笑った映画が懐かしい思い出となり、好きな映画の一つに
「グリース」は、生まれて初めて観た恋愛映画。
6歳の頃。
映画と言えば、「スターウォーズ」「未知との遭遇」しか知らなかった。
両親はどんな映画だと思って一緒に連れて行ったのだろう。「サタデー・ナイト・フィーバー」が話題になった直後の映画だったから、どんなものかな程度だったのかもしれない。
可愛いオリビア・ニュートン=ジョンなのに何故恋に悩んでいるのかとか、嫉妬を抱える女性が何故意地悪を言ったりするのかとか、全然わからなかった。
あの頃から私は脇役の男の子が好きで、カッコいい取り巻きより、脇で楽しそうにしている男の子を可愛いなーと思っていた。
とにかく大きくなったらこんな風に人を好きになるのかなと思って憧れたものだった。
それから15年ほど経ち、ビデオデッキが各家庭に1つはあったのではと思う20歳の頃。
兄がレンタルビデオ店で「懐かしいでしょ! どんなだっけね」と「グリース」を借りてきて、久しぶりに一緒に観た。
大きくなってから観ると、さっきまで会話していたのに急に歌ったり踊ったりする姿がどうしても笑えて仕方なかった。しかもジョン・トラボルタの放つ異様なほどの青臭さと色気。当時にとっては中途半端に古臭い服装。単純すぎるストーリー展開。
失礼ながら、兄と笑い転げて観てしまった。
いや楽しかった。あんなに憧れていた大人の恋愛がこんな風に見えるなんてっていう自分への笑いでもあったのだ。たぶん兄も。
映画公開当時から10数年経って、時代を感じ、自分の成長を感じ、憧れだった映画は、「兄と笑った思い出」に塗り替えられた。
そこからさらに何年か。
兄は就職し、転勤先で一人暮らしを始めた。
仕事をするその地域に家族で様子を見に行き、招待してくれたのでアパートも訪れた。
兄らしく、部屋はキレイにしてあったけど、並べられているビデオの中に「グリース」がある。
「あっ」と気づいて手に取り笑うと、兄も笑っていた。
そうか。あんなに大笑いしていたけど、やっぱり好きなんだな。
ツッコミを入れることなく、二人で顔を見合わせて笑いながら、ちょっとうれしくなった。
幼少期、父がサントラのレコードを買ってきて、家でよく聴いたものだった。
中でも好きな曲が「You're the One That I Want」
曲の調子も良いけど、楽しくて良いシーンだった。今見ると古臭いのだけどね、それもまた良いのよ。だってもう45年ほど前だからね。
衣装も、もう全然ちがった目線で見えてきて面白い。当時そのままが表れている70年代ファッションの色鮮やかさを感じ、形もキュート。恋愛模様の映像表現は今となっては色々問題があるかもしれないけど、映画だし。それに45年前だから。しつこいけど。このシーンのオリビア・ニュートン=ジョンに至るまでの彼女がとにかく可愛らしい。
これがついこの前、映画「デッドプール&ウルヴァリン」でかかって、そのサントラにも入っていた。
これを聴く度に幼い頃や20歳の頃に兄と笑い転げ、その後兄のアパートでアルバムを発見した瞬間を思い出す。
※「デッドプール&ウルヴァリン」では、やはり懐かしの「Like a Prayer」もかかった。マドンナのアルバムの中で、ほぼ全曲が好きなため手元に置いている。