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夏の午後(#シーン#ショート#小説)


私の隠れ推し活ーー

プールの授業が終わった。次は一番きらいな国語の授業だ。
髪の毛は半渇き。クラス全体の湿度が高くもわんとした空気
窓からは、爽やかな風がカーテンをそよそよとなびかせ、頬を通り過ぎて行く。なんて心地良い時間だろう。嫌いな国語の授業も眠りに落ちてしまいそうだ。

「疲れているだろうが、集中して聞くように」
と先生が言った。皆だるそうで眠そうなのがすぐわかったのだろう。

長い髪から水滴がポタっとしたたり落ちる。
教科書が濡れてしまうので、首にかけたタオルで慌てて拭った。

好きな男の子が斜め向かいに座っている。
彼は運動部で背が高く肩幅が広くてとにかくガタイの良い、真っ黒に日に焼けている。窮屈そう肩幅が机から半分いつも出ている。目はくりっとして笑顔がとにかく可愛い。なぜか彼がとても気になっている。
全体的に髪が半乾きになっており、濡れた長めの前髪が目に半分かかっていた。

なんかいつもの彼ではない

髪が濡れてるだけで、こんなかっこいい事ある?
私はチラチラと教科書と真っ黒に焼けた彼の横顔を何度も往復した。

彼のカッコよさ、どうか周りの子が気づきませんように。


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