アニソンとゲームとサブカルチャーと
「サブカルは日陰者文化だ」という書評家吉田豪氏にインタビューを行うYouTubeを観ていて、そういえばゲームもサブカルチャーだった時期があったなと思った。
サブカルチャーという言葉が、雑誌や新聞で目に付くようになった1970年代。テレビと並びこれらのメディアが世の中に与える影響力は大きかった。今のインターネットメディアやSNSのように。
サブカルチャーは社会において少数派の人たちが支持する文化で、メジャーなメディアで積極的に取り上げられる音楽、演劇、映画、出版等「文化」の対極にあるもの。カルチャーとサブカルチャーの違いは、主流か非主流か、多くの人に認められているか認められていないか、支持する人が多いか少ないか、メジャーかマイナーか、といったところだろう。
1970年代アニメや漫画はまだサブカルチャーだった。
1978年にリリースされた『スペースインベーダー』が大ブームになった。世間では、ゲームは一過性のブームだと思われていた。当時は。ゲームをサブカルチャーとして取り上げる雑誌はわずかにあったが、ブームに便乗するメディアが大半だった。
1980年代になるとアニメや漫画の露出がメディアで増え、そろそろカルチャーになりそうだなと思った。
同年代の中ごろファミコンのブームが起こる。ゲームファンの多くは、小中学生だったので、人気があったもののサブカルチャーの仲間には入れてもらえていない。一般にゲームは玩具の一種という感じだった。
1990年代になると、プレイステーションの発売もあり大人のゲームファンが増え、ゲームは漫画やアニメと同じように、カルチャーとして位置づけられるようになった。
カルチャーは、ビジネスとして成立しているという意味合いもある。そう考えると、サブカルチャーは、ビジネスとしてまだ成立していない、ということになる。関わっている会社や人すべてそうだというわけではないが。
今夏テレビで森口博子さんがアニメソングについて語っていた。その番組を見て思い出した。
1990年初頭キングレコードの新曲発表会が九段のホテルで開催された。詳細はうろ覚えだが、『機動戦士ガンダムF91』の主題歌が発売されるので、その記者発表会だったと思う。
多くのメディアや音楽業界関係者が出席していた。キングレコードの広報担当者が新曲の説明をした後、森口博子さんが主題歌を歌った。
そばにいた知り合い同士らしい二人が、「森口はアニメの方に進むんだな」と話していた。
当時アニメソング(アニソン)はそれほど注目されているビジネスではなかった。サブカルチャーの類いだった。
二人の会話には、森口さんが、歌謡曲というビッグビジネスから、将来どうなるかわからないビジネスに進むことに対する皮肉っぽいニュアンスがあった。業界的にみるとそういう感じだったのだろう。どこの業界にもそういうことはあるかもしれない。
あれから30年たった。今やゲームやアニソンはカルチャーになり、テレビで取り上げられるようになって久しい。それぞれファンを増やしながらサブカルチャーからカルチャーになった。その間マイナーからメジャーを目指して奮闘した縁の下の力持ち的な業界関係者たちがいたことは想像に難くない。
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