見出し画像

情報インフレ/コロナ以降の価格上昇と、コロナ事変

21世紀に入り物価上昇インフレーションの新形態が登場した。
それが情報インフレだ。

前回は、現下日本における人件費高騰にまつわる情報インフレを解説させてもらった。



今回はコロナ以降において常態化しつつある物価上昇局面を情報インフレという角度から捉えてみよう。


コロナ事変で個人情報が把握された


2020年に勃発したコロナ事変は世の中を有事に変遷させた。
当然、世の中にあふれる情報は有事のものとなる。
どうやら、この有事の情報をIT企業はほぼ収集し終わった。
だから、有事情報の価値が下落して、それを売却しても大した金額にはならなくなっている。

といっても何のことだかわからない人が多いだろうから、ここは分かり易く順をおって解説させてもらおう。



個人情報の商品化 そして情報デフレ


1995年からインターネットが普及し、それにともない世の中のデータが次々とITデジタル化されていった。
その結果、人々はネットに繋ぐだけで「誰が」「どこにいるか」といった個人情報を商品化して売却できるようになっている。

例えば、スマホ保有。

         →
     個人情報の商品化売却  
     「どこにいるか?」 
スマホ利用者         IT企業
      スマホ使用料割引
         ←

スマホ保有による個人情報商品化売却によって、スマホ使用料が格安になる仕組み

スマホを保有すると、
所有者は「どこにいるか」という個人情報を常に商品化してIT企業に売却することとなる。
その代金分だけ、スマホ使用料が割り引かれていく。
だから、本来とてつもなく高価なスーパーコンピューターであるスマートホンを安価な料金で利用できている。

このように、個人情報はネットに繋ぐだけで簡単に商品化されて売却されているのだ。
裏返せば、IT企業は個人情報商品を購入して収集しているわけだ。
このIT企業に収集される膨大な個人情報はビッグデータと呼ばれ、AI開発などに利用されている。

また、個人情報が商品化され売却されることで、モノ・コト・サービスが安価になる現象を「情報デフレ」という。


個人情報商品と情報デフレについて詳しく知りたい方は、この記事をご覧頂きたい。



コロナ事変で大変遷した個人情報

昨今、我々の耳目を騒がせた出来事といえば何といってもコロナ問題だ。
「有事」というにふさわしい出来事である。
コロナ問題によって平時から有事へと世の中がひっくりかえった。

この大変遷パラダイムシフトは実のところIT企業にとって願ってもないチャンスだ。

1995年から個人情報が商品化されてT企業が収集できるようになる。
それから2019年まで、四半世紀を経て、IT企業は個人情報を大量に収集できた。

だが、1995年から2019年までの個人情報は全て「平時」の個人情報だった。
ここから平時における人類の行動パターンを把握し、AI開発は進展している。
しかし、あくまでそのAIは「平時」における人類の人工的知能であり、それ以上にはならない。

「有事」における人類の行動パターン情報がない以上、有事の人類を模した人工知能AIの開発は覚束なかった。
I T企業としては有事における人々の個人情報商品が喉から手が出るほど欲しい。
それさえあればAI開発で他者ないし他社を一気に出し抜けるからだ。

これが2019年ごろの話しである。

このタイミングでコロナ問題が発生した。
世の中にある情報がくまなく平時情報から有事情報に切り替わった。

コロナ問題によって、「コト」が「変わった」のだ。

これをしてワタシはコロナ問題をコロナ事変と呼ぶ。

    コロナ事変
平時情報  →    有事情報

コロナ事変@2020年によって、平時情報が有事情報に変遷した




コロナ事変で収集されたもの = 有事の個人情報商品 


1995年から2019年までの期間で、平時の個人情報商品がIT企業によって収集されたことはすでに述べた。
では、2020年以降のいわゆるコロナ事変において一体何が収集されたのだろう。
実はもう答えは述べている。

読者も言語化まではいっていないけれど、うっすらと感じていたはずだ。

コロナ事変によって、我々の有事における個人情報商品がIT企業に収集されていたのだ。

平時の個人情報収集と同じように、インターネット回線を通じ、個人情報は商品化されIT企業にわたっていった。



有事の個人情報商品の収集  完了間近?!

時間が少し前後するが、2019年に4Gから5GへとITインフラが進化した。
ひいては2019年に日本ではQR決済が急激に普及した。
この2つは、ともに個人情報の商品化収集を急加速させる事象だ。

いみじくも、このタイミングで2020年初頭、コロナ事変が勃発し、
個人情報商品はIT企業に凄まじい速度で収集されていったのだ。

結果、2020年から2024年までの4年ほどで、有事における個人情報商品はあらかた収集されたのではと推測される。

つまり、人々の個人情報商品は「平時」も「有事」も、ともにIT企業に把握されたと見るべきだろう。

だとすれば、平時も有事も、個人情報商品にもはや以前ほどの価値はない。
個人情報商品の価格が下落しているわけだ。





情報インフレの正体


2020年に勃発したコロナ事変は世の中を有事に変遷させた。
当然、世の中にあふれる情報は有事のものとなる。
どうやら、この有事の情報をもIT企業はほぼ収集し終わった。
だから、個人情報商品全般の価値が下落して、それを売却しても大した金額にはならなくなっている。 

        →
     個人情報の商品化売却  
     「どこにいるか?」 
スマホ利用者         IT企業
      スマホ使用料割引
         ←

スマホ保有による個人情報商品化売却によって、スマホ使用料が格安になる仕組み


スマホ保有による個人情報商品化とそれに伴う情報デフレの概念図を再掲しよう。

「どこにいるか」という個人情報商品が売却され、その情報商品代金分だけスマホ使用料が割り引かれ安く利用できるのだった。

    本来の価格 ー 個人情報商品売却代金 = 利用料金

ところが、昨今、個人情報商品の価値が下落している。
IT企業が個人情報商品の収集をあらかた終えたためだ。

結果、個人情報商品による割引きが少なくなり、さまざまなモノコト・サービスの利用料金が高くなっていく。

物価が上昇しているのだ。

これが情報インフレと呼ばれる現象である。



個人情報商品という21世紀の補助線


現下世界には従来の経済学だけでは説明不能な事象が多い。
だが、個人情報という補助線を引くことである程度説明がつく現象も、また多い。

1995年のIT革命によって個人情報が商品化され、
それまで労働力商品が中心だった時代から個人情報商品への時代に変遷したからだ。

インフレもデフレもひいてはベーシックインカムも、さらには富の偏りやサブスクリプションについても、
個人情報商品を補助線に引けば、より精緻でより有意義な分析ができるはずだ。



今日はこの辺でお開きとさせてもらおう。


See agein!!

いいなと思ったら応援しよう!