糖尿病の新たな治療
こんばんは。院長の前園です。
今年から糖尿病の新しい治療薬が保険収載されたこともあり、最近何かと糖尿病の話題がホットです。
循環器領域でも、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)や動脈硬化を予防する上で、糖尿病の管理は重要です。
ところでこの日本地図、何を示しいるかわかりますか?
実は、各都道府県別の糖尿病有病者の割合を示しています。
佐賀県は毎年、糖尿病の有病率が全国でもトップクラスに高いのです。
この現実を、我々医療者は真摯に受け止める必要があります。
もちろん医療者だけで解決できる問題ではなく、自治体も交え社会的に取り組む必要がある課題だと思います。
2023年3月、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「マンジャロ®皮下注射(チルゼパチド)」が保険収載され、4月より発売開始となりました。
グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)という2つのホルモンの作用を持つ、世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬です。
週に1回、ご自身で皮下注射する形で投与する薬剤です。
GIP、GLP-1とも主に小腸から分泌されるホルモンです。以前よりGLP-1にはインスリン分泌促進作用や食欲抑制作用があることが知られ、GLP-1受容体作動薬が糖尿病治療薬として使われていました。GIPもGLP-1と同様の作用があると考えられていましたが、これまで治療薬としては使われていませんでした。
マンジャロ®は、世界初のGIP/GLP-1受容体作動薬で、特にGIPに対する作用が強いとされています。両方の受容体を刺激することで、薬剤としての効果が強まると考えられています。
実際、強力なHbA1c低下効果と体重減少効果があることが報告されています。下図は2型糖尿病患者を対象とした海外での研究データですが、これまでに日本で販売されていた糖尿病治療薬の中で最も体重減少効果が強いとされていたオゼンピックと比較しても、非常に強いHbA1c低下効果があることが示されています。
また体重減少効果も報告されており、40週でマンジャロの用量に応じて、下記の通り体重減少がみられています。
現在日本では2型糖尿病のみ保険適応となっていますが、肥満症に対する体重減少効果も期待できる薬剤です。
また、40週で脂質異常症に対する効果も報告されています。
体重減少そのものによる効果、またインスリン抵抗性の改善による効果だと考えられます。
N Engl J Med 2021; 385:503-515
当クリニックは患者様のニーズに合わせ、新しい治療薬に関しても、安全性をしっかり考慮した上で、積極的に取り入れ治療にあたっています。糖尿病で困っている方が少しでも改善できるよう、今後もサポートしていきたいと思っています。
糖尿病でお困りの方は、お気軽にご相談ください。