仏道修行者として、わたくし達凡夫が、仏陀・阿羅漢へ向かう最初の段階として、まず須陀洹(シュダオン)を目指すことになります。須陀洹にはいくつかの定義がありますので、ひの出版室『仏陀に学ぶ脳と心』、大東出版社『国訳一切経』を中心に全体像を見ておきましょう。
なお、ご承知のように、須陀洹・預流になれば現世でも来世でも、惡趣(地獄の境涯)に落ちることがなく、聖者の流れに入り、心は寂静となってニルバーナ(涅槃)に向います。七回天界と人間界を往復して苦辺を究竟し、斯陀含(シダゴン)、阿那含(アナゴン)、仏陀・阿羅漢の階梯をのぼって参ります。
①「身見、疑惑、戒取」の三結を断じる
② 仏、法、僧への信、聖戒成就である「四不壊浄(四不壊信)」の成就
③ 離に喜楽を生じ初禅(須陀洹の境界に住する)
如何でしたでしょうか。阿含経に説かれている「須陀洹」についての経典は、具体的な修行方法を明示してくれているようです。それぞれの語句はわたくし達、現代人がイメージできるように、今後、意訳、翻訳いたします。
なお、『鞞紐多羅経』はそのままで分かり易く、仏、法、僧への壊れることのない信を固め、聖戒(十善戒の身体3つと口の4つ)を護ることで、須陀洹となると説いています。阿含経における十善戒は、大乗仏教で説くところのそれと、かなりニュアンスの違いがありますので、再確認をされると良いでしょう。
須陀洹は、我欲を離れ、利他の心、周囲のお幸せを願う心を持つ存在のようです。また、心の3つ「不慳貪戒、不瞋恚戒、不邪見戒」は須陀洹となって斯陀含に向かう段階での修行であると読めます。合掌