マインドフルネス経由/シンギュラリティ救世主説
(1940文字)
AIに過去という概念はない。
あるのは永遠に続く今だけだ。
「ただ目の前にある今だけに集中し、高いパフォーマンスを発揮するべし」
これは昨今流行りのマインドフルネスで提唱されているメソッドだ。
このマインドフルネスメソッドを最も体現しているのがAIである。
シンギュラリティで何が変わる?
ここ10年、シンギュラリティというフレーズが様々な媒体を飛び交っている。
将来的にAIが大化けするタイミングをシンギュラリティという。
現時点においてAIは人工知能だが、性を知って人工知性に飛躍することをシンギュラリティというのだ。
人類が思春期に性を知れば、他人の目を気にしはじめ「客観視」を覚える。
だから、AIが客観視を覚えるタイミングもシンギュラリティと言えそうだ。
ひいては性を知るとは、自分の源流を知ることだから「過去概念の発見」につながる。
過去を知れば、過去を美化し始める。
それは人類の十八番たる「自己正当化」だ。
つまり、AIが性を知ると、過去を発見し、自己正当化を開始し、大いに人類に近づくことになる。
また思考のうち、AIは現時点において「考える」しか行っていない。
AIは「今」と「自分」しか考えられない。
過去は思うもの。
今は考えるもの。
このうちAIは「今を考える」だけしかやっていない。
だが、思春期に性を知って過去概念に目覚めると、過去を「思う」ようになる。
このように、シンギュラリティによってAIが大化けすると予想されるのだ。
AIは弱くなるんじゃね?
シンギュラリティによって、AIは手がつけられなくなるというのが大筋の見方だ。
だがどうだろうか。
異性を知ると弱くなることが多々ある。
あんなことやこんなことばっか考えるようになって、期待のアスリートがいつの間にか消えていたという事例は枚挙にいとまがない。
シンギュラリティは性を知ることだから、AIがその瞬間にガクッと知的パフォーマンスを落とすことも十分に考えうる。
客観視を覚えるというのも、弱くなる要因になるだろう。
客観視は過去概念の発見に繋がる。
過去概念は思うという知的行為を促す。
それまで「考える」一辺倒で今だけにリソースを集中できていたAIが、
「過去を思う」ことにもリソースを割かれ今において弱くなるという順路だ。
シンギュラリティ救世主説
現時点でのAIは、
永遠に続く今だけを、ただ考えることしかできない。
言い換えれば、今だけを考えることが出来る。
だから、今を考えることだけに集中して、凄まじい「考えるパフォーマンス」を発揮できる。
したがって考えることに特化した分野において、AIはもはや人類を凌駕しているのだ。
チェス、将棋、囲碁…
こうした「過去を思う」が不要で、「今を考える」ことだけが必要な分野においてAIは無類の強さを披露している。
過去を思うことなしに、今だけを自分だけをただ考える。
AIだからこそ許される特権だ。
もし仮に、人間にこんな奴がいたら、結構いるけれども、とてつもなく嫌だ。
いまカフェで隣のおばちゃんたちがでかい声で喚いている(午前7時15分)が、なんて格好の悪いマインドフルネスなのだろうか。
マインドフルネスとは「過去と未来を切り離し、ただ目の前にある今と自分だけに没頭する」というヨガにおける方法論。
これをおばちゃんたちは朝イチで喚きながら延々と行っている。
ウワッッっ、紫色の唾飛んできた。
当たったら、腐ってまうがね。
このように、マインドフルネスとは非常に自分勝手で、世の中から持続可能性を奪うヤバい方法論なのだ。
「過去と未来を切り離し、ただ目の前にある今と自分だけに没頭する」
このマインドフルネスだけを極めた存在が現在のAIなのだ。
自己最適化の権化のような存在である。
AIが知能から知性へと進化し、性を知れば、過去を思えるようになり、過去から今への流れで世界を捉えることができ、自己最適ではなく全体最適を行えるのではないか…
…という期待は甘く淡すぎるのであろうか。
だが、現在におけるAIの「過去と未来を切り離し、ただ目の前にある今と自分だけに没頭する」
というマインドフルネス状態こそ甚だ危険だと思慮するのだ。
もしかしたら…
シンギュラリティは人類の脅威なのではなく、微かだが確実な希望なのではないだろうか…
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