華やかで、心もあったかくなる「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」
〇〇の口になるって言い方、もう当たり前に使われている。使われても受け入れている。けど、私からは使わない。
だってさ。口でしょ。口だけでしょ。ピンと来ないっていうかさ。
私のはもっと欲の深さにあふれているから!
何かを食べたい時の私は、喉の奥辺り、鼻腔も含めて、そして脳で、頭全体で、気持ちで食べたいものを思い描いているから!
ところで「甘党」って言葉、英語で「(I have a)sweet tooth」って言うのね。
なんで?(ーと言われてもよね)
私は口でさえ納得していないのに、もっとちょこっとした部分じゃないか。
「green thumb(植物を育てるのが上手!)」みたいなもの?(ちがうよね)
いずれにしても歯なんて。納得できない。
※ちょこっとだけネタバレあります
久しぶりに夢いっぱいの、明るくて楽しいミュージカルだった。
「チャーリーとチョコレート工場」を観ていないのに、映画館での予告で観たくなってしまった。
「チャーリーとチョコレート工場」は、「チョコレート工場の秘密」が原作。初版は1964年。
大学の時、英米児童文学を専攻していた。大好きな先生に勧められた本をほとんど読んだものの、その中で何冊か読まずにいたうちの一冊だったはず。あまりに多くの本を勧める先生は「本を読む時間がなかったらせめて映画化されているものを観て」と言っていた。当時はまだ「チャーリーとチョコレート工場」は出ていなかったので、今観てみたいな。原作も読むぞ。
今作は、映像が最初から華やかでキレイで、万華鏡をのぞいているみたい! 始まって間もなく幸せな気持ちになれてうれしい。
タイミング良く、児童文学者で、多くの翻訳をした猪熊葉子さんの、ファンタジーについて書いている本を読み始めていたところ。子供の頃の夢を見るような気持ちって大事と私も思う。50歳過ぎてもファンタジーが好きな私は頭の中がお花畑なのだろうとか、こんなで良いのかとか思っていたけれど、猪熊葉子さんは90代なので、訴える必要性にはもっと説得力がある。
これで良い。これが良い。
ファンタジーで、高揚するような気分や現実逃避を味わうだけでなく、大人はそれ以上の多くを受け取ることができるから。
また本については感想含めて書きたい。
ウィリー・ウォンカは、この作品では主人公。優しくまっすぐな青年として登場している。
お母さんとの約束のためだけじゃないけど、何度イヤな目に遭っても、わりと淡々と乗り越えていく。
昔話みたいに、意地悪な人がいて、ちょっと怖い悪者がいて、魔法があって、すごくわかりやすい。
でも今の話みたいに移民とか貧困、差別や依存症の話も入りこんでいて。普遍的な問題を感じさせる中に、親と子供の思い出もある。
何でもない、息子をベッドで寝かしつけながら会話するシーンなのに、涙腺が刺激されてしまった。あの時間、ちょっと不安そうな子供を見守りながら、自分の精一杯の気持ちで安心してもらうんだよな。大丈夫だよと心をこめて話す時間。安心してゆっくり眠ってねの気持ち。不安そうな息子の表情。時々嬉しそうな表情。思い出があふれてしまう。
そしてこのシーンに象徴されるように、子供にとって親の存在ってどんなものかが伝わってくる。
最近、激しく泣くことはなかなかないのに、簡単にボトボト―っと涙がこぼれてしまうのは困るなあ。強い感情じゃなくても。たぶん年齢のせい。
演じているのはティモシー・シャラメやヒュー・グラント、オリヴィア・コールマンなどなどなど、俳優たちも豪華で魅せてくれる。
特に、ヒュー・グラント演じるウンパルンパのキュートさはたまらない。キュートだけど、ウンパルンパって言動から成熟している大人ってわかるよね。夫の言葉に深くうなずく。
全体的にかわいくて楽しくて、映像としても華やかで。クリスマスや年末年始に向けて、ちょうど良い映画なんじゃないかなあ。
終わるころにはどうしようもなく喉の奥も鼻腔も、何だか甘~くチョコレートでいっぱいになってくる。気がする!
そしてそんな気持ちを満たすためにチョコレート買って帰る人多いんだろうな。
もちろん私たちも。むふふー。