京葉線快速縮小問題を考える㉙快速通過駅の利便性確保策を考える
久々の新規記事。
習志野市長がパフォーマンスとも言える要望書をJR側に提出し依然として火種が残る京葉線快速問題に新たな一石が投じられた。
JR側がまたしても丁寧な説明に欠いていたことは擁護できないが、一方で「快速通過駅の利便性確保」については、9月ダイヤ変更の発表時の千葉支社長発言にもあったところで、懸念事項の一つとされていた。筆者としては「快速復元の流れを邪魔してくれるな」 との感想だが、わざわざJRが懸念点として示していた点を改めて掘り下げてみたい。
新習志野駅の停車本数推移をみる
2024年3月ダイヤ改正での快速削減に伴い、快速通過駅の利便性向上が謳われており、プレスリリースでも停車本数の拡大が示されていた。9月のダイヤ変更時では、特に言及はなかったのであるが、単純に各停の快速化になるため、停車本数は減少している。ここで新習志野駅の平日停車本数推移を整理してみたい。
下り 上り 計(2023比)
2023年3月 129 152 281
2024年3月 150 161 311 (+30)
2024年9月 146 158 304 (+23)
次期予想 138 151 289 (+8)
2024年3月ダイヤ改正では快速の各停格下げで33本の増のところ、各停自体の削減があり+ 30本、9月ダイヤ変更で7本が快速格上げになり、2023年比で23本の増となる。2023年比では依然として多くの本数が確保されており、殊更に騒ぎ立てる必要性が理解できないが、 仮に次期ダイヤ改正で2023年並みに快速が復元された場合の本数を検証してみたのが「次期予想」欄になる。
「次期予想」では2024年9月からさらに上下15本の快速格上げを想定し、快速通過駅では15本の純減になる。それでも2023年比では8本増であり、長年の同駅停車本数並みに戻るだけなのであるが、一度大幅に増やしたものを元に戻すことに抵抗がある点は理解できなくもない。
JRとしても、ここまで一挙に快速通過駅の停車本数を減らすことは出来ず、快速通過駅への配慮を表明する形で、夕方の快速復元を断念した――との推測が成り立つ。
快速通過駅の停車本数確保との両立策は
習志野市側は「停車本数の確保」は求めているが、今回の要望で「快速停車」を求めているわけではない点は注目に値する。すなわち、各駅停車の増発が考えられる。
一案としては、東京~海浜幕張間での京葉線各駅停車の増強が考えられるが、同区間運転の各駅停車は乗車率が低いことが在野検証でも明らかになっており可能性は低い。 次に、輸送力不足が指摘される武蔵野線(西船橋方面) 各駅停車の増強が考えられる。この点は本noteでも再三指摘しており、次期快速復元に際しては武蔵野線方面の増発とセットが不可欠との見解を示してきた。これは特に新浦安~西船橋間の輸送力不足を想定しての指摘で あったが、輸送力が不足気味なのは西船橋~海浜幕張間についても同様で、新規増発でなくとも南船橋折り返し列車の区間延長でも対処できそうで増発余力はあるほか、JR自身も花火臨等のイベント増発時は西船橋~海浜幕張間列車を増発しており、この区間への課題認識はありそうである。
仮に、次期快速復元が待望される16~19時台で、西船橋~海浜幕張間で毎時2本を増発すると片道8本、往復16本増となる。
下り 上り 計(2023比)
2023年3月 129 152 281
2024年3月 150 161 311 (+30)
2024年9月 146 158 304 (+23)
次期予想 146 159 305 (+24)
こうなると、快速通過駅への利便性確保も両立したと言えるのではなかろうか。好意的に見れば、16時~19時台の快速復元のためにはここまでする必要があったが、9月のダイヤ変更では武蔵野線に手を入れない前提があったため見送られた――と捉えることもできる。
快速通過駅への配慮と幕張新都心への利便性向上を両立しうる武蔵野線列車の増発を改めて期待したい。
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