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急にビンゴが当たっちゃうという発想がどこから生まれたのか

 自分が好きなゲームに『かまいたちの夜』というサウンドノベルがあります。

 1番の魅力はなんといっても連続殺人事件に巻き込まれる恐怖。“あなたのせいで、死体が増える”という有名なキャッチコピーが指し示すとおり、自分自身の手で凶行を止めなければ、待っているのは恐ろしい結末。周囲の人間たちがどんどん疑心暗鬼におちいっていく様子も怖いです。

 ただ、自分が好きなのはその自由度。『かまいたちの夜』シリーズは本編のミステリー編をクリアしたあとに選択肢が追加され、新たな物語がプレ
イできるようになります。

 初代『1』であれば登場人物の全員が“かまい”という名前の“釜井達の夜編”など、思わず笑ってしまうしょうもないストーリーなどもあります。「ノルウェーから来まーした。ノヨール・カマーイでーす」

 そうです。ボクは本編以上にこの“しょうもないサブシナリオ”を愛してやまない人間なんです。

 『2』でも“陰陽篇”というサブシナリオで主人公の透がいきなり激しいダンスを踊り狂うシーンなどがあり、「どうやったらこんな内容を思いつくんだろう?」と不思議な気持ちになります。

 シリーズ第4作で最も新しい『真かまいたちの夜 11人目の訪問者(サスペクト)』にも相当トバしてるサブシナリオがあります。それが“ビンゴ編”。

 言葉で説明するのが難しいのですが、語を読み進めていくと突然「ビンゴー!」という音声が流れて主人公が“当選”します。すいません。自分でも何を言っているのかわからないですが、本当なんです。

 なんで“ビンゴ”なんでしょうか。これがほかの単語ならば、まだ理解できそうなものですけど……。しかし、ビンゴ。ビンゴゲームをしているわけでもないのに、なにゆえビンゴなのか。意味不明です。

でも、そこに「サブシナリオだから好き勝手にやっちゃえ!」という製作側の意志が見え隠れしているような気もします。もしかしたらビンゴの3文字には『真かまいたちの夜』スタッフの熱い魂がこもっているのかもしれません。

 いや、単純に「ビンゴー!」というおもしろ音声をゲーム内に入れたか
っただけという可能性のほうが高い……。

 この“ビンゴ編”のストーリーを要約すると、小説家を目指しているものの、いつも原稿を紛失してしまう不運な主人公が、訪れた先のペンションでそれらの原稿を次々と発見する……というものになっています。

 ちなみに紛失した小説のタイトルは“横綱はヴァンパイア”や“新宿おネエ物語”といったインパクトのあるものので、内容もかなりカオス。

 宿泊客の神林さんが延々と「チョイナ♪ チョイナ♪」と歌ったりして、キ
ャラクターも崩壊しています。

 “#心に残ったゲーム”というお題で、みなさんゲームにまつわる素敵な思い出を書き綴っています。

 それはそれで素晴らしいですが、本来、ゲームというものは、作る方も遊ぶ方も自由でいい……そんなことを教えてくれたような、まったく教えてくれていないような『真かまいたちの夜』の“ビンゴ編”でした。

ビンゴー!



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