【書評】果てしない感染症との戦い〜『感染症の世界史』(石弘之)
この本も、今の状況でなければ読む機会がなかったかもしれません。とても勉強になりました。石弘之さんの『感染症の世界史』。
1、あらすじ・内容
人類の歴史は、そのまま感染症との戦いの歴史でした。その戦いは未だに続いており、近年ではエボラ出血熱やデング熱、SARS、MARS、そして現在は新型コロナウイルスが猛威をふるっています。
人類がいくら感染症を駆逐したかのように見えても、微生物たちは次々と突然変異を繰り返して進化し、新たな脅威となって立ちはだかります。
もはや人類にとって、感染症の原因である微生物は唯一の天敵だと言っても過言ではありません。
環境ジャーナリストの筆者が、人類と微生物の長い軍拡競争の歴史を通して、感染症の正体を探ります。
2、私の感想
この本が書かれたのは2017年の12月です。今の新型コロナウイルスの大流行を予見していたかのような記述もあります。
しかしそれは感染症との戦いの歴史を見れば明らかなことで、要は、
「ウイルスや細菌といった微生物は昔から地球上に存在しており、彼らとの戦いは今までもずっと繰り返されてきたし、これからもずっと続いていく」
ということが本書を読めばよく理解できます。だから、今の新型コロナウイルスが収束しても、また新しいウイルスが現れてくるんだろうな、ということもわかります。今の状況を見る目が変わると思います。
まさに、感染症の教科書のような一冊です。感染症や微生物についての知識が、これでもか、これでもかと叩き込まれます。
無駄な文章が一切なく、淡々と正しい知識が頭に入ります。今後、正しく怖がるためにも、正しい知識を持っておくことは必要だと思います。本書はうってつけです。
他にも、
「エボラ出血熱の時のWHOの対応は今とそっくりだな」
「新型コロナウイルスの広がり方は、SARSの時とよく似ているな」
「ウイルスは悪者というイメージがあるが、役に立っているウイルスの方が多いんだな(生物進化を促進させるウイルスがいるなんて知らなかった)」
などなど、色んな発見がたくさんあります。
今の状況をきっかけに、読むべき一冊だと思います。
3、こんな人にオススメ
・ウイルスや感染症について深く学びたい人
この本を学ぶ入口に深く学べるのではないかと思います。
・新型コロナウイルスが今後どうなるか知りたい人
この本を読めばよくわかります。今の状況も俯瞰できます。
・感染症の仕組みがよくわからない人
色んな事例が繰り返し語られるので、嫌でも頭に入ります。
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