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炭素税/21世紀の「人頭税」論考
昨日9月22日。 自民党総裁候補が集まってネット上で討論会を行った。
この中で、
石破茂元氏は「法人税を上げる余地がある」と語り、
小泉進次郎氏は「炭素税を創設すべし」と述べた。
この小泉氏が述べた「炭素税」というもの。
果たして一体なんなのだろうか?
呼吸に対する税金?
どうやら炭素税というのは、炭素の中でも「CO2」すなわち二酸化炭素の排出行為にのみ課される税金のようだ。
人や組織が二酸化炭素を排出した時にそのCO2量に応じて支払う税金を「炭素税」という。
消費税の代替としての炭素税
昔と少し昔、人頭税というものがあった。
昔、
イスラム世界ではイスラム教徒以外の家族に対し人数分に応じた税を徴収していた。
人の頭の数だけの税金となることから「人頭税」と呼ばれた税金だ。
イスラム教徒になるとこれが免除されるから、イスラム教の普及に一役買った税制である。
少し昔、
付加価値税ないし消費税というものがあった。
これは人や組織が創造した「付加価値」すなわち「富を作ること」に対する税金であり、富をつくることを阻害する税金だ。
富をつくること、世の中を豊かにすることを阻害する税金…である。
必然、、この付加価値税ないし消費税を採用した国家は軒並み不景気となり、今では悪税であることが定説化されている。
付加価値税ないし消費税が悪税だというのは、採用する前から分かりきっていたはずだ。
富をつくること、豊かさをつくることに対して課税したらば、
その国家は豊かさを失ってしまうのは、当たり前だと思うのは筆者だけだろうか?
付加価値税ないし消費税が悪税であることは間違いがない。
そして、付加価値税あるいは消費税に対する風当たりが厳しくなっているのも事実だ。
欧州においてはこれ以上の付加価値税率引き上げは難しい。
日本においてはこれ以上の消費税率引き上げは難しい。
そこで「まやかしの言葉」が必要となったと筆者は見る。
人頭税としての炭素税
人間は酸素を吸って二酸化炭素を吐く。
酸素が二酸化炭素とエネルギーに分解されたのだ。
酸素 → 二酸化炭素 + エネルギー
発電所においてもほぼ同じ原理で二酸化炭素とエネルギーが排出されている。
この人間や発電所から排出される二酸化炭素にたいし課税されるのが「炭素税」なのだろう。
だとすれば、これは「人頭税」だろう。
何故ならば、
酸素を吸って二酸化炭素を排出しない人間なんぞは寡聞にして存じ上げないからだ。
よって「炭素税」とは、
「呼吸という人間活動の中心に対する税金」であり、人間の存在自体に課される税金だと言える。
すなわち炭素税とは人頭税なのだ。
人頭税は短期的統治において理想の税金
人頭税は「短期的」な統治において理想の税金だ。
まず人頭税というものは、一人当たり定額で徴収するので統治サイドの労力が少ない。
次に人頭税というものは先ほど述べたように市井の豊かさを奪う税金であり、大衆が貧しくなって統治サイドに刃向かえなくなる。
だから、短期的に人々を支配下に置くのにもってこいの税金なのだ。
人頭税は中長期的統治において最悪の税金
だが、
中長期的な視座に立てば、人頭税は2つの理由で最悪の税制だ。
まず人頭税は世の中の豊かさを奪ってしまう。
世の中の豊かさが奪われると、国家は軍事武装できなくなり、他国に屈するのを座して待つのみとなる。
次に人頭税というものは上述したように大衆を貧しくする。貧しくなった大衆は権力を信じなくなり、やがて強く憎み、反抗の機会を伺うようになる。
結果、人頭税を導入した国家は内憂外患となり、早晩滅びる。
だから人頭税は中長期的な視座に立てば最悪の税制なのだ。
最近流行りの言葉で言えば、人頭税は持続可能性のない税制である。
それでも人頭税をとりたい資本優先主義判断基準
19世紀末から、
「資本優先主義」の判断基準が人々に蔓延し、その結果として貨幣経済あるいは市場経済なるものが機能している。
資本優先主義は資本を優先する判断基準であるからして、国民よりも金儲けや企業やらが優先されるのは当然だ。
この文脈において、法人税は控えめになり人頭税の類いが増えていくのもまた当然である。
我々はまず消費税という名の皮を被った人頭税で30年を失った。
我々は次に炭素税という名の皮を被った人頭税で70年ばかしを失うのかもしれない。
👀筆者の眼👀
「炭素税」とは何か?
消費税ないし付加価値税といった人頭税を徴収するのが難しくなった統治サイドが、新たに創設しようとしているのが炭素税だ。
長期視点ではなく短期的視点のみしか持ち合わせていない税制が炭素税だ。
人々から豊かさを奪っていく税金が炭素税だ。
二酸化炭素の排出を抑制し地球環境を守る、といえば聞こえはいいが、
この炭素税制は地球環境云々の遥か前に人類の豊かさを奪っていき社会を破綻させる。
だから、炭素税は持続可能性のない税制なのだ。
炭素税を語る政治家ないしそれに類する者には、注意が必要だ。