リュックア椅子マン／近日発売／／夏を、休ませろ
リュック革命だ。
リュックサックが欠点を克服し、この夏、交差点がオアシスになる。
入神の暑さ
リュックサックはなにを置いても重たい荷物を運べる。
それがために、リュックはビジネスシーンなどで重宝される。
だが、夏場においてこの長所は欠点に変わる。
眩しい日差しはリュックの質量を倍増させるからだ。
炎天下の中、リュックを背負い蜃気楼を背に歩く。
国境沿いの教会からひたすらに北へ歩いた。
汗ばむ陽気なんてもんじゃない。
灼熱の神とはいえ、神を呪いたくなったのは生まれて初めてだ。
そんな入神の暑さが重たいリュックと共にのし掛かる。
もうダメだ…
あいつらとの約束は守れそうにない。
ニコラス…後は頼む…
真夏のオアイス
神を殺しそうになった時、背中のリュックがわずかに笑った気がした。
そうだ、
今日のリュックはアイツだった。
うだるような暑さの中でリュックを下ろし、
朦朧とする意識の中で、
なんとか祈りながら「ボタン」を押す。
リュックから４本の足が生えそろうまで、時間は永遠のように感じられた。
これは夢幻なのか。
暑さで俺はいかれちまったのか。
リュックから４本の足がのび、直立している。
いや、これは紛うことなき椅子だ。
真夏の中のオアイス。
リュックから４本の脚立が飛び出しイスになる。
そういう仕様の新型リュック。
たしか…
リュックア椅子マンっていったっけな。
あいつらが誕生日にくれたんだった。
ほとばしる汗の中で、冷たい何かがしたり落ちる。
この夏、休息が歩き出す
リュックアイスマンで九死に一生を得た。
一度落とした命だ。
もう怖いものはない。
俺はこの国に帰ってきた。
リュックを背多いカンカン照りのコンクリートジャングルを歩く。
無慈悲な赤信号。
だが、
交差点でリュックを下ろし、ボタンを一押しすればリュックがイスに早変わり。
おもむろに腰を下ろし、イスに腰掛けてたっぷりと水分補給。
リュックア椅子マンで、
この夏、
交差点が都会のオアイスにかわる。
この夏、交差点がオアシスになる。
この「リュック兼用イス」という新基軸商品の優れた点は数え切れない。
①リュックの強度を利用し、自然なカタチで椅子の背中掛けにできる
②どうせ重たいのだから、脚立４本部分の重さが加わっても高が知れている
③最近、軽量ながら強度が担保された材質が開発されており、
脚立部分は軽量低コストで生産可能
④意外性
⑤ガンダム世代にうったえかけるソウルがある
⑥ガンダム世代はボリュームが多いので、ええお客さんになりまっせ
⑦現実問題、交差点などで一息つけるのは大きい
⑧流行遅れになって倉庫に眠っているリュックを流用して生産可能
⑨南半球全域で強いニーズが見込める
これらの点を勘案すれば、これは「売れる」と太鼓判を押すしかない。
大人気、「ワイヤレスアイスホン」と併せて使えば、
夏は、確実に終わる。
リュックア椅子マンで、君の夏を終わらせろ。