フリーランスが自分でウェブサイトをつくる方法
■ フリーランスがウェブサイトを持つメリット
まず、一つの結論を書きます。
もしフリーランスで長く活動を続けたいと思うならば、自分のウェブサイトを持っておいたほうがいいです。
なぜならば、現在は、ほとんどの仕事の依頼がメールで来る時代だからです。ウェブサイトは、そのメールを送るための「入口」であり、何の商売をしているのかを示す「看板」です。
こう書くと、次のようにおっしゃる人もいるでしょう。
「いや、SNSでプロフィールを公開してるし、仕事はDMで来るから大丈夫」
「ウェブサイトなんてお金と手間がかかるし、管理が面倒」
たしかに、SNSは、お金や手間がかかりませんし、管理がラクです。
かくいう私も、SNSを運用しており、DMを介して仕事をご依頼されたことがあります。
ただし、私個人の経験を踏まえて言うと、ウェブサイトのメールフォームから来るメールのほうが、SNSのDMよりも依頼主の方の「熱量」があり、大きなビジネスにつながりやすいと感じています。
それは、依頼主の方が、私の職種や過去の実績などを紹介する記事をよく読まれたうえで、メールを送ってくださるからではないかと推測しています。
また、依頼主の方がSNSのアカウントを持っておられず、すぐにDMが送れないことも多々あります。
その点、ウェブサイトを設け、そこにメールフォームを置いておくと、依頼主の方はラクです。何かをきっかけにして名前を知り、それをキーワードにして本人の「ウェブサイト」にたどり着き、経歴や実績などの情報を読み取ったあとで、名前・メールアドレス・要件をさっと書いて送信できるからです。
■ ウェブサイトは自作できる
そのため私は、ウェブサイトを自作し、ネットで公開しています。
もちろん、私は「ウェブデザイナー」、つまりウェブサイト制作のプロではありません。ウェブ関連の知識においては、「ウェブデザイナー」の方々にはまったく及びません。
実際にウェブサイトを自作すると、設置や更新、デザインの変更などで、長い時間があっという間に消費され、自分の知識や技能が不足していると痛感することが多々あります。
それでもウェブサイトを自作しているのは、次の3つの理由があるからです。
①自分の都合で随時更新できる
②ネット環境の変化に対応しやすい
③プロにまかせるより安価で済む
①の「自分の都合で随時更新できる」は、自分の情報をすぐに発信するうえで大きなメリットがあります。また、ウェブサイト全体のリニューアルも、自分でできる腕があるなら、プロにおまかせする必要がありません。
②の「ネット環境の変化に対応しやすい」は、時代の流れに追従するうえで重要です。
現在は、私が独立してウェブサイトを自力で立ち上げた20年以上前とくらべると、ネット環境が大きく変化しています。現在は、多くの人がパソコンではなくスマートフォン(以下、スマホ)でウェブサイトを閲覧しますし、おもに使われる検索エンジンやブラウザの種類も変わっています。また、かつてはメジャーだったのに、今では存在しないブラウザやウェブサイト作成ソフトもあります。
ところが、私と同年代(50代)のフリーランスの人のなかには、こうした時代の流れに追従できず、古いデザインのウェブサイトをそのまま使い続けている人がいます。
古いデザインのウェブサイトのなかには、現在うまく閲覧できないものがあります。最新のブラウザや、スマートフォン(以下、スマホ)に対応できていないからです。
たとえば、スマホが普及していなかった時代に制作されたウェブサイトは、スマホで閲覧しにくいです。ブラウザが、パソコンで閲覧するときと同じように表示しようとして、文字が極端に小さくなってしまうからです。
このまま放置すると、閲覧者から「離脱」される確率が上がります。
また、検索エンジンで紹介してもらうためのSEO対策が長らく更新されず、Googleでその方のお名前で検索すると、ウェブサイトが下の方に表示される例もあります。
ところが、私と同年代である50代のフリーランスの人のなかには、デザインやSEO対策が古いウェブサイトを長らく使い続けている人が多いです。
これでは、「ウェブサイト」を自分の「看板」として十分に活用できません。
このような状況を避けるには、ネット環境の変化に合わせて、自分のウェブサイトをカスタマイズする必要があります。もちろん、それをプロにおまかせする方法もありますが、運営者本人がネット環境の変化に気づいていないと、プロにカスタマイズを依頼できません。
このため、自分でネット環境の変化を感じ、その対応の必要性を知るうえにおいても、自分で対策する経験をしておいたほうがよい、と私は考えます。
③の「プロにまかせるより安価」は、単純に全部自分でやるからです。私の場合は、「ウェブサイト」の維持にかかる費用は、サーバーレンタルにかかる費用(1年あたり約12,000円)と、ドメイン更新料(1年あたり約1,600円)、合わせて13,600円です(2024年12月時点、割引料金除外)。なお、最初はドメインの取得や、WordPressのテーマの購入などの初期費用がかかります。
■ 1人で「ウェブサイト」を設置・管理する方法
次に、自分1人で「ウェブサイト」を設置・管理する方法を、私の経験に基づいて書きます。
まず準備をしよう
最初にすることは、以下の4つです。
ドメインを取得する
サーバーをレンタルする
WordPress(ワードプレス)をインストールする
テーマを購入する
以上の4つは、バラバラに行うと面倒です。
このため私は、XServer(エックスサーバー)を利用して、これらの管理をすべて一括で行っています。XServerのウェブサイトには、4つの作業を解説した記事が掲載されています。
「WordPress」と「テーマ」については、補足しておきます。
「WordPress」は、ウェブサイトを構築・運営・管理するためのソフト(CMS)の一つです。日本では支持率が非常に高く、国内のCMS市場全体の84.4%を占めています(2022年9月時点・出典)。
いっぽう「テーマ」は、ウェブサイトのデザインや機能を決めるテンプレートです。
私の場合は、「テーマ」として「SWELL」を使っています。「SWELL」の公式サイトによると、「シンプルなのに、高機能」「国内人気No.1のWordPress」だそうです(2024年12月時点)。もちろん、パソコンとスマホの両方に対応しています。
ウェブサイトを構築しよう
次にやることは、ウェブサイトの構築です。
私の場合は、メニューバーに次の8つの項目を設けています。
ホーム
プロフィール
ニュース
著書
ギャラリー
ブログ
SNS (リンク集)
お問い合わせ
どれをメニューに載せるかは、その人次第です。
ただ、あまり項目を増やすと、メニューバーが見にくくなり、閲覧しにくくなるので、現在私は情報を整理して項目の数を減らすことを考えています。
公開・管理しよう
自分なりに納得できるウェブサイトが構築できたら、あとは「公開」ボタンを押しましょう。
ブラウザにアドレスを入力し、パソコンとスマホの両方で表示されることが確認できたら、とりあえず完成です。
ここで「とりあえず」と言ったのは、検索エンジンに反映されるためのSEO対策が終わっていないからです。
SEO対策は、正直言うと細かくて面倒です。しかも、対策方法が頻繁に変わるので、一般にはむずかしいと言えるかもしれません。でも、必要です。
そこで私の場合は、WordPressのプラグインとして最近「All in One SEO」を導入し、「Googleアナリティクス」と連携させました。理由は単純で、XServerのウェブサイトが「All in One SEO」の導入をすすめており、「Googleアナリティクス」との連携が容易だったからです。
あとでわかる効果
ここまで読んだ人のなかには「なんだか面倒そう」「それほど細かいことはできない」と思う方もいるでしょう。
はい、その通りです。素人である私にとってはたいへん面倒かつ細かい作業なので、多くの時間を消費します。プロにおまかせできるなら、そうしたいです。
ただ、自作したウェブサイトの効果は、非常に大きかったです。
想像以上の数の人に閲覧していただき、メールフォームを通して多くの仕事のご依頼をいただきました。
私が独立から20年以上フリーランスで活動できた理由と一つがここにある、と自分なりに分析しています。
■ それでも「面倒だ」と思う人へ
それでも「ウェブサイトを設置・管理するなんて面倒だ」と感じる人もいるでしょう。
そのような人には、以下のサービスをおすすめします。
note
ペライチ
ここで「のーと??」と思う人もいるでしょう。
じつはnoteには、特定の記事を「仕事依頼」のためのページとして登録できる機能があります。登録した記事には、自分の経歴や実績、受注できる職種などを記入。あとはメールフォームと組み合わせれば、立派なランディングページ(LP)ができあがります。
「ペライチ」は、無料でLPがつくれるサービスです。LPを無料で公開できるサービスは、他にもあるようです。
■ とにかく自分だけのウェブページを持つ
以上、細かいことをいろいろ書きましたが、私がこの記事で申し上げたいことはただ一つ。
それは、冒頭で述べた通り、「もしフリーランスで長く活動を続けたいと思うならば、自分のウェブサイトを持っておいたほうがいい」ということです。
はっきり言うと、フリーランスは社会的地位が低いです。自分の経験や技能、実績などをアピールしないと、誰もふり向いてはくれません。かつては、アピールする手段が紙や看板でしたが、今はネットへと移行しています。
このため、自分だけのウェブサイトをつくり、それを通して「この人ならおかませできそう」と思ってもらい、メールフォームを通してご連絡をいただく。こうした流れが実現できないと、フリーランスが生き残るのはとてもむずかしいでしょう。
かく言う私は、独立から20年以上フリーランスとして活動し、これまで海外版もふくめて計26冊の書籍を上梓してきましたが、仕事のご依頼はほとんど出版社経由ではなく、ウェブサイトのメールフォームからいただいています。
それゆえ、フリーランスの人には、何らかの形でウェブサイトを設けることをおすすめします。
もちろん、プロにおかませするほうが安心ですし、仕上がりのクオリティも高まりやすいです。
ただし、ウェブサイトの設置・管理の方法を自分で知っておくことは、これからの時代を生き残るうえで重要だと、私は考えます。