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12月16日 読書会報告
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
12月16日の夜に開催した、2023年最後の「東京読書倶楽部」読書会の報告です!
この日は新規の方が4名、リピーターが7名の合計12名でお酒を飲みながら読書会、その名もBOOK & BOOZE! 半年ぶりにいらっしゃったリピーターの方からはじめましての方まで、楽しく語らいました。
前年(2022年)は年末とあって5人くらいしか集まらなかったですが、今年はなんと12名満席!本当皆さんのお陰で成り立っているなと、ありがたい限りです(*^^*)
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・紹介して頂いた本
野村美月「むすぶと本。 『さいごの本やさん』の長い長い終わり」KADOKAWA
東北を舞台に、店主が亡くなった書店を継いだ高校生 榎木むすぶ。彼は本の声が聞こえるため、その人ピッタリの本を紹介できるという。本との出会い、本によって救われる人々の物語。
ちなみに主人公は恋に悩んでいるのだが、その作品のモチーフが坂上安吾の「夜長姫と耳男」。実際に読んでみたら、”魅入られること”の底なしの恐怖感を覚えたという。
北野武「首」KADOKAWA
現在上映中の「首」を観に行った紹介者。戦国時代の人間の価値の低さと、武将との上下関係は、どこか現実社会にも通じるところがある。ただまぁ、戦国時代に生まれなくてよかったわって、映画・小説を通じて思う。
小川哲「地図と拳」集英社
太平洋戦争下の満州。そこで町を作る建築家など、様々な主人公の目線を通じてかつての戦争を振り返る。
近年はポリコレというか、それを経験した当事者でないと語るに値しない風潮が少なくない。だが、戦争を体験していない著者自身だからこそ、かつての戦争をフラットな視線で描けるのではという意図があるそうで。
坂上暁仁「神田ごくら町職人ばなし」リイド社
江戸時代 神田のごらく町という職人街で働く「女性」の物語。職人として生きることは、技術だけではなく、心掛けが大事なんだなって実感する。
当時の時代背景からしたら、女性の左官屋や刀鍛冶などありえない話だが、よくよく考えると数十年前も同じような考え方(女性が就けない仕事があること)は、わりと普通だったんだよなって。
アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー」早川書房
映画「オデッセイ」の作家が描くSFエンターテインメント。中学校で教鞭を取っていた主人公が、いつの間にか宇宙で一人ぼっちに(記憶喪失)。その過程を辿るうちに、母国での記憶も思い出していく。
プロットはジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「たったひとつの冴えたやりかた」のオマージュ。登場人物が全員性格がいい人しかいないから、読後は優しい気持ちになる。
佐藤友哉「灰色のダイエットコカコーラ」星海社
祖父は北海道で覇王とも呼ばれた漢だったが、主人公はただのフリーター(19歳)。祖父の生き方や、主人公の周りのやんちゃした人々に憧れ、自分は何者かになろうともがき苦しむ物語。
タイトルは中上健次の「灰色のコカコーラ」を踏襲しており、青春の痛々しさ、青年の苦々しさを圧倒的な文章力で描く。
柴田勝家「ニルヤの島」早川書房
人類の記憶を全てデータとして残せるようになった世界。故に天国や地獄という考え方自体がなくなり、それでも最期まで宗教が残っている国「ニルヤ」。そこでは未だに死んだ人を船に乗せて流すという文化がある…。
なぜ人が死ぬと悲しいのか、それは死んだ人をいずれ忘れてしまうから。でも全てを記憶できたら、物体が滅んでも記憶が残るとしたら、我々の魂というものは、一体どこにあるのだろうか。
今村夏子「むらさきのスカートの女」朝日新聞出版
自分のことをまともだと思いこんでいる、自称普通な女が「むらさきのスカートの女」という変わった人に対してお節介を焼く物語。だが、読み進めると主人公自体がやばいやつだと読者が気づく。
そもそも自分の視点がまとまかどうか判断することはできないが、自分よりもやばいやつだと思ったら、自分自身の方がやばかったということは、往々にしてよくあることなのかも。
西加奈子「わたしに会いたい」集英社
病気になって自分自身を見つめ直す短編小説。主に女性に関する病気が多いものの、だからこそ男性が読むべきだという紹介者。「水を浴びる」ように、股の下から違和を感じる、言葉の力を覚えてやまない。
病気に関する表意文字に関する話も恐ろしい。例えば「癌」という漢字は、体(やまいだれ:疒)が四角い腫瘍(品)で埋め尽くされる、山のように沢山でもあり、山を登るように肉体を蝕んでいく。
2024年1月の読書会スケジュール
1月13日(土) 10:00~12:00
朝活×読書会
1月20日(土) 14:00~17:00
散策×読書会
1月27日(土) 19:00~22:00
飲み有り読書会 BOOK & BOOZE!
ご興味ありましたら、コメントやPeatixにて是非お待ちしております。
さて、2023年も大変お世話になりました。2024年になったからと言って、新しいイベントを企画する気はなく、共同運営者を募集するわけでもなく、ひとり平々凡々と読書会を続けていく所存です。
来年も皆様に会えるのを、心よりお待ちしております(*^^*)
皆様とお話しできるのを、心よりお待ちしております。
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