濃いサングラスで紫外線をしっかりカットしたつもりなのに、実は濃いサングラスをすると目の瞳孔(※1)が開いて、サングラスの隙間から目に入ってくる紫外線が増えるから、目に良くない。

となります。長いのですが、お分かり頂けたでしょうか。

たしかに、理屈で考えるとこれは正しいような気もします。

しかし、だからといって“濃いサングラスが目に悪い”とはなりません。サングラスの専門家であるメガネ屋さんとしては、2つの対策を考えることができます。

・隙間の少ない、目を覆うデザインのフレームを選ぶ
・裏面からの紫外線を吸収するレンズを選ぶ

この対策で、隙間からの紫外線を抑えることが出来ます。つまり、濃いサングラスでも、上記の対策をすれば、目に悪くないんです。

専門性と話題性による誤解

誤解が発生した流れは…

①“濃いサングラスでは瞳孔が開く”
という眼科さんの専門的な正しい理屈から
②“隙間から目に入る紫外線が増えて目に悪い”
という一見すると正しいと思われる理屈が生まれて
③“濃いサングラスは目に悪い”
という少し誇張された表現により、誤解が生じました。

この②にある一見正しいと思われる理屈がとてもやっかいです。上記の対策で解決できることなので、実際には正しくない理屈です。

また、目に入る紫外線の多くは正面からのものです。隙間から入る紫外線は、実際にはほとんど心配する必要がないという意見もあります。

晴れた日に屋外に出れば室内の何百倍も光が強いことがあります。それだけ明るければ可視光線を9割吸収する色の濃いサングラスをかけても瞳孔は縮みます。それに、サングラスの脇から入るのは紫外線だけではなく、可視光線も脇から入ります。ということは瞳孔は相当に縮んでいるはずで、たいていは大丈夫と思います。
〜川本眼科だより159(※6)〜

まとめ

眼科さんの専門性のある話と、話題づくりのための少し誇張した表現で、誤解を生んでしまったのだと思います。

メディアが悪いと言っているのではありません。専門性が高い情報ほど、注意する必要があるのだろうと思います。

また、私もメガネに関する専門家として、お客様の立場で、なるべく偏りのない有益な情報を書かないといけないなと、あらためて強く思いました。

今回は理屈っぽくて、なんだかダラダラ長かったですが、最後まで読んでいただきありがとうございました!

※1:瞳孔とは、目の中に入る光の量を調整するものです。そのため、暗くなると光を入れようと瞳孔は開きます。
参考サイト
※2:濃いサングラスは逆効果!いまこそ学ぶ正しい紫外線対策
※3:濃いサングラスはNG!?目の紫外線対策として正しい選び方
※4:「濃いサングラス=危険」それって本当?
※5:眼科専門医が教える。紫外線対策にサングラスは必要? 目への影響とその防ぎ方
※6:川本眼科だより 159 サングラス 2013年4月30日


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