週刊Utakataん歌選。十月第一週号

十月第一週の「人気の歌」

短歌投稿サイトのUtakataに歌の投稿を始めてから十幾日になりました。わかってたことではありますけど、日々毎々数多くの投稿があるため、秀歌・佳作であってもなくても、次々と埋もれていってしまいますね。拙歌については、自信のある詠はnoteにも発表して、さいわいなことに目利きの皆さんには、それなりのご評価はいただいているものと(勝手に)思ってるのでよいのですが、人様の歌にも、なかにはUtakataに投稿されてそれまでならあまりにもったいないものも見うけられます。よってここに週刊でご紹介することにしました。いつまでつづくか謎の企画ではありますが。なお埋め込みのリンクでも歌が読める形式にはなってますが、本家サイトでは縦書きで楽しめますので、気になる歌はポチっとしてみてください。あわせて♡もしてもらえると、紹介者としてはありがたいです。対象は、九月三十日から十月六日までの投稿分になります。

美美庵さん。プロフによると「三十数年ぶりに詠みはじめた」とのことですが、そうとう歌い込んだ方のように見うけました。この歌も結句を「非ず」と否定でしめて、逆に「かつてそこにあった事物」を浮きたたせているところなど、実にうまいです。たちこめる煙草の薫りまで、時空を超えてただよってきそうな感じがしますね。同氏からもう一首。

おそらく写実の歌と思われますが、緊迫した情景が目に浮かぶようで、またその際の作者の心情まで自然と思いやられる歌です。

未多来さん。印象を提示しておいて、結句で対象を示すところなんかうまいですね。二句切れフェチとしては、♡不可避といったところでしょうか。料理屋の生簀などにゆきあうと、こいつらはじきに人の胃袋に納まるのだなあとまじまじと眺めてしまうことがあります。その際の情感を思いおこしました。

沢海 嵐川さん。電車の乗り換えのようにはままならない恋心の乗り換え。その発想はありませんでした。第四句の軽さが、まるで恋のため息のように効いて、前後を引きたてつつ結びつけています。二句半で軽く切れているところも、定型の裏に九・九・七・七のリズムも響いてきて、新鮮な印象になりますね。

刺草キロさん。さあ今日もまたこれからひと仕事だという労務者をイメージしました。秋の深まってゆく季節の寂しさと、お握りを喰らう具体的な情景のうちに、作者の心情までにじみでる万葉ぶりの秀歌でしょう。


ここからはコメント抜きで投稿順に。


なんと言いますか、勝手に選者でもやってるようで恐縮ではありますが。もっとも短歌の世界は、誰もが詠み手であると同時に選者でもあるのが本来のあり方であって、またUtakataはそこに照準をあてた投稿サイトだと思いますので、こういう試みもあってよいのかなと。私としても、フォローワーの皆さんならどんな歌を選ぶのか、見てみてみたい気がします。

なんとなく無自覚にいいねをしている人も多いかもしれませんが、あまたの作品の中から良いものを「選ぶ」という行為は、その時点で批評の一種となってしまいます(めくらめっぽう全部いいねしている人は別かもしれませんが笑)。残念ながら「批評」という言葉は、当世ではあまりよくないイメージもあるようですが、「批評する」ということは同時に、そういう批評をしたその人自身も「批評される」ことでもあることを考えると、必ずしもやみくもに否定されるべきものではありません。それどころか、芸術・文芸の世界では、無聊を慰めあうだけならまだしも、後世により優れた作品を残してゆくためには、絶対に不可欠な営為でしょう。そこらへんはまたあらためて書きたいテーマですね。

ちなみに小生の歌はこちらから。とっちらかしてる感じですが。

それではまた。