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家事が一段落した頃、電話が鳴った。時計を見ると10時45分頃だったか。 見覚えのある番号。誰だっけ。 受話器を取ると、学校からだ。 「今、〇〇(息子)君が保健室にいるんですけど」 「えっ!」 熱でも出たのかな。何かの悪い症状? どうしたんだろう。あらゆる心配が頭をかけめぐる。 幼少期、大きめのケガは何度かあった。 縫うことになったら、もちろん大騒ぎで、一度は、夫に「バッチン、バッチン、て、た!(ホッチキスみたいな物で縫うので、バッチンと音がする「バ
幼い息子が可愛くて、むっふっふと笑っちゃう。 「なんで笑うの!」 かんしゃくの強い息子が、また絡んできて怒っている。 「えっ。可愛いからだよ」 と言うと、「可愛いから笑うの? 僕はそんなので笑わない!」と突っかかってきた。 「息子クンよ。息子クンが笑わなくても、可愛いと笑っちゃうこともあるんだよ。息子クンは違っても、笑う時にはそういう気持ちがあることだってあるんだよ」 発達のゆっくりな息子だったので、ちゃんと教えなくちゃわからないかもしれない。 こんな冷静に
「ピアノの発表会やるので、リモートで観に来てください」 先月、父からメールが入った。 「父さん一人で、一曲だよ」って。 60代で会社を退職し、その後、小企業に20年近く勤めた父。今年ようやく定年退職を果たし、掃除や皿洗いなど家事もしつつ、やっぱり規則正しく生活しているらしい。きっとそういう生活が合っているのだろう。 退職後のこの春からピアノを始めた。 ずっと昔から「ピアノ習いたい」と言っていたけど、音楽家の母が「教えるなんてイヤよー」と避けていた。照れもあったの