メディアリレーションをアップデートする広報LT大会#21@ユニオンテック(2019.8.27) #PRLT
企業の広報担当者やメディアの記者たちが集まり、お互いの知見を共有し合うイベント、PRLTに参加した。今回のテーマは、メディアリレーションをアップデートする。メディア環境が変化するなか、企業広報がどう変化しているのか、興味がある。
特に、気になった箇所を中心にレポートする。
そもそも広報LT大会(PRLT)とは
広報担当者には、いろいろな悩みがある。
悩んでいるひと同士で助け合おうと、始まったLT大会が今回で21回目。これだけ続いてるって、すごい。
PRLTのミッションとビジョン。
ミッション:組織と経済空間を動かす広報PRパーソンの原点となる
ビジョン:あたらしい広報PRの文化を生み出す
といったお話から、早速LTへ。
LT1:『広報先輩・記者のアドバイスを実行したらメディア露出が倍になった「よっ」という話』 by 株式会社ジンジブ 佐藤純子さん
(注:PRLTでは「いいぞ!」というとき、「よっ」と声をかけるルールがある。)
メディア露出を強化した結果…。
かなりの露出増加に成功。アドバイスをもらい、実行していった。
そのほか、協力者を見つける活動も。
高卒の就職という社会課題に対して、自社以外の組織と連携した広報活動が大きく掲載(青が自社、黄色は他社)。
まとめ。
特に「文脈の中のファクトになる」が重要かと。
LT2:『記者からジョブチェンジした広報が教える記者攻略法』 by 株式会社Shiftall 甲斐祐樹さん
甲斐さんはもともとメディア出身で、現在企業の広報を担当。経験をもとに、記者対広報の3番勝負を語ってくれた。
会場の笑い(苦笑い?)を誘ったのが…。
原稿の事前確認をできたとしても、あくまで文責はメディア側にある。企業側の広報はほどほどに…。
LT3:『広報さんからこうしてもらえると嬉しい3つのコト』 by 株式会社翔泳社MarkeZine編集部 市川明徳さん
メディアの立場から、広報の好感度アップのポイントを3つ教えてくれた。
メディアごとに最適化なPR活動を。
メディアを招待したいようなイベントがある場合は、1週間前には伝えよう(もちろん直前まで出欠がわからず、広報はやきもきするのだが…)
翔泳社では記事の企画をSlackで共有する。企画には、一定のフォーマット「型」がある。
メディアに情報提供する際、「型」がわかっていると必要な情報を的確に提供できる。
ワントゥワンマーケティングのように、広報とメディアの関係もできるのが望ましい。現実は、リソースやスキルの問題で実行は難しい…と思ったが、次のLT、ユニオンテックの水間さんが実践していた!。
LT4:『メディアと読者を考えてる!と思ってもらえるPRになるためのメディアリレーション 〜情報が溢れる時代のPRだから気をつけていること〜』 by ユニオンテック株式会社水間 藍子さん
会場を提供してくているユニオンテックのPR担当、水間さんから。
ひとつ前のLTで翔泳社の市川さんが提案された、メディアごとに独自情報の提供を実現している。「面」を変えるという表現が面白い。
例えば、直近の資金調達のニュースは、インタビュー対応者を変えることで「面」を増やしている。
新聞や雑誌など、多くのメディアに掲載された。3つ目のLTの市川さんの提案を取り組むとこうなる、という好事例。
なお、水間さんの資料は公開されている。
LT5:『社内広報歴の長い私が気づいた、メディアリレーションで大事なこと』 by 株式会社ノヴィータ 中根範子さん
同社ではフルリモートで働くひとがいることから、働き方改革の流れで取材が増えた。
多くのメディア対応から3つの気づきがあった。
まず、メディア掲載の増加による社内の変化。
広報の仕事が理解されると、社内での仕事がしやすくなるので重要。
そして、初動の情報による影響。
20ページほどの資料を別途提出、ってのがすごい。
そして、期待値のマネジメントの重要性。
企業の発信情報や掲載実績が、次の取材を作る。イメージが固定されてしまう可能性もあるので、もっと工夫できたはず、と。
まとめ。
しっかり広報PRが機能すると、社内にもよい効果が得られる好事例。
(追加)ご本人がnoteを書かれています。
また、中根さんは広報を含めたさまざまな記事を書かれているので、おすすめ!
LT6:『事業戦略から逆算するメディアリレーションズの優先順位』 by LAPRAS株式会社 伊藤哲弥さん
伊藤さんは、事業課題と広報活動について指摘した。
記事化はうれしい。でもどうアプローチをするべきか?と。
パブリシティが事業課題を解決しない問題。
よくある話だが、メディアに掲載されても目に見えた効果がでるとは限らない。そもそもどんな効果を期待してメディアアプローチしているのか、と。
多くのPR担当者は、部門課題を気にしていないのでは?
事業課題を解決するようなPR活動をすべきでは、という提言。
LT7:そろそろメディアに「お願い(依頼)」するの、辞めませんか?というお話 by 株式会社ism 鈴木 碩子さん
今回のLTでもあったように、メディアの読者にとって価値のある情報なら記事になる可能性がある。そうでない場合、お願い、という古典的な方法が通用しない(原則的には)。
なぜなら…。
メディアは読者のために存在する。企業広報側が、ひたすら自社の情報を掲載してくれ、と頼んでも機能しないわけで…。
そして、メディアとのコンタクトばかりではなく、広い視野で自社の情報発信を見るべきだと。
メディアリレーションをしたいからこそ
メディアリレーション以外に手をかけよう
見落としがちな視点。
LT8:元ダメ広報の記者が教える記者のトリセツ by Business Insider Japan 西山里緒さん
元ダメ広報だった…と明るく語る西山さん。
トリセツのなかで、ウケたのが…。
「独占でお願いします!」がうれしい、と。メディアにあった情報提供を考えると、独占っぽくなるだろう。
そして「30文字で話せ」というヒントも。
プレスリリースのタイトルも、掲載されるスマートニュースやYahoo!ニュースを意識して設計すべし!と。
まとめ:広報PRはメディアとメディアの先にいる読者をどれだけ想像できるか?
以上、あっという間に8名のかたの怒涛のLTが終わった。
半分の4名はメディア側からの知見を共有してくれた。
LTをした広報PR側も、自分たちの情報をただ掲載してほしい、ではなく、メディアやメディアの先にいる読者や視聴者のための情報作りに取り組んでいる。掲載されるだけではなく、社内への影響や事業課題の解決も意識していくように変わっている。
ますます広報PRパーソンの役割は重要になっていく。見合った評価をできる企業がより広報PRで成功していくだろう。
イベントの詳しい内容は、いずれ公式レポートが公開されるそうだ。お楽しみに。
それまでは、当日のTweetをまとめたtogetterをどうぞ。
PRLT運営のみなさん、お疲れさまでした
LT後は、記念写真を撮影。
撮影スタッフのかたはこちら。
運営に携わったみなさんに感謝。
PRLTに参加したくなったら…
イベント告知サービス「connpass」をどうぞ。
次回は、10月29日。テーマは「コミュニティづくりからPRを学ぶ」。
また、勝手に広報塾というワークショップの活動もある。
悩んでいる広報PRパーソンのかたは、ときに会社を離れて、こういったコミュニティに飛び込むと、多くの気づきを得られる。わたしの経験上ではああるが。
なお、今回は高速のLTが多く、実況Tweetがいまひとつだった…。
オペラシティの巨人「シングマン」がもっと成長しろよ!と言ってくれた(気分的に…)