見出し画像

続・京葉線快速縮小問題⑧新木場駅の施設改良を考える

海浜幕張駅の新改札口が完成

ダイヤ改正プレスリリースに続き、予定通り海浜幕張駅蘇我方で工事が進んでいた新改札が、ダイヤ改正一週間後の3月22日から利用開始と発表された。

かねてから海浜幕張駅の混雑は問題視されており、特に住宅街が広がる蘇我方の導線分離は好ましい。京葉線はほかにも駅施設の狭隘が課題となることが多く、言わずと知れた舞浜、近年では南船橋、そして本noteでもたびたび取り上げている新木場駅となる。

新木場駅安全性確保のための施設改良

2025年3月改正では、新木場駅混雑を理由に夕方ピーク帯の快速再設定は見送られた。沿線自治体から指摘があったように、駅施設の安全性確保は鉄道事業者としての責務であり、「安全確保が出来ないから各停運転」などは理屈としておかしく、「安全確保のための投資はしないので各停運転」というのが本音と思われる。

では何もしないのかと言うとそのようなことはなく、東京2020大会前には会場近隣であったこともあり、新木場駅はコンコース拡張など大規模改修を受けており、時期は未定ながら京葉線にもホームドアの設置予定はある。

今回は、前向きに新木場駅の施設改良可能性を考えてみたい。

1 ホームドア設置

京葉線において、具体的なホームドア設置の動きはないが、2018年のプレスリリースでは「2032年度末頃までに設置」とされている。当該リリースはコロナ禍前でもあり計画変更の可能性もある一方、新木場駅のような重要度が高い駅では優先的に整備される可能性もある。

2 駅施設改良(2020年)

上述のとおり、駅の混雑緩和策として2020年にコンコース拡張の改良工事を行っている。

筆者も目に見えて広くなったコンコースを見て感心したが、コロナ禍を経たにも関わらず早くも次なる混雑緩和策が必要な状況になっている。

課題としては、このときの改良はホーム側には手が加えられておらず(昇降設備増設はあったが)、ホーム滞留の対策にはなっていない点が挙げられる。

3 今後考えられる改良

2022年に舞浜駅ではホーム延伸を行い、上下列車の停車位置をずらすことによるホーム上混雑の緩和を図っている。

京葉線は元来、15両編成対応可能なスペックで作られているとされ、舞浜駅の拡張もこれを活かしたものになっている。新木場駅でも同じことは可能ではないか。

新木場駅が15両対応施設かのソースはなかなか見当たらないが、「京葉線工事誌」を引用した下記サイトに言及がある。

3階に設置する京葉都心線のホームは最大幅10m、全長は15両編成対応を想定した設計となっており(以下略)

「未来へのリポート」より引用

東京方はすぐカーブになっている一方、蘇我方は確かに余裕があるように見受けられる。

新木場駅蘇我方を望む(在りし日の通勤快速と)
新木場駅東京方。多少は余裕ありそう?

舞浜駅同様に新木場駅もホーム延伸と上下列車停車位置調整を行うことができれば、同駅の混雑(ホーム滞留)問題は大きく改善するものと考える。

ただし、課題がないわけではなく、中3階コンコース部は東京方をJR(京葉線)、蘇我方をりんかい線が使用しており、仮に蘇我方にホーム延伸をしても、りんかい線コンコースが支障し昇降施設の設置が難しいことになってしまう。ウルトラCとしては、JR東日本がりんかい線を買収してしまえばりんかい線運賃問題は解消となり、りんかい線コンコースも活用できそうではあるが、現実的ではない。

なお、舞浜駅の場合は山側(TDRの反対側)に空間があり複々線化(2面4線化)対応も出来そうだが、新木場駅はその用地がなくホーム自体の増設(上下ホームの分離)は難しそうで、ホーム延伸が切り札、となりそうである。

まとめ

今後の人口減少時代を見据えてもなお新木場駅の重要度は高く、今後は羽田空港アクセス線臨海部ルートによりさらに需要が高まる可能性すらある。従って、舞浜駅同様のホーム延伸も検討遡上となっても不思議ではない。

ただし上記の海浜幕張駅新改札を見てもわかるように、駅施設はミニマムに、別途商業施設を設けることで投資回収を狙っている背景が見える。ただでさえ施設制約が大きい新木場駅で実現できるかは微妙ではある。

また、仮に新木場駅ホームの安全性確保が整ったところで、今度は快速通過駅の利便性などを理由で快速運転を見送る構図は容易に想像できる。いっそのこと、千葉県市の沿線自治体が快速運転を条件に新木場駅施設改良の負担金支出を行っても良いのではなかろうか。県外駅施設改良の負担はハードルが高そうではあるが、それくらいの本気度を見せて欲しいと沿線民・納税者視点では思うところになる。

いいなと思ったら応援しよう!