夫とすれ違いすぎて、救急車で運ばれた話。 #子育てフリーランス 18話
【#子育てフリーランス これまでのお話】
夫婦お互いに仕事が忙しくなり、育児と家事の負担も重なり、二人の仲はだんだんと険悪に。夫と話し合うことを試みるも、夫は向き合ってくれない。そこでカワグチは夫婦問題を一旦横に置き、「お金を稼ぐ」ことを目的に奔走。そしてその1年後、カワグチは働き過ぎて体調が悪くなってしまい、突然の腹痛に襲われる…!
前の話はこちら
ズッキン…ズッキン…ズッキン…!
感じたことのないようなお腹の痛みが止まらない。
ズキン…ズキン…ズキン…!
ダメだ… 立ってられない…
目を開けていられない…
もし、このまま倒れたら、ソウちゃんはどうなる?
お腹がすいてキッチンへ向かって、火をつけたら?
私の助けを求めて、外に飛び出したら?
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私は、渾身の力を奮って立ち上がりました。
これが火事場のバカ力というものかもしれません。
激痛から冷や汗が、ボタボタ床に落ちていく。
意識があるうちに、夫に電話しよう…!
来てくれるか、出てくれるかもわからないけど…。
そう覚悟して、夫の携帯電話にかけました。
TRRRRRR TRRRRRR
ガチャ
出た…!
私は夫に、お腹の激痛が止まらないことと、今すぐ家に戻って、ソウちゃんと一緒にいて欲しいことを伝えました。
しかし…
まさかの夫の返答に、
踏ん張って立ち上がった力が、一気に抜けていきました。
夫が何か言ってる気がするけど、痛みが酷くて声が聞こえない。
ううん、聞きたくない。
私たち、本当にこのまま元に戻れないのかな…。
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それから、どれくらい時間が過ぎたのか…
私はしばらく痛みのせいで意識が途切れ途切れになっていました。
ソウちゃんは泣き続けていたのか、私の横で眠っていました。
痛みは、どんどん増すばかり…。
その時…
ピンポーン!
インターホンが鳴りました。
宅配便だろうか?
それなら、宅配ボックスに入れといてください。
いやいっそ、宅配便の人に、助けてって伝えるべきなのか。
痛みで思考も回らず、横に倒れたままでいると、
ドアの外から男性の声がする。
その声は夫ではなく……
!!?
救急隊員の方でした。
ビックリして、立ち上がろうとしたら、またお腹が痛い。
ズキン…ズキン!
私は、最後の力を振り絞って廊下を歩き、ドアを開けました。
ガチャ…
その瞬間…
救急隊員の人たちが勢いよく家の中に入り込み、ただ事ではない様子で私を取り囲み、あっという間に救急車まで運ばれました。
急にたくさんの人たちが家に押しかけたから、ソウちゃんがさらにパニックになっているかもしれない。
そう思い、救急車の中を見渡してみると…
安心した途端に、現実が少し戻ってきました。
なぜ救急車が家に来たのだろう…?
よく考えたら、とんでもなく不思議…。
隣人の人が、私の唸り声を効いて連絡してくれたのか?
ソウちゃんが覚醒したのか?
私の想いが天に通じたのか?
そんな考えが、丸ごと表情に出ていたのか、隊員の人が答えてくれました。
。
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なんか、私たちって、いつもこうやってすれ違ってきたんじゃないかな。
長い間、一緒にいることに甘えて、伝えることも、理解することも、お互いサボり過ぎていた。
ピーポー
ピーポー
ピーポー
救急車のサイレンが響き渡る。
その中に乗っているのは、夫とすれ違って、お金に取り憑かれ、謎の腹痛で運ばれてる哀れな女。
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いつからか、不仲になってしまった私と夫…。
この時の私は、負の感情で、いっぱいになって、冷静に考えることができていなかった。
私たちは、この辺りから、さらに険悪になってしまった。
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ー10年前ー
これは…結婚する前の私たち…。
そうそう、二人で、モンスターを狩るゲームにハマってたっけ。
ゲームが下手くそな私と一緒に遊んでくれたことが、すごく嬉しかったな…。
この人と、ずっと一緒にいたい。
一緒にゲームをして生きていきたい。
そう思いました…。
彼は無表情だけど…
言葉足らずだけど…
不器用だけど…
私は、そういうところをわかってて、惹かれて、この先、ずっと一緒にいたいと思ったんだ。
ああ、やっと、わかった気がする。
私は……
この気持ちが、夫に対する、「怖い」「悲しい」「怒り」の正体だったんだ。
それなのに、意地を張って、歪んだ態度で接して、伝わらなくて、傷つけあってしまった。
不仲になって、息子を悲しませて、挙げ句の果てには働き過ぎて救急車で運ばれちゃって…
そんなこと、全然求めてない。
産後も、好きな仕事を続けたかった…!
私も働けば、夫を支えられると思った…!
大切な人たちと幸せに暮らしたいと思った…!
そうそう…
そうだよ…
ズキン…ズキン…ズキン!
ズキン…ズキン…ズキン!
ズキン…ズキン…ズキン!
お腹の痛みで目が覚めると、そこは病院で
目の前には夫と、泣きながら眠る息子のソウちゃんがいました。
つづく
最後まで読んでくれて、ありがとうございます!今のカワグチです。このシリーズは「子育てしながらフリーランス」の原作なのですが、フリーランスの本だけど、夫婦関係のお話を濃く深く書いています。それくらい、子育てフリーランスには夫婦関係は切っても切り離せない関係だと思います。それというのも…私は、「フリーランスかーちゃん」の執筆のため、いろんな働く主婦の方のお話を聞きました。 その対談の様子はYouTubeにまとめてます。それで気づいたんです。「ほとんどの働くお母さんたちが、旦那さんと一度、険悪になっている…」と言う、隠された真実を!夫婦関係のことって、なかなか言えないんですよね。私は、元から恥も外聞もスッカラカンなので、赤裸々に相談しまくってたら、その反動で、みんなも話してくれました。 ありがとうございます!というかもう社会問題くらい深刻だと思いますよ!この共働き夫婦関係問題!共働きでなくても。もちろん家族の問題は一括りには絶対にできません。一つ一つの家族が、環境も関係も問題もバラバラのバラ。中には…悩んで向き合って和解したり、ぶつかってる途中だったり、離れたご夫婦もいると思います。そのどの選択でも、間違いとか、正しいとか、ない。ただ「選択」があるだけで。正しい答えがあるとしたら… 自分が納得する選択をすることだと思います。その、自分の人生に関わる大事な選択を、世間に気を使わず、自分の一時的な感情に振り回されず、奥底にある、自分の本当の気持ちから、選択できたらいいなと思います。我が家みたいに、マジですれ違い真っしぐらなパターンもあると思うので。「本当の自分の気持ちへのアクセス★」って本当に大事だと思います。実際、我が家は今でも、夫の働き方は「あまり」変わっていません。さすがに、異常な残業や休日出勤は減りましたが、相変わらず、私は平日ワンオペってます。状況はこの頃とそんなに変わってないんです。話し合いした結果、夫も転職して、「今は仕事を頑張りたい」とのことでしたので。ただ、素直に気持ちを話し合うことで、夫との関係は変わりました。お互いが仕事の話をすることで、忙しい時期を把握できるようになりました。お互い疲れていても、「自分のせいで疲れた顔をしてるのかな?」という、思い込みからの不安が減りました。また、相手がどれくらい働いているか(稼いでいるか)を知ることで、仕事へのプレッシャーも軽くなりました。「夫が残業頑張る月は、私の仕事を減らそう」とか、「私が忙しすぎる時期は、夫が出来るだけ残業しない」とかとか。夫婦関係って、一緒にいる限り続きますから。ゴールってないんですよね。向き合い続けるんだろうな〜って思います。救急車に二度と運ばれないためにも、、!次回、最終回になります。
カワグチマサミ(@kawaguchii_game)
⭐️『子育てしながらフリーランス』左右社
子育てしながらフリーランスで「いい感じ」で働くまでの赤裸々エッセイとフリーランスハウツーを詰め込んだ一冊。夫婦関係のことも赤裸々に書いてるよ。いい感じで働きたい人に届け〜!
⭐️『みんなの自己肯定感を高める 子育て言い換え事典』KADOKAWA
育児本だけど夫婦関係や仕事でも使える自己肯定感を高める子育て言い換え事典
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