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『自生の夢』/本・SF短編集

内容(「BOOK」データベースより)
天才詩人アリス・ウォンが謎の存在“忌字禍”に倒れた。その怪物を滅ぼすために、七十三人を言葉の力で殺害した稀代の殺人者が、いま召還される―星雲賞を受賞した表題作、同賞受賞の「海の指」他、全七編。最先端の想像力、五感に触れる官能性、現代SFが生んだ最高峰作品集。第38回日本SF大賞受賞。

 文庫版出てたのね。単行本で読みました。

 いやー、めちゃくちゃ面白かった。久しぶりにふつうに好きそうな本を読んだら好きだった、みたいな当たり前のやつなんだけど、とにかく好きなやつだったね。
 ホラー作品の感想と同じく、外見はサクッと中身もサクッとした感想を書いておきます!

「海の指」
 めちゃくちゃ面白い。破滅と混沌。『グラン・ヴァカンス』で夢中になった、グロテスクな暴力と美しさの綱渡り。ポストアポカリプス? な舞台設定もいい。
 ラスト、破滅が再来する確信めいた予感も、希望も絶望もなくどうしたものか、美しい。

「星窓」
 ブラックホールの意思。
 夏休みの思い出。姉との記憶。それら甘酸っぱい閉塞感からの脱出。これまたすごくいい。

「#銀の匙」

「内心の声」と「書かれた文字」の間にあって、そのどちらでもない、言葉。呼吸をするように空中へと放たれていくことば。それが大気を満たすのだ。

p.108

「曠野にて」

眼はマテリアルを見るためにある。光ではなく。

p.130

 直前の短編世界を拡張して、また他作品からの引用をしている。もしかしてこの後の短編にも出てくるのかな? とワクワクしながら読んだなー。

「自生の夢」
 いやー、面白いわ。なるほど連続短編的なものがいくつかあってこういう感じになるのか。そのへんの経緯はあとがきで書かれてました。

 p.167を読んで、黒はどうして黒いのかな? と検索。そうかー、光を反射しないからかー。そういえば真っ黒な物体というか素材が作られたみたいな話あったな。スーパーブラックとかなんとか。

 章ごとに短い文節と句点で改行されるのはなんだろうか? 感覚的には、前の場面の最後に言葉が食い込んできて、改行で場面転換して続いていくみたいな感じだけど……。

「はるかな響き」
 えらく精神分析的だなー。ナレーションの他者。夜明けのモノリスによる鏡像段階。

 もともとそうでしたが、雑多な感想でした!
 一応、ちょびっとずつ本も読んでるので、こちらもなんかしらの感想を残したいなーと思ってます!

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