せっかくの人生、誰かといる方が楽しい~パームスプリングス~
タイムトラベル物は「バックトゥザフューチャー」以降、しょっちゅう見かけた。映画をしっかり観なくても、予告とか映画の宣伝で。ループ物もたくさんあったって知っている。
でもループ物をちゃんと観たのは初めてだったかも。
ああ……気が狂いそう。
ついつい登場人物の気持ちに寄り添い過ぎてしまう私は、ループを始めた前半辺りでもう「わああーー!」って叫びたくなった。
※ガッツリ、ネタバレあります。
舞台となったパームスプリングスは、カリフォルニア州にある砂漠リゾート。
何にもない砂漠地帯、タイムループしちゃうような謎めいた洞窟もあるかもねー。
てな具合で、そんな場所に行ってしまったサラが、ループを始める。そして実は以前からずっとそうやってループを繰り返すナイルズと、日々過ごすうちにどうやら好きになっちゃう。
来る日も来る日も、互いに一日を過ごすのだ。記憶は残っているから、お互いを知っていくわけで、そりゃ知り合って楽しい時間を過ごしていけば、恋にも落ちちゃうだろう。
周りの人たちだけは(おそらくプラス二人の人物と恐竜以外)新しい一日で、その一日を過ごすと次の日に向かうのだけど、サラとナイルズは眠れば(或いは死んでしまえば)またその日が始まると知っているから、好き放題に暮らす。
最初はそのループから抜け出したくて苦しいのだけど、好き放題に暮らしていると、朝、目が覚めるとその日を思って楽しみになる。今日はナイルズと(或いはサラと)どんな一日にしようって。
最終的に、日々を過ごしたために精神的に成長したサラが抜け出そうと努力を重ねていく。
観ているこちら側が、少しずつ目覚めた時の状況がわかっていき、何故二人がこんな風なのかも気が付くように描かれているのも面白い。そして互いに恋ではなく、愛を伝え合うシーンがすごく良い。
「二人でいると、うんざりしてるのはもうわかってる」
「一人でも暮らしていける。けど、二人いた方が少し楽しくなる」
なんて、長年連れ添った夫婦みたいだ。
うんざりしているのなんてわかってる。時には私もそう思うし、私なんてきっとすごくそう思われてる。
一人で過ごす時間も、互いに長い。同じ家の中にいたって。休みの日だって。子供がいたって、いなくたって。
それでも一人でいるより、二人でいる方が楽しいんだよ。楽しいって知ってるんだ。一緒に怒ったり泣いたり笑ったりできるのを知ってる。
結婚記念日を迎える今月、この映画を観ることができて良かった。
いや別に結婚相手じゃなくたって良いんだよ。友達だって。一人の時間が好きな私だって、ずっと一人じゃ寂しいんだもん。誰か話し相手がいる方が楽しい時だってあるんだもん。一人きりで頑張っているようでも、誰かがいないと乗り越えられないことだらけ。楽しい時間は、その中でも大切。時にはうんざりしたって。誰かといるって、一人でいる時間と同じくらい大切な時間なのだ。
ちょっとあけすけ過ぎて下品だけど、ロマンチックが苦手な私にはコメディであけすけなこのストーリーが楽しくて。愛についての核心をついていたんじゃないかと、後からじわじわ来た映画だった。
同じ一日を誰とどう過ごすか。自分次第でどうにでもなるんじゃないか。
当たり前のこともこうやって映像で観ると、そうなんだよなって納得させられちゃう。