親の愛情に胸がいっぱい~グランド・ジャーニー~
映画の宣伝を観た時に「父と息子の感動モノかあ~観たい観たい~!」と単純に思った。
確かに父と息子の感動モノだった。
でも思った以上に私と自分の息子が重なって。母親も出てくるから、母親の気持ちがもう「そうなるよね」だらけ。
*ネタバレあります
実話を基にした映画であり、「ニルスの不思議な旅」を思わせる部分がたくさん出てくる。
帰りの車の中、夫に「ニルスの不思議な旅、テレビで昔やってたの観た? それか本読んだ?」と聞かれて「観たし、読んだよ!」と答えてから、どんな話だっけ。と40年ほど前の記憶をたぐり寄せようとする。たぐり寄せ「ようと」しただけで、途中で諦めた。
雁とガチョウが出てきた気がする。全然覚えてない。
今、慌てて、本当に雁とガチョウだっけ。と調べたけど、あってた。良かった。唯一の記憶。頼みの綱!
あらゆる角度から、いや犯罪だよとか、法律だよとかあちこちツッコミどころも満載なのだけど、14歳のトマが飛び立った瞬間は「やっちゃったよ~……」がすごく伝わってきて、なんでだろう。命の危険もあるし、いけないことなのに、胸がいっぱいに。
幼少期じゃなくたって、若い頃の自分や、息子の気持ちが鮮やかに思い浮かぶ。褒められたことじゃないのかもしれない。正しくはないのかもしれない。模範的ではないかもしれない。でも大人の思惑を振り切って、自分の思いに勇気を出して動いた瞬間。一歩踏み出した時。「やっちゃったよ~」って思ったなあ。
最初は「やめときゃ良かったのかな」って後悔と、「もう進むしかない」って強い思いとでドキドキする。
父親であるクリスチャンが造った超軽量飛行機が、雁の群れと共に飛ぶシーンが画面いっぱいに広がる度に、感動が胸いっぱいに広がって、いちいち涙が出るので参った。
飛び立つ度に涙。飛んでいる姿に涙。ずっと涙。
マスクよ、ありがとう。
飛んで行ってしまったトマに、生きているのかと心配する両親。父親の友達。
その心配する姿にも「わかり過ぎる」があったし、トマが時々着水しては心細く丸まって過ごす夜にも、つい「息子だったら」を想像する。いちいち自分たちに重ね合わせて見えてくる。
でもトマには、雁たちの親なんだっていつの間にか覚悟ができていたんだ。
よくわからないし怖かったけど、みんなを守らなくちゃって思いと、自分には頑張れるって信じたい思いとで必死なのだ。
そして両親と再会し、病院へ行き、また飛び立つところには、さすがに胸いっぱいより、笑ってしまう気持ちの方が強かった。
母親はトマを信じる気持ち以上に、トマの思いを実現させたい思いが強かったんじゃないかな。
父親も母親も「トマはまだ子供だ」と言ったり「トマはもう大人だ」と言ったり。子供の揺れ動く心と同じように、親だって気持ちが行ったり来たりする。
親が子供を思う気持ちを、トマはきっと雁を通じて知っただろう。
そして私は息子を思う気持ちを何度も反すうした。
どうしても付け加えたいのが、お父さんの友達の存在のありがたさと、雁たちの可愛さ。特に幼鳥の頃は笑い泣きしてしまいそうなくらい可愛かった。
映画「シェフ」も思い出したなあ。
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