【お茶の美味しい飲み方】お茶を冷ましたお湯で淹れた方がいい理由
「お茶は少し冷ましたお湯で淹れた方がいいよ」
そんなことを言われたことはないでしょうか?
聞いたことはあるけど、その理由を知っている人はあまり多くないんじゃないかと思います。
この記事では、なぜお茶は冷ましたお湯で淹れた方がいいのか、熱い温度でお茶を淹れるとどうなるのかということをお茶農家の僕が少しつっこんで解説してみたいと思います。
お茶の味を構成する要素 "うまみ・苦味・渋み"
お茶の味は主にアミノ酸の1つであるテアニン由来の"うまみ"、カフェインの"苦味"、タンニンの"渋み"によって感じることができます。
細かく分類するともっと色々な要素がありますが、ここでは分かりやすさ重視で説明します。
図1のグラフをご覧ください。
このグラフは右にいくほど高い温度で淹れた場合の味の出かたを表しており、グラフの上にいくほど濃く味が出ていることを表しています。
つまり高い温度で淹れれば、アミノ酸もカフェインもタンニンもたくさん出る、ということです。
低い温度で目立つ"うまみ"
例えば60度ぐらいの低温で入れた場合どうなるかということを見てみます。
低温で入れた時にはグレーの破線の部分の辺りになるイメージです。
アミノ酸は低い温度でも抽出されやすいのですが、その他の成分は低い温度ではあまり抽出されないので、低い温度で入れた時にはうまみの目立つお茶になります。
高い温度で目立つ"渋み・苦味”
反対に沸騰したお湯や90℃ぐらいの高い温度で淹れた時のイメージがこちらです。
アミノ酸も低い温度の時と比べるとたくさん出ていますが、それ以上にカフェインとタンニンもしっかり抽出されているので、うまみが苦味と渋みに隠れてしまいます。
なので、高い温度で入れると渋み、苦味の目立つお茶になることがわかります。
値段の高いお茶は低い温度で、安いお茶は高い温度
値段の高いお茶の味ってどんな味?
一般的に値段の高いお茶というと100g1,000円以上が目安になると思います。
このぐらいの価格帯のお茶はほぼ5月頃に収穫される1番茶だけが入っていて、1番茶はしっかりとした”うまみ”が特徴です。
値段の高いお茶はそのうまみをしっかりと味わうために低い温度で淹れるのがオススメです。
100g1,000円以下のお茶が全てそうだというわけではありませんが、価格の低いお茶は、うまみの多い1番茶はほぼ入っておらず、低い温度で淹れてもお茶のうまみを感じづらいことが多くあります。
値段の安いお茶は熱めの温度で淹れてさっぱり、スッキリと飲むのがオススメです。
楽しみ方は人それぞれ
お茶農家としては、いいお茶をじっくり低温で飲んで欲しいと思ってお茶を作っていますが、いいお茶を低温で淹れるよりも、気を使わずにサッと淹れることのできるリーズナブルなお茶を飲む方が好きという人は多い印象です。
結局、どんな味が好きなのかという好みに合わせて淹れるのがいちばんです。
しかし味の理屈が少しでも分かっていると、パッケージの裏などに書いてあるお茶の飲み方を見て、
「あー作った人はこういう味を楽しんで欲しいんだな」
なんていう作り手の想いが透けて見えたりします。
同じお茶でも温度ひとつで大きく味が変わります。
低い温度、高い温度で飲み比べ、味の変化を楽しんでみてはいかがでしょうか?