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京葉線快速縮小問題を考える⑰夜下りの快速復元ダイヤを考える

京葉線ダイヤ改正アンケートが実施されている

記事作成時点でダイヤ改正から約半月が経過したところではあるが、千葉県・市をはじめとする沿線自治体、商工会議所等により利用状況に関するアンケートが実施されている。

webアンケートの特性上、沿線外からも回答も可能であり、かつダイヤ改正に反発する層の回答が中心となろうから、必ずしも平等なアンケート結果とはならないであろうが、実施側もそれは織り込み済であろうし、それよりも沿線の関係機関が一致してこうしたアンケートが実施されている事実と、公的に行われたアンケートであるから回答数や内容がどうであれ、その結果が今後の要望活動のエビデンスとして使われるであろう点が重要と考える。思うところがある利用者においては、是非回答いただきたいと思う。

実際の流動に変化はあったのか

本来であれば定点観測などが出来れば良いのかもしれないが、あいにくと筆者はその環境になく、平日夜の蘇我駅で何度か利用状況を確認したにすぎない。「見たまま」ではあるが、京葉線から内房・外房線に直通する各駅停車は、引き続き総武快速の外房・内房線直通と対面接続しており、相互乗り換えが多くあり、双方が立客多数で発車していく光景はダイヤ改正前後で変わっていない。変更点は京葉線側にとどめ、直通側のダイヤを大きく変更していないのは一定の合理性があると判断できる。
利用者がどこから乗車していたのか、あるいは利用の増減までは把握できていないが、「京葉線からの直通列車」(あるいは総武快速からの接続列車)としての機能自体は快速であろうと各駅停車であろうと変わらないように感じられた(もちろん東京方からの利用であれば速達性は大きく後退している)。

また、本題とは直接関わらないが、本来E257系5両とされている房総特急(わかしお・さざなみ)の一部が暫定的に255系9両で運行されているが、一部の特急わかしおが9両(普通車指定席で言えば8両)でも利用率が高いようで、本来の5両で輸送力が足りるのかは懸念されるところ。
どうもJRの考え方は、特急の5両化といい、今回の各停化といい、需要に合わせた供給を行うのではなく、「JRが考える供給に合わせて、利用者側に変更を強いる」ように感じられ、5両の特急が連日満席になってもそれはそれで良く、利用者のための増結や逸失利益などは考慮しないのだろうと推測している。

夜下りの快速復元ダイヤを考える

さて本題。前回は朝上り通勤快速復元パターンを検証してみたが、今回は夜下りの快速復元を検証してみたい。まずは2024年各停ダイヤ(19時台)の確認から。

19時台の各停ダイヤ。総本数は変わっていない

この2024年各停ダイヤをベースに、夜下りの内房線・外房線直通スジを京葉快速に置き換える毎時2本の快速復元のパターンを想定してみた。これまでの検討をベースに、停車パターンを3種比較する。

既存の京葉快速としての復元パターン

内房線・外房線直通列車を「京葉快速」に復元するパターン。
特に特急待避の解消が大きく、足の長い直通列車の時間短縮は効果が大きい(元に戻るだけなのだが)。一方で、各停平行ダイヤ化で解消できた東京方で前列車と間隔が開く問題と、蘇我方で続行運転になる問題が再度生じることになるが、元より朝に比べて極端な混雑ではなく大きな支障はないと考える。

新浦安以西各停の快速B(区間快速)パターン

単なる復元だけでなく、以前にも検討した新浦安以西を各駅停車とする停車パターン(快速B)を再検討した。この時間帯の京葉快速は運転間隔調整等もあり所要時間が伸びており、その時間を追加停車分に充てることで、所要増は最低限にとどまる。直通列車と先行する京葉線各駅停車の間隔が12~13分から9~10分に縮まり、直前には西船橋方面列車も入り、新浦安までの混雑はある程度是正されると推測できる。ただし、蘇我方での続行運転は解消しない点と、所要時間も東京~蘇我間で46〜47分程度に伸びてしまうのが欠点となる。

新浦安以西各停化の代わりに海浜幕張以東で快速運転する快速C

パターンBの欠点を是正するため、海浜幕張以東でも通過運転するパターンも検討した。これを快速Cとする。新浦安まで各駅に停車、以降南船橋・海浜幕張・蘇我に停車し海浜幕張で先行各駅停車と緩急接続、東京~蘇我間で44分となる。
検討に至ったアプローチこそ異なるが、以前に検討した「新しい通勤快速」パターンに近い。地元民の感覚として海浜幕張以東で通過運転するほどの需要があるとは思えないのだが、各停続行運転となるくらいなら役割分担した方が「ハマる」のも確かと思う。

下り通勤快速の復元はあるのか?

通勤快速廃止問題はもっぱら朝に焦点が当てられ、夜下りへの言及は少ない。帰宅時は朝ほど時間には追われないこと、帰宅時間帯自体が分散していること等が理由として考えられ、筆者も下りについては「京葉快速」の復元で十分と基本的には考えている。

ただし、18時台においては内房線直通と外房線直通が蘇我断面で6分間隔で続行しており、旧ダイヤにおいては快速と通勤快速の所要時間差をもってダイヤを構成していた。各駅停車であれば続行運転で問題はないが、「京葉快速」としての雁行運転はさすがに支障が生じる。そこで、直通先のダイヤ維持を前提とする限り、下りも通勤快速復元が浮上する。想定しうるパターンは下記となる。

1 先行各駅停車+続行通勤快速
2 先行京葉快速+続行通勤快速
3 先行京葉快速+続行京葉快速

なお、京葉快速はここではもっとも無難な既存停車駅設定を前提にしておく。

通勤快速のみ復元。追い越す各停ダイヤに差がない点に注目

現実的ではないが、通勤快速のみを復元し、残りは各停のままとしたパターン。東京1811発は新浦安付近で、1802発は海浜幕張付近でスジが寝ており、ここで追い抜けと言わんばかりのダイヤ設定になっており、各停側の待避に伴う所要増もほぼ生じていない。偶然なのか意図的なのか不明だが、いつでも通勤快速に復元可能なダイヤになっているように見えるのが興味深いところ。

通勤快速+快速復元パターン

通勤快速に加えて、直通列車を快速として復元したダイヤ。基本的にはほぼ2023年以前のダイヤのいわゆる「元通り」となる。東京1753発が特急・快速・通快の3本待避となる歪なところもあるが、混雑とされていた快速とて問題視するほどでもなく、これで支障は無い印象を受ける。

下りは通勤快速を設定せず、快速としたパターン。運転間隔を確保しようとすると蘇我1851到達が難しく、蘇我での総武快速との接続はないこともあり4分繰り下げとしている。京葉線内の本数確保も出来、これはこれで悪くなさそうだが、新浦安での緩急接続が連続で生じており勿体ない印象も受ける。
ただし、通勤快速を設定しない休日ダイヤではこの形態がベースとなると考える。

京葉線内下り通勤快速も1本化は出来るか?

上記パターン2の通り、18時台については通勤快速を復元しても良さそうに感じられる。一方で下りラッシュのピークを過ぎる19時台については、線内本数確保を重視し「快速」で十分と考える。
また、別項で記した通り、朝上りの通勤快速を1本とするなら、下りも1本とすることに違和感はなく「下りは18時台の1本のみ」を復元する整理はアリと考える。上りは内房線直通、下りは外房線直通で若干歪ではあるが、上りと下りで棲み分け(痛み分け)とする考え方もできる。

あるいは、通勤快速は内房線直通に統一し、蘇我で総武快速からの外房線に接続することで朝と同様に速達性を優先する設定も考えられる。下りでこの組み合わせの場合、蘇我で同時発車が可能でタイムロスが少ない点もメリットになる。

18時台下り通勤快速を内房線系統に設定

具体的には18時台の君津行きと上総一ノ宮行きのスジを入れ替え、蘇我での接続列車も入れ替え、京葉快速上総一ノ宮行き(蘇我で内房線普通に接続)、通勤快速君津行き(蘇我で総武快速上総一ノ宮行きに接続)とする。各停比で、君津まで18分短縮、上総一ノ宮まで蘇我乗り換えは伴うものの23分短縮する。京葉快速の直通上総一ノ宮行きであっても14分短縮になる。

内房線・外房線直通となる京葉快速毎時2本の復元は、落としどころとして理解しやすいところで、直通が3本となる18時台のみ通勤快速として追加設定するのはバランス的にも悪く無い。内房側に一本化する案については、通勤快速は命綱とまで言い切る外房沿線自治体の理解を得られるか悩ましいところだが、名より実を取ってほしいところと考える。

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