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京葉線快速縮小問題を考える㉜9月1日ダイヤ変更で復活した快速に乗ってみた

9月1日ダイヤ変更が実施

9月1日を迎え、予定通り京葉線快速を一部復元するダイヤ変更が行われ、報道各社も一斉に報じている。

JR側は「ダイヤ変更」であり、快速も各駅停車からの変更で「増発」ではないと説明していたが、報道各社は特に配慮無く「ダイヤ再改正で快速増発」としている。

平日に入り、初日9月2日と4日は非常停止ボタンによる遅延、3日は大雨による外房線・内房線遅延、5日は武蔵野線遅延による影響があり、ダイヤ変更早々本領を発揮できていない。遅延が生じれば一部列車が混雑するのはやむを得ない事象で、これをもって快速が混みすぎて失敗と揶揄するSNS投稿やバイラルメディアが散見されるが、判断は時期尚早であろう。

復活した快速に乗ってみた

筆者は過去何度か記している通り通勤で常用しているわけではないが、利用動向を見るべく早速乗車してみた。

634A 上り快速東京行き

蘇我7:56→東京8:43(上総湊始発)

十数年ぶりに設定された朝ラッシュ帯の「快速」

今回のダイヤ変更の目玉ともいえる「通勤快速並み」の快速。各停ダイヤでは途中で特急待避もあり蘇我~東京間57分を要していたが、快速化に伴い特急待避の解消と先発各停の追い越し(新習志野での通過追い越し)により10分短縮を果たしている。一方で、先発各停は代償に快速・特急を待避することになり蘇我~東京間で62分を要することになった。乗車体感として、蘇我時点ではつり革埋まる程度の乗車率で旧通勤快速並みの印象。従来はそのまま新木場に達していたが、検見川浜まで旅客を集め、海浜幕張、南船橋では旅客入れ替え、新浦安、舞浜では乗車僅少で新木場で降車多数。旅客を入れ替えながら混み具合は大きく変わらず新木場に到達する様相となった。

新浦安3番線到着時には1本前726Yが4番線から発車していく交互発着がみられた。従前からあったのかもしれないが個人的には京葉線で初めて目にした光景で驚いたが、快速の直前をケアする各駅停車があることで旅客集中に配慮している印象を受けた。新浦安までは90km/hで走る場面も見られ文字通り快適に速かったが、新浦安以西では各停後追いになりスピードは上がらないが、これは旧通勤快速も同じ状況にあった。

この日は快速の2本前を走る武蔵野線613E東京8:35着に若干遅延があり、後続に波及し快速634Aも2分延着した。快速設定に伴い後続武蔵野線の間隔が開いており、613Eへの過負荷が懸念される。

ラッシュ時間帯とはいえ終盤であり、イメージしていた激しい混雑はなく、旧通勤快速に停車駅を追加した無理のない快速設定の印象を受けた。

ただし、これは海浜幕張まで714Y、新浦安以西で726Y各駅停車という前を走るケア列車があるがゆえのことで、復活快速1本目は714Yに相当する各駅停車がなく(2024年3月に廃止されたスジ)混雑がある模様。今後は武蔵野線側を含めた調整も行われると予想され、余裕が見られるがゆえに前後列車が整理対象にならないか懸念される。

915A 下り快速上総一ノ宮行き

東京9:02→蘇我9:45

復活とともに時短を果たした下り初発快速

下り初発となる9時台の上総一ノ宮行き。運行パターンは日中の外房線直通と同様になる。あまり注目されていないが、旧ダイヤでは東京8:48発各停で、対外房線方面では14分もの短縮になっている。新浦安と海浜幕張で各停接続があり、海浜幕張から各駅停車同士の接続と珍しい体系になる。この改正は暫定的な色彩が強いこともあり、海浜幕張での接続は一時的なものとなる可能性が高いとみている。

2023年以前のダイヤではこの上総一ノ宮行きは東京8:53発で特急待避を挟み遅かったが、この快速は途中各停2本を追い越すこともあり東京~蘇我間43分と速い。プレスリリースで「都心と海浜幕張・蘇我方面相互間の速達性向上」と謳っただけのことはあり、看板に偽りなしとなる。

乗車動向は、東京発車時点で特急を挟むため先発海浜幕張行きと8分、海浜幕張先着となる蘇我行からは14分開くこともあり、座席が埋まり立ち客が見られるまずまずの乗り。

八丁堀、新木場で乗車があり、舞浜で明らかにそれと分かる観光客が降りる光景は日中と同じ。新浦安では各停海浜幕張と緩急接続するが降車客の方が多く、各停側はがらがらとなるのも休日日中で見られる光景。

海浜幕張では多数が降車し、幕張新都心への速達列車としての機能を確認できた。海浜幕張では各停蘇我行きと接続するが、双方以東各駅停車であり接続案内もなく、各停側は無人といっていい状況であった。

海浜幕張から各駅に停車する地域輸送となり、空席も目立ちゆとりある状況。蘇我で総武快速君津行きに接続し、旅客を入れ替えて外房線に直通するパターンも日中同様になる。

2017A 下り快速君津行き

東京20:03→蘇我20:50

消滅していた京葉線の「快速君津行き」が復活

夜下りの復元快速2本のうちの1本目。
京葉線列車としては19時台後半から5~8分間隔で走っており、東京駅断面では直近列車乗車が見られ、快速への狙い乗車は少ないように見受けられた。海浜幕張以遠では8分前の各停を新習志野で追い越すのであるが、浸透していない可能性もある。

それより後続列車に課題がありそうで、旧ダイヤでの20:06発各停が快速格上げとなり、次発の20:15発各停はダイヤ変更前と変わらないため各停間隔が大きく開き、JR東日本アプリで見る限りやはり若干混雑が見られる模様。19時台は5~8分間隔で走る各停が20分も開く点、新習志野通過追い越しを伴う点等、快速設定のため若干歪なところがあり、次期ダイヤ改正では手が入りそうでもある。

所要時間も2023年ダイヤでは44分程度で走破(新ダイヤでも休日は44分)していたところ、47分に延びている。実際に乗車してみると、新木場・舞浜で1分程度の停車があり、駅間でも80~90km/hで流して走行していた。

利用動向としては帰宅時間帯の快速らしく、八丁堀・新木場で多数乗車があり立客はあるものの、余裕はある状況。住宅街を擁する新浦安、海浜幕張、検見川浜以降順次降車があり、蘇我で対面接続する上総一ノ宮行き総武快速と乗客を入れ替えて発車していく(蘇我降車も多い)。この動向を見るに、現行快速停車駅は実績を持って定着しているものであり安易な変更はしない方が良い認識を改めて持った。

まとめ

乗車した快速列車はどれも利用が多く、速達性が効果的に機能している印象を持った。極端な混雑なども見られず総じて無理のない設定で、様々な制約下があるなかで快速としての速達性を狙ったものと理解でき、逆にいえば無理なく快速設定が出来る時間帯で快速復元が果たされた印象となった。

一見有効列車減少になる新習志野通過追越しも、既存ダイヤを出来るだけ変えない苦肉の策のように思われたが、快速への旅客集中を防ぐ意図も確認できた。通過追越しは暫定的、あるいは今後を見据えた試行的な施策なのか、今後も定着するか注目したい。

おまけ


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