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続・京葉線快速縮小問題⑨今後の快速設定の方向性を模索する
2025年3月改正のプレスリリース発表後、特に前年のような波紋はなく、京葉線快速問題については収束したと言って差し支え無さそうな状況にある。プレスリリースの一文にある「輸送体系の見直し」も気になるところではあるが、次の動きとしては2月の時刻表発売を待つことになりそうである。
リリース直後の本noteにも記載したところではあるが、当面は2025年3月ダイヤが固定化するものと予想しており、今後も夕夜間に掛かる上下快速の復元は厳しい見通しと考えている。この前提ではあるものの、今回はさらなる快速設定余地はないのか模索してみたい。
京葉線快速の復元状況を整理する
段階的に復元されてきた京葉線快速の復元状況と、快速設定がされない理由を整理した。
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段階的に快速復元されてきたことは周知の事実であり、特に影響が大きかった朝の上り列車のほか、再設定可能な時間帯に順次復元されてきたことが分かる。言い換えると、2024年3月改正の「日中以外の快速全廃」がいかに雑な対応であったか、再認識するところとなる。
快速設定不可理由を深堀りする
2024年3月改正のプレスリリース時には「混雑平準化」の一言で片づけられていたが、改めて分析すると3つの要因があったことが分かる。
旧通勤快速は利用率が相対的に低いため廃止
夕方の快速は新木場駅混雑要因のため廃止
夜間の快速は全体利用者数減のため廃止
一点目の旧上り通勤快速は他列車に比べ相対的に空いていたことが問題視され、騒動の一因となったが、理由としては理解しやすいところであった。
二点目の新木場駅混雑(ホーム滞留)は2024年9月改正後に説明として加わり、駅混雑が快速設定不可の理由という分かりにくい事態を招いている。混雑するなら列車を増発すべきと考えるのが一般論で、3月改正での他事業者を見ても速達系統の増発はあっても廃止している線区などない。要するに各停運転により混雑のムラをなくし(≒平準化)駅のキャパシティ内に収めたいとの意向と思われるが、やはり駅施設の問題は施設管理者が解決する課題のように思える。一方で、安全はすべてに優先するところもあり、理由としてやむを得ないと感じるところもある。
3点目の夜間帯利用者減少について、JR側からコメントがあったわけではないが、全体傾向としてコロナ禍後は利用者減少があり、特に夜間帯の利用減が言われている。夜21時以降の夜間帯においては、2025年3月改正においても快速1本の復元に留まっており、利用者数減少とそれに伴う列車整理(≒快速・各停を併存するほどの利用が見込めない)が理由と推測される。
さらなる快速設定余地を検討する
良く見ると、平日・休日で快速設定時間帯が異なるところもあり、平日は設定不可だが休日は設定可能、と考えている時間帯があることが分かる。時間帯別にみていきたい。
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【16~17時台】
2024年9月変更で休日のみ2本設定、2025年3月改正で平日にも1本が設定された。本note分析でも、平日16時台後半以降は「新木場駅混雑」を理由とした快速設定不可時間帯と理解した一方、16時台前半は快速設定余地を予想したところ、3月改正での復活となった。
下り休日ダイヤでは17時台前半まで上り快速設定があり、許容範囲内と推測される。休日下り17時台前半は快速設定余地ありと期待したい時間帯となる。
上りはホーム滞留が生じないため理屈としてはおかしいが、上りホームまで伸びてしまう滞留客と、降車客の交錯回避が安全面から考え得る理由で、各停化による「新木場降車客の平準化」と理解した。とはいえ、これは駅施設というよりダイヤ構成上の課題で、各停との運転間隔配慮等で混雑ピークの18時台は厳しくとも、ピーク前の17時台、少なくとも16時台は快速設定余地ありと感じる。
【18~19時台】
「新木場駅混雑」を理由とした快速設定不可時間帯であり、18時台の混雑は目に見える形で理解はできる。旧ダイヤではいくつかの課題があった。
旧通勤快速:通勤快速待ち客、通過駅利用で各停待ち客の旅客交錯
快速:先着列車との運転間隔が空くことによるホーム滞留
武蔵野線:先着列車との運転間隔が空くことによるホーム滞留
このうち、武蔵野線は次のような課題がある。
西船橋で海浜幕張方面との合分流(最近クローズアップされるようになったが、海浜幕張方面もかなりの混雑がみられる)を伴うため列車設定に制約がある
線区自体が長く増発が難しいこと(西船橋断面で混雑していても府中本町断面では空いてしまう
西船橋折り返し設定で対処しているがこれとて万能ではない
上記から武蔵野線系統は課題解決が難しく、短距離(新浦安~西船橋)の混雑は許容せざるを得ない状況にある。そこで、東京~市川塩浜間での武蔵野線への旅客集中を避ける配慮から、京葉線列車に出来る限り機能分担させ、運転間隔調整とそれを行うための各停化が行われたものと理解している。
JR側プレスリリースで快速通過駅の停車本数増などのメリットを無理に打ち出したため余計に話が混乱しているが、乗降客数が少ないことなどJR側は承知しているはずで、単なる副次効果に過ぎない。
さて、上記事情もあり2025年3月改正ダイヤでは快速設定が見送られた時間帯となったが、新木場駅ホームと武蔵野線混雑配慮が叶えば快速設定余地はゼロではないと考える。
また、休日ダイヤでは混雑面の課題が少ない。快速運転時間帯を平日に合わせている以外の理由が思い当たらないが、休日夕夜間は快速設定余地ありと思える。
【21時台以降】
快速設定済の20時台と、2025年3月改正で復元される21時台では、混雑面の課題は減ってくる時間帯で、逆に利用者数が減り過ぎている点が課題と思われる。さりとて、利用減なのは快速通過駅も同じはずで、快速運転しない理由としては弱い。各停の運転間隔確保が出来れば、下り21時台後半も快速設定余地ありと思える。
一方で、22時台以降は運転間隔が開いてきており、快速復元は難しい時間帯になることは理解できる。
【その他】
これまで夕夜間帯についてみてきたが、上り8~9時台前半についても、快速空白時間帯がある。朝ラッシュ時に快速設定が出来ているので、この時間帯の快速化も出来そうな気はする。ただ、自治体要望も無いいわば「穴」とも呼べる時間帯で、運行側だけの理屈としては各停堅持としたいのかもしれない。
【まとめ】
主に夕夜間帯をみてきたが、整理すると下表のようになる。
![](https://assets.st-note.com/img/1736233917-x9jJFBMkib7nUK2aSTRl5Grz.png?width=1200)
平日夕夜間帯では、各停との運転間隔配慮から「速い快速」としての設定は難しそうで、仮に設定するならば新しい運行形態(≒新浦安以西の各停化等)も考えられる。
今回は敢えて考慮しなかったが、内房線・外房線直通スジと快速化スジが嚙み合うかについても、ハードルがある。2025年3月ダイヤの21時台快速のように、他列車との関係から「蘇我行き」なら設定できる場面もありそうではあるが、蘇我以遠全体の利便性向上の観点からは内房線・外房線、それと接続する総武線快速を含めた全体の見直しがあるべきと、利用者視点では感じるところになる。
2025年3月ダイヤは「微調整」との報道もあったが、各停ダイヤ化からはまだ1年で、運行側視点では様子を見たい段階と捉えることができる。さらなる快速復元は、自治体協議も持たれるようで、過度の期待はできないものの可能性としてゼロではない。
まずは時刻表3月号発売での2025年3月ダイヤ発表を待ち、機会があればさらに検証してみたい。