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映画について色々

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感想だけでなく、映画に関すること何でも。MCUについては、なるべくそれはそれとして、まとめて別マガジンで。
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笑った映画が懐かしい思い出となり、好きな映画の一つに

 「グリース」は、生まれて初めて観た恋愛映画。  6歳の頃。  映画と言えば、「スターウォーズ」「未知との遭遇」しか知らなかった。  両親はどんな映画だと思って一緒に連れて行ったのだろう。「サタデー・ナイト・フィーバー」が話題になった直後の映画だったから、どんなものかな程度だったのかもしれない。  可愛いオリビア・ニュートン=ジョンなのに何故恋に悩んでいるのかとか、嫉妬を抱える女性が何故意地悪を言ったりするのかとか、全然わからなかった。  あの頃から私は脇役の男の子が好きで

ネガティブな思い出も、良い人でありたいと願う気持ちも ~インサイドヘッド2~

 人の感情をイラストやストーリーでわかりやすく描くとこうなる。  そう思ったのが「インサイドヘッド(1)」だった。  ほんの少し、心理学やカウンセリングの勉強をした私にとっては「うまいなあ」と感心が先に来てしまい、となりでむせび泣く息子をほほえましく思ったものだ。  それでも好きな映画の一つ。喜びを心から感じるには、自分の中の悲しみや怒りの感情も認め、受け入れること。その辺りを上手に描き、ストーリーによって説得力を持たせている。    だから「インサイドヘッド2」で、思春期の

推しやファンへの思いについて考える~成功したオタク~

 今、誰かのファンだったり推しがいたりするだろうか。  今いないとしても、人生の中で一度はそういう気持ちになったことってきっとあるよね。    元々は、自分の推しやファンについて人に話すのが苦手だった。過去のそんな自分を忘れそうになるほど、今は友人たちに話す。ここnoteで、マーベルの何推しだの、俳優の誰それが可愛いだの、アニメの誰が好きだの書いてしまえる環境についても、とても幸せだと思う。  若い頃は、その思いの強さを知られるのが耐えがたい恥ずかしさ。「そういう好みなのか

目の前にいる人の言葉をどのくらい信じる?~フライ ミー トゥ ザ ムーン~

 意外とロマンチックな映画だと聞いてはいたけど、予告だとコメディも入ってそうだし、期待は裏切られなかった。  宇宙飛行士や周りで支える人たちのストーリーが大好き。  向井万起男さんの書いた「君についていこう」や漫画『宇宙兄弟』に夢中になった。テレビ番組「コズミックフロント」も好きでよく観ていた。  宇宙飛行士たちの、人との受け答えを含めてすべてを通して優れているところや、逆にすごく偏った技術屋さんたちの探究心の強さや努力が見えるのが好きで。どちらも自分にはない強さや才能、そ

親子みたいな関係が、自然に築かれていく~ホールドオーバーズ~

 幼い子を育てていると、自分の子供が高校生くらいになったら……なんて想像できないよね。だって今、接している一つ一つが大変だもの。「あっという間」とは聞くけど、そうは思えないすっごいお兄ちゃんやお姉ちゃんに思えてくる。  高校生くらいと言えば反抗期を過ぎたところだけど、もっと子供の頃みたいに無垢ではない。かと言ってまだまだ思春期の中にいて気持ちは揺れやすい複雑な時期には変わりない。背は高くなっただけで親から見たら全然可愛らしい子供だ。  そして親の自分たちだって、親の立場にい

改めて映画に求めるものを考えてみた~「マダムウェブ」を観て~

 ヒーロー疲れだとか最近聞く。  たくさんのヒーローがいるし、私たちも観てきた。  「アベンジャーズ エンドゲーム」はマーベルヒーロー大好きな人たちの気持ちを満足させた。完成度も高かったのだろうし、マーベル好きな人たちで不満を言う人は当時あまりいなかっただろう。  だからその後、作品に苦心しているのは感じている。  観ている側がさえない気がするのもわからなくはない。  いったい私たちは何を期待してヒーロー映画を観ているのだろうね。  昨年ハリウッド俳優たちのストライキがあっ

心細さや不安て、どう乗り越えて大人になった? ~おススメしたい!「ブルー きみは大丈夫」(IF)~

※シーンの紹介はありますが、ストーリーについてのネタバレはありません  ハートフルな子供向けの映画がまた一つ。  と思ったらちがったー!!  前半でこそ、そうなのだけどね。  大学生の頃、英米児童文学を専攻して、自分がファンタジーの世界に簡単に入れるタイプなのだと知った。周りはそうでもないと少しずつわかるのだけど、今はっきりわかるのは、もう50歳も過ぎたのにいまだにファンタジーが好きだから。  20歳当時は今より強い好奇心とエネルギーで、様々な分野の本や映画に手を出した

どんな状況にいても、心を満たすものって何だろう~マッドマックス フュリオサ&マッドマックス 怒りのデスロード~

 荒廃した世界とか、SFの世界とか、残虐なシーンとか、若い頃はしっかり見ておかなければとどうにか観ていたのに。その度に眠れなくなり、どうしても苦手になってしまった。その映像が強く脳裏に焼き付き過ぎて、想像や妄想は膨らみ過ぎ、現実世界との境界があいまいになり、日常に戻りづらくなる。眠れなくなるし、夢には出てくるし、当然ヘトヘトになる。そんな日がしばらく続くので観なくなっていった。  それでも夫や息子と話がしたくて、MCU(マーベルシネマティックユニバース)作品を観るようにした。

自分はどんな子供だったか、どんな親かを振り返り、励まされる二作

 子供の頃、自分はこの家族に要らないのではと思ったことが何度もある。  自分の子供にはそんな風に思ってほしくない。  それでも親は親の人生を歩まないと子供には負担。  その加減が難しいものだなあと、手が離れたようでまだ離せない息子と接していて思う。  息子の特性がある子については「大学生になったから」と手を離して遠くから見守るやり方ではいけないのだと、最近知った。ちょっとショックだった。誰もが「自信を持てるようになると、うまくやっていける」ってわけではないようだ。  こう

出てくるみんなの気持ちを知っている気がする〜リトル・エッラ〜

 人より匂いに敏感で、同じ服しか着たくなくて、友達は要らない。  そんな女の子エッラの話。  原作があるそうだ。 ※詳しい筋は書いていませんが、大雑把な内容がわかるネタバレあります  友達は要らないと言っても、大好きな親戚のおじさんがいる。  大人になった立場なら、どこかでだれもが経験したことあるだろう。子供の機嫌に合わせる瞬間。そう思っていなくても、そう思っているフリをする瞬間。  トミーの、幼いエッラを可愛く思う気持ちがとてもよくわかる。エッラに対して完全に対等ではな

思っていたよりずっと好みの楽しい映画だった!~「アーガイル」~

 スパイものだけどなんかちょっと楽しそうなんだよなあ。  予告を観てそんな風に思ったけど、でも監督がマシュー・ヴォーン。  マシュー・ヴォーン監督と言えば「キックアス」や「キングスマン」シリーズで有名。  「キックアス」は、何も知らないで軽い気持ちで観てしまった。でもムンクの「叫び」みたいに顔が伸びるんじゃないかと思うくらい怖かった。ホラーとかサスペンスとかの怖さじゃなくて、バイオレンスが。ストーリーの面白さはわかるけどさ。心の中で何度「ギャー!」と叫んだか。まだ当時は怖い

映画より映画館が好きな人と

 映画が好きな人と結婚する。20歳前後はそんな風に強く思っていた。  でも結婚して何年も経ってから気が付いた。  そう言えば夫はそうでもないな。  そんな風に条件を挙げていたことすら忘れていた。  当時は別に不満にも思っていなかった。  最近は夫が映画をわりと観るので、ありがたく思い、いつの間にこんな状況になったのだろうと考えてみた。  結婚するまでも何度か映画は観に行った。  出会いから結婚までが短かったものの、そんな頻繁じゃなく数えるほどだな。  結婚してからも、

父がヒーローに思えた日

 物心ついた頃に気に入って心に残っている映画は「スターウォーズ」。今で言うエピソード4ね。  今も私はその世界にすぐ入りこんでしまう方だけど、5歳くらいの頃ってもっと簡単にファンタジーの世界に入れるようだ。宇宙にはこんな場所があるのかもしれないと、スクリーンに夢中になった。  ルーク・スカイウォーカーは幼い私にとっても可愛かったし、レイア姫は美しく、C-3POとR2-D2のやり取りに笑い、チューバッカは愛おしく、ハン・ソロを暑苦しく思った。でもみんなとにかくかっこ良かった。

知らなかったことを教えてもらえてありがとうの気持ちになった~ネクストゴールウィンズ~

 「ネクスト・ゴール・ウィンズ」の予告の段階で、コメディ要素が多いようだから気楽そうで良いなと思っていた。夫も「がんばれ! ベアーズ」みたいなスポーツものは面白いに決まっていると乗り気。「がんばれ! ベアーズ」は、弱小少年野球チームが強くなっていく1970年代の映画。ドラマもある。  「ジョジョラビット」や「マイティ・ソー バトルロイヤル」の監督をしたタイカ・ワイティティの監督作品だし是非とも映画館に足を運ぼうと思った。 *多少ストーリーを追ったネタバレあります  米国領