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カヤックの経験はないけどこの本は面白い 『海旅入門』

きょうは『海旅入門』(著:川﨑航洋、イラスト:川﨑あっこ)というシーカヤックの入門書をご紹介します。
わたしはシーカヤックをやったことがなく、正直言って近々やる予定もないのですが、この本は面白い。海旅への憧れをかき立ててくれました。

いつかは海旅してみたい…

本書の後半に収められている実際の海旅の記録を読むと、陸の旅とは別の世界があることが分かります。例えば島根半島の周囲を漕ぐ海旅。著者は夫婦で稲佐の浜から日本海岸を東へ漕ぎ、途中2泊のキャンプを経て境港まで回り込んでいます。舟でしか行けない入江もあるそうです。特に途中の「多古の七つ穴」はカヤックでしか入り込めず、かなり見応えがあるとのこと。キャンプをした浜から漁火が見えるのもいいですね。イカ釣り漁船でしょうか。わたしは島根半島を電車やレンタカーで旅したことがありますが、見えるものや感じるものが全く違うことが想像できます。

この辺りは出雲大社とか美保関とか陸旅でも見どころが多いです

そいういえば歴史を振り返ると、道路や鉄道が発達する前は、人の移動や物流に海路が重要な役割を果たしていたといいます。有名なのは江戸時代の北前船ですね。
また三陸海岸ではつい数十年前まで、陸路より海路の方が早くて便利だったと聞いたことがあります。本書の三陸海岸の海旅記録にも「海路が20数キロでも陸路はその倍以上ということも」と書かれています。

本書の前半では、シーカヤックを始めるための基本的なことが懇切丁寧に記されています。気象や波、海流や潮流を把握することの重要性や、旅の計画の立て方、装備や服装などを一通り説明しています。経験と技術を蓄積するためには師匠や仲間が必要だということも強調しています。漁師など海で仕事をしている人たちへの配慮など、マナーにも触れています。

著者は登山の経験も長いそうです。わたしも若いころは山登りをしていました。山旅と海旅は似ていると思います。著者はこの本で海旅の「私的な方法論」を紹介したと書いていますが、自然の中を旅する上での大事な心構えまでしっかりと書かれた、深い内容だと感じました。

そろそろ夏です。 海に親しみたい人にぜひおすすめしたい本です。


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