冷えは表面的なものだけではなくて
これが身体に良いとか、世間で多くの人に常識とされていることも、必ずそれがすべての人に当てはまるわけではないよね。だからって何が自分にとって良いかどうかなんてわからない。
身体が冷えやすいなんて思いたくなかった。私はそんなことないと抵抗していた。体が元々丈夫じゃないからなのか、ちょっとでも「私は大丈夫なのでは」と思うことには飛びついた。
血液検査の結果で貧血になったことないとわかれば「私は貧血ではないらしい!」とことさら自慢に思っていた。他に良いのは視力くらいで(それも今はすっかり落ち)、身体がとにかくすぐダメになっちゃうのがずっとコンプレックスで。気を使うわとか、かよわいフリとか、休めて良いよね、私たちがフォローしなくちゃならないのにとか、そんな言葉をかけられたり、かけられなくてもそう思っているのだろうと無理してもっと悪くしたり。休みを余儀なくされて卑屈になるくり返しの人生。
だから「足先は、そんなに冷えないよ!」と自己暗示みたいに言い聞かせていた。
なのに何で生理痛がこんなにひどいのかわからなかった。
そんなに冷えていないと信じたいのに、生理の時だけすごく冷える感覚になるのもイヤだった。生理の時に冷たい水がつらいとか、重たい物が痛みにつながってつらいとか、あのゾッとする感覚はもっと知られて良いと思う。
10代の頃から婦人科に行ったり検査したりしても、特に問題になるような結果は出ない。
それとは別に、便秘でもあまり苦しんだ記憶はない。妊娠中だって呑気なもので。そこに関してはあまりに無意識に近いもので特に誇らしくも思ったことがないけど、母によく「かせみは自由で良いね」と笑われたものだった。
だから数年前に下腹部が痛くなった時に「どっち」と思った。
婦人科系か消化器系なのか。
さんざん検査をして、どうやら更年期によって腸の働きが悪くなっているのではとわかった。初めて便秘に悩み、ちょっと交感神経が刺激されるような楽しそうなことがある日は朝からお腹が切られるように痛くなって、気軽に友達とも会えなくなってしまった。
仲の良い友人には事情を話して、近所なのにリモートで話した。本当は会って話したいのに!
よく言われる腸活とか腸に良い食品が、自分のその症状にとっては良いわけではない、むしろ良くない場合もあると知った。
繊維が多いから良いわけでもなかったし、乳製品の種類にも気をつけなくてはいけない。
パンが大好きなのに朝食をお米のご飯に変えた。
そして一番気をつけたのが「冷え」だった。
生理さえ来なければ、冷えてなんかいないと思っていたのに。
カイロをお腹にあてた時の気持ち良さに驚いた。じんわり温かさが伝わってくる。肌ではなく、内臓が温まる感覚ってわかるだろうか。それって冷えているからなのよね。肌の表面温度ではいま一つ自覚がなくても、内臓は冷えていた。だから生理痛だってひどかったのかもしれない。
だから寝る時にも温めることにした。
よく見かける小豆の入ったアイピローがあるの、ご存知かしら。
おいしそう過ぎる香りで、夫が食欲を刺激されている。
これのまん丸ヴァージョンがある。
お腹に乗せると良いらしく、確かに気持ちが良いのだけど、私には小さい。寝返り打つとすぐ落ちちゃうし、肩に乗せる大きい物をお腹に乗せることにした(ヘッダーで描かれている物~TOMOさんのイラストより~)横を向いて寝る時も腰をまたぐように乗せられる。
夏は暑くて乗せていられないけど、布団をしっかり一枚かぶる頃には乗せ始める。
これのおかげで、かなり気持ちが良く眠れる。
腸の痛みは1年以上続いて、少しずつ減っていった。今も時々痛むけど、冷えにはとにかく気をつける。冷えている感覚がなくても、お腹が痛くなると冷えのサインだと思って対策をする。
あとは食生活と運動。当たり前だけど気をつけなくちゃなあと、痛みが復活すると慌てて軌道修正。
腸の働きなど消化器は自律神経とも密接につながっているので、ちゃんとよく眠れるよう生活リズムを作って環境を整えることは大切なのだ。
体が丈夫じゃないからと嘆きたくなるところを、こまめにSOS出してくれていると思えばありがたい。痛みに敏感なのも本当はイヤだけど、そうやって体の変化に気付いてくれる私…と思うようにしている。