「いい家族」って、どんな家族だろう?
私の本を、ずっと読んでくれている方が言いました。
「カワグチさんは、家族をテーマにした本が多いね」
た、たしかに!
家族のための家事時短料理本、
家族のためのお金の本、
家族がいい感じで働くための本、
そして、先日出版された「名もなき家事妖怪」は、
すれ違ってる家族のための本。
どれもこれも、家族が幸せになるために作った本ばかり。
執筆は、溢れ出るエネルギーがないと書けない。
それだけ私の中には、幸せな家族に対してエネルギーがあるみたい。
マグマのように。
なんで私は、家族をテーマにした本ばかり描くのだろう?
振り返って、遡って、問いかけてみる。
すると、小さい頃の自分が見えてくる。
理由はきっと、私は人一倍、幸せな家族への想いが強いから。
その言葉だけを見たら、あたたかいものに見えるけど、
私にとっての「幸せな家族への想い」は、執着に近いものかもしれない。
育った家庭は、「普通」といえるものではありませんでした。
両親は、良くも悪くも共依存関係で、離れたくても離れられなくて。
私はそんな親を見て、小さい頃から、ずっと、ずっと、
そう強く、強く、決めていました。
そして、出会った夫は、
不思議なくらい、話し出したら止まらないくらい気が合いました。
狩に行っても阿吽の呼吸。
喧嘩することもほとんどありませんでした。
こどもも生まれて、とても幸せでした。
彼は、父と違って、「いい父」になる。
あとは私が頑張って、「いい母」になれば、きっと「いい家族」になれる。
育った家族みたいには、絶対にならない!
そう、思っていたけれど、現実は甘くありませんでした。
はじめての育児は慣れないことばかりで、寝不足が続き、気持ちも不安定に。
こどもが大切であるほど、育児も家事も手が抜けない。
当時は、仕事をセーブしていたこともあり、
そんなふうに、思い込んでいました。
こどものためにちゃんとしたご飯を作って、
夫のために掃除も洗濯も洗い物もちゃんとして、
「いい家族であるために!」
その言葉を呪文のように唱えて。
だけど、私はマルチタスクが苦手な性格で、家事は人一倍時間がかかります。
育児だけで手一杯になりました。
そこに追い討ちをかけるように、本格的に仕事復帰することに。
寝不足と疲労が重なると、イライラすることが増えました。
すると自然と、夫とぶつかることが増えました。
何度も、何度も。
話せばぶつかる。
それなら最初から話さない。
そんな関係が、2年半ほど続きました。
とてもとてもつらい時期でした。
自分の親より、誰より、大切な人だったのに。
我慢しているものはいずれ、柵を決壊して溢れでる時がくる。
そのとき気付きました。
違う。
だって、
それじゃ、小さい頃の私にそっくりじゃないか。
無理をして笑って、無理してることにも気づかない、「私」と。
いい家族は、
私にとってのいい家族は……
素直な気持ちを言い合える家族。
楽しいときに「楽しい」って言える、だけじゃない。
しんどいときも「しんどい」って言える家族。
自然に溢れる気持ちを、自然に伝え合うことができる家族。
私は、素直な気持ちを夫に伝えました。
すると、素直な気持ちが返ってきました。
そして気づいた衝撃の事実。
夫は、家事を手伝うどころか、もっと働いて、それが家族のためになると思っていたのです。
私は働くことは嫌じゃなかった。むしろ、家事を手伝ってほしかったのに!
このとき、ハッキリと、夫と、すれ違っていたことに気づきました。
もし、夫と素直に話し合うことができてなかったら………?
取り返しがつかないことになっていたかもしれない。
夫婦が離れることはいい悪いじゃない。
選択の一つです。
でも、中には、
相手に理解してほしいから一緒にいたいから、悩んでる人もいる。
ほんとは向き合えるのに、すれ違ってしまってる人たちは、
どれくらいいるのだろう?
その人たちは、どうやったら向き合えるんだろう?
そのためには、どうやったら傷ついた心を癒せるだろう?
すれ違いが起こるのは、
見えないものが多すぎるからじゃないか?
家事も、育児も、仕事も、お互いの気持ちも、目に見えない。
大切なものほど、目に見えない。
もし、見ることができたら?
名前をつけることができたら?
家族でシェアできるんじゃない?
そうして作ったのが、「名もなき家事妖怪」という家事シェア漫画です。
家事や育児に悩む4人家族のお母さん・トモコの前にある日、
ねこ妖怪「ニャン吉」が出現します。
ニャン吉は「名もなき家事妖怪(=名前はついていないけど厄介な家事)」を見える術をかけ、一緒に退治してくれます。
すれ違って、ぶつかって、気づいて、向き合っていく、家族の物語。
ニャン吉は、今の私。
母のトモコは、昔の私であり、今、夫婦関係で悩んでる人たちです。
家族で家事をしたい。
すれ違ってる夫婦関係をよくしたい。
家事も育児も頑張りすぎて疲れた。
そういう人たちに読んでほしい本です。
あなたの家族が、あなたの家族にとっての、「いい家族」であるために。
そのきっかけになれたら嬉しいです。
カワグチマサミ(@kawaguchi_masami)
⭐️『名もなき家事妖怪』(幻冬舎)
「夫婦関係をよくしたい」、「家族で家事シェアをしたい」、「子どもに自ら家事をしてほしい」人に読んでほしい、家事シェア漫画。
⭐️『子育てしながらフリーランス』左右社 Amazon unlimited無料期間
子育てしながらフリーランスで「いい感じ」で働くまでの赤裸々エッセイとフリーランスハウツーを詰め込んだ一冊。夫婦関係のことも赤裸々に書いてます。
⭐️『みんなの自己肯定感を高める 子育て言い換え事典』KADOKAWA
育児だけでなく夫婦関係や仕事でも使える自己肯定感を高める声かけの本。重版決定!