【短編】ある晴れた日の午後6
運び込まれたパッキンの見事な連なりを見て、私達はほぼ同時に悟った。
「これは、間に合わないね。日中は片せそうにない、夜に回そう。」
「はい!」
そうと決まればバックルームに急いで押し込もうとパッキンの一辺に二人で並んだ。
しかし二人がかりで押しても一気に進まないので、大人しく1箱ずつ移動させることにした。
私から先運ぶね、と持ち上げたパッキンはずしりと重かったけど、開店までの時間との勝負、俊敏に、ただちに、バックルームまで運び次々に押し込んでいった。
そこからはあれよあれよと開店時間を迎え、二人体勢で店頭に立ち、順に昼休憩を取った。クリスマス前の期間だから、カップルで来る客も多く、ギフトラッピング対応がいつもより多かった。
(当店のラッピングは薄紙で衣類を包み、包装用の包み紙でさらに包み、リボンをかけてお渡し用の紙袋に入れる)
15分休憩をそれぞれが取り終わった頃には、もう19時を過ぎていた。
20時閉店のため、大体30分前からレジ締め作業と清掃を進めて行くので、レジ締めはムロちゃんにお願いし、私は店内のモップがけを始めた。
冬の時期は、定期的にモップがけをしないとあっという間にほこりがたまってしまう。
ニットの毛もそうだし、乾燥と相まって喉がちくちくし出す。
そうなると風邪を引き始めたり、体調が悪くなったりするので、なるべく頻繁に行うようにする。
また、鏡も拭き掃除をしてあげないと、静電気で張り付いたほこりが目立ってしまって大変汚い。
人数が少ないと後回しにしてしまいがちだけど、なるべく手をかけないと、あっという間に店内は乱れてしまう。
吉野店長は、おおらかでユーモアのある人柄だが、店内美化についてはシビアな考えを持っているので、店員は隙があれば清掃をする、が徹底されていた。
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