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お笑い、テレビ番組、漫画、本、ゲームなどの感想、紹介

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映画や音楽以外で、好きなものの「感想」がちょこちょこたまってきたので、まとめました
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#感想

人と人との関係性が面白い~ゴールデンカムイ~

 漫画やアニメは、リアルなものもファンタジーも好きだけど、時代背景に沿ったファンタジーも大好き。  私は歴史をちゃんと勉強してこなかったので、「鬼滅の刃」を読んだ時に、大正時代の勉強をやり直そうと思った。  人に対する考え方や家族関係、街並みや文化を勉強することは、今の自分たちの考えにつながる面白さがある。すっかり変わった部分、変わって良かった部分、変わらない部分を思う。当時を基にした考えはもしかしたらもっと古くから通じているものがあって、普遍的なものを考えることにも至って面

心に生き続ける思い出は、たくさんあった方が良いなあ~葬送のフリーレン~

 漫画を気に入ると、何度も読んでしまって、「もうさすがに飽きてきた」と思わないとなかなか次に行けない。  食事もゲームも音楽もその傾向があるけど、漫画までそういう楽しみ方をするとは自分で思っていなかった。  なので「漫画読むの好き」と言ったところで、そんなにたくさんは読んでいない。有名どころも多くを読んでいない。  結婚してからは夫が「面白かったよー」と紹介してくれて、自分で好きそうなものを夫の本棚から選び、読み始める。最近はサブスクなのかな。ネットで読んでいるのかよく知らな

子供のころから寂しさや不安てある~「ふくろうくん」から可愛いユーモアを感じて~

 「がまくんとかえるくん」で知られているアーノルド・ローベル展に行ってから、なつかしい絵本を引っ張り出してきた。   45年ほど手ばなせない絵本の中に「OWL AT HOME(ふくろうくん)」がある。  気に入った絵本は引っ越しの度に持ってきたので、残っているってつまり好きだったのだろう。実は「格別気に入っていた!」の気持ちは覚えていたものの、内容を覚えていなかった。色合いの暗さからも、息子に改めて日本語版を買って読むことはなかった。  今回、展覧会に行くと「ふくろうく

「がまくんとかえるくん」の絵本作家アーノルド・ローベルの人柄も感じた

 アーノルド・ローベルの絵本と出会ったのは6~7歳頃。  「がまくんとかえるくん」「ルシールはうま」「きりぎりすくん」「ふくろうくん」を何度も読んだ。  中でも「がまくんとかえるくん」の2冊と「ふくろうくん」はお気に入りでどうしても手放せないまま。  大学で英米児童文学を専攻した時、先生がアーノルド・ローベルの作品を紹介していて「有名なんだ!」と驚いた。ニュージャージーで読んだ本が当たり前に和訳されていて、そんな風にみんなが知っているなんて。  卒論は別の作家について書いた

描いた絵で「感じる」その人の思い、自分の気持ち~バンクシーって誰?展~

 もう少しミーハーな感じだと思っていた。社会派で流行りの画家さんだから。皮肉たっぷりで、きっと見ても「わかったから」「みんなちゃんと考えてるってば」って気持ちにならないかなってちょっと心配した。 ***  ニュージャージーに住んでいた頃、車でニューヨーク市に出かけては、近代美術館(MoMA)やメトロポリタン美術館に友人や夫と出かけたものだった。  私は絵や芸術が「わかる」側の人間ではないと思うのだけど、正解などないのだろうとだけは、多分わかっているので、観に行くのにまった

久しぶりのお笑いライブ~東京03~

 山里亮太の単独ライブ140に行ったり、漫才サミット(中川家、サンドウィッチマン、ナイツ)に行ったり、多くの芸人たちが一ネタずつするお笑いライブに行ったり、春風亭一之輔の落語を観に行ったり。  緊急事態宣言より前は、ちょくちょくどこかへ笑いに出かけていた。  東京03のライブも何年ぶりかな。  コントなのに、その日のノリでアドリブの間や盛り上がりがあったりするから面白い。  東京03のお笑いは、あははと笑えることとじわじわくることと両方あって、同時進行に楽しめるのが私は大

ただ生きるだけで良いと思えた~i(アイ)~

 2月半ばに読んで、その頃は世界がここまでのことになるなんて思っていなかった。  今はどうしても世の中の状況とつなげて考えたくなるし、それも当然な読み方になってしまう。読んでしばらく後、感想を書き「来週辺りに載せれると良いな」と思ったけど、タイミングを逸して数週間が経ってしまった。  あくまでもただの読書感想文として読んでいただけると幸いです。 ~~~~~~  西加奈子さんの作品には、「生きる」力強さをいつも感じさせられる。  訴えてくるものが強烈。奇妙な愛すべき人たちも

その声が聴こえたら、正しさより優しさと愛を伝えたい~「52ヘルツのクジラたち」を読んで~

 話題だったしおススメする人が多いので、きっと納得のエンディングなのだろう。希望があるはず。そう言い聞かせて読んだ。  「辛い」「ひどくて悲しい」  最近夜を読書の時間にしていることが多いので、少し読み進めると、そう言っては本を閉じてしまう。  「無理に読まなくて良いんだよ」  近くにいる夫が言う。  そうだよね。いつもなら休んじゃう。でも今回は、結末には希望があるみたいだから、頑張って読むの。  夫にそう告げてまた少しずつ読む。  気持ちがしんどくなったら休む。

その子の持つ気質や特性は、愛されてほしいな~緘黙症を知っていますか~

 池田エライザ可愛らしいなあ。と思っただけだったのに、そのドラマを観終えてしまった。根気が続かないからマーベル関連のもの以外はあまりドラマを観ないはずなのだけど。  だいぶ漫画チックでコメディだなと思ったら、漫画だった。「古見さんは、コミュ症です」って漫画あるのね。夫が早速買っていた。  高校生役が20代半ばの池田エライザって無理があるのでは。なんて心配は無用。だって同級生にまっすーとか溝端淳平とか城田優とかがいるのよ。  池田エライザ演ずる古見さんは基本的に喋らない役。

「めでたしめでたし」の後の世界

 夫が度々漫画を買うので、つい手に取って読んでみる。夫も「これが面白かった」「〇巻になると、グッと面白くなるよ」とか売り込んでくるから、分かち合いたくなってしまう。  そうやって読むうちに、気に入る物が次々と出てくる。  最近話題になった「葬送のフリーレン」も面白かった。  描かれるのは冒険を終えた勇者たちの、その後の世界。  ゲームってラスボスを倒すまでに、冒険をする。仲間を得て、クリアするまでにそれぞれプレイヤーの旅がある。クリアしたらめでたしめでたしでストーリーを

飛行機に乗りながら読んだ「雲を紡ぐ」~成熟していく大人の姿~

 飛行機の中で、飛び立つのを待っている間、落ち着かなくて仕方ない。幼少期から何度も飛行機に乗ってきたのに、22歳になる年、15年ぶりくらいに乗った時には怖くなっていた。  実際には着陸の方が気を引き締めなくちゃいけないそうだけど、スピードが増して行って浮いていく状態、どんどん上に向かっている体勢だって怖い。  その間にもう習慣のように必ずしているのが、本や漫画など読めるものを手に取る。その世界に入り込む。動き始める前から本を開き、動き始めた頃にはその世界に入り始めている。没頭

高校生時代の職員室での思い出

 皆さんが通っていた中学や高校の職員室の様子って覚えているだろうか。  そもそも気軽に入れる場所だっただろうか。  和山やまさんの「女の園の星」を読んでいると、30年以上も前の中学高校時代を思い出す。  トーンは、佐々木倫子さんの「動物のお医者さん」を彷彿とさせ、野中英次さんの「魁!!クロマティ高校」の女子校版とも言えるくらい下らなくて(すっごく誉めています)笑える。あくまでも「先生側」目線のギャグ漫画。  18歳の子供を持つ親としては、先生の方に思い入れ強くしつつ、生徒側

私たちには、想いをつなぐ役割がある~「鬼滅の刃」を読んで~

 世に出ている、多くのストーリーが「行って帰る」とはうまく言ったもので。  全部ではないけど、たとえば桃太郎に代表されるように、家来として仲間を伴い、鬼退治に行って家族の元に帰ってくる。或いは、誰かを救って戻ってくる。これがベースになっているものが多い。  その中身は少しずつ違い、そのストーリーの流れのパターンを何度観ても心動かされてしまう。  何がそこにあるのか。何を伝えられているのか。何故こんなに私は惹かれてしまうのか。毎回毎回。飽きもせず。  根本的に自分の心に訴えか

少女の成長を、こんな風に書くんだ~西加奈子さん「円卓」を読んで~

 西加奈子さんの「炎上する君」が面白くて、「円卓」も読んでみた。  「炎上する君」では、官能的な星新一みたいだと思った。  命とエロスと強さと脆さ、俯瞰と主観が混じりあって、迫力にクラクラした。  きっかけは、なたねさん。何度か西加奈子さんの本の感想を書いてらして、すごーく面白そうに書くから読みたくなってしまった。  「円卓」も。  一人一人が目の前に浮かぶように、個性豊かに描かれる。  特別な名前のつくものに憧れ、カッコ良く気取りたくて仕方ない「こっこ」が、一番普通