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好きなカフェは目に入ってくる景色も重要なのだ

 いつか書いた大好きなカフェ。少し遠くて、少しぜいたくな気がして、年に2~3回だけ行っていた。


 最初は別の場所で3~5席くらいしかないところから始めたカフェで、当時は車で15分くらいの近さ。小さいけど、子供が遊ぶスペースもあった。

 そこから移転した先が気に入って、時々こうやって気分転換に来ていた。一人で、夫婦で、親子で、或いは友達と。ただ遠くなって車で30分ほどかかった。

 そして今回、そこからさらに移転した。

 お店が終わっちゃうわけじゃあない。
 また同じメニューを楽しめる。同じ店長さんなわけで。

 前回の店舗の内装は、木を中心に使っていて小屋のよう。素朴で一つ一つのインテリアや小物に心がこもっていて、可愛くてキュンとしたものだった。レトロな長めのソファがあったり、一人がけの椅子も一つずつ個性があったり。
 店内全体の雰囲気も良かった。気分が落ち着き過ぎて、時々ノートパソコンを広げたまま昼寝をしてしまうほど。

 でも本音は。何が一番好きって、実は窓からの風景だったのだ。

 目の前の池には時々人が釣り糸をたれている。

 その奥には田んぼが広がっている。

 釣り堀とカフェの間にはささやかに林があって、そこに野鳥が来る。

 そう。

 野鳥が!

 来る!!!

 しかもいつもではない。

 年に2~3回しか行かないから何とも言えないけれど、毎回何かを見れるわけじゃない。でもカケスとかキクイタダキとか、住宅街に住んでいたらあまりお目にかかれない野鳥と遭遇できたのだ。

 カウンター席は窓の外を向いていて。夫と並んで窓の外をぼんやり眺めながらコーヒー飲んでいると急に「!!」ってなる。

 二人で「ちょっとちょっと」と声をかけあって、すぐ離れて飛んでいく野鳥を目で追う。

 その貴重なタイミングに出会えるのがすごくうれしくて好きでねえ。

 で、今回の移転先。
 椅子やソファは持ってきていたし、内装の雰囲気は似ている。
 でも最初の移転で店内が広くなったのに、今回の移転では狭くなった。そのために一人で行くと監視されているような気分にはなりそう。少なくとも昼寝してしまうようなくつろいだ雰囲気ではないんだよなあ。

 そして何よりも目の前に木がない場所なんだよなあ。野鳥は観れないなあ。

 応援はしたいのでこれからも夫と行くことはあるだろうけど、一人で行くことはなさそう。
 元々近くもなかったのがもっと遠くなっちゃったから行き帰りが大変だし。

 改めてカフェに自分が何を求めているか気づいた。コーヒーなどドリンクの美味しさ。内装の雰囲気。店員との距離感など居心地の良さ。広すぎずせますぎない空間。
 そしてすわっている時に目に入ってくる風景。
 全部ってよくばりなのかなあ。
 でも美味しいコーヒーだけなら自分ちで飲めるもの。



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かわせみ かせみ
読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。

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