続・京葉線快速縮小問題①これまでの問題整理とまとめ
9月1日に京葉線ダイヤ変更が行われ、その後大きな混乱もなく推移している本問題。とはいえ、依然として火種は燻っており、次期ダイヤ改正でもさらなる変更が予想される。少し気が早い感もあるが、12月になれば次期ダイヤ改正のプレスリリースでもあり、発表前には事前の自治体協議なども行われそうである。
「続・京葉線快速縮小問題」として、JRや各自治体の見解を整理しつつ、次期改正の予想をしてゆきたい。
JRや沿線自治体の見解
9月ダイヤ変更時の関係団体の見解を整理しておく。
JR東日本千葉支社
・夕夜間の速達性、本来はもう少し早い時間がピークだが、新木場駅で混雑が集中する課題
・快速が通過する各駅の利便性に課題
千葉市
・帰りの時間帯や土日祝日の海浜幕張を起点とする快速の復元は十分ではない
・都内との速達性の更なる改善等を要望
一宮町
・午前7時台に上総一ノ宮駅を出発する快速と、午後5~7時台に東京駅を出発する快速の復活を引き続き文書で要望
千葉商工会議所
・朝時間帯の上りで改善されたものの、夕方と夜や土日曜日の下りは、その確保に至っておらず、なお課題が残る
習志野市
・駅利用者を粗末に扱う変更。停車本数の充実を求める
・(新習志野駅は)快速が止まるのも資する
本稿整理にあたり各種報道を再確認したが、習志野市は快速停車を要望していたようで、以前の検討時にはこの見解を見落としており、お詫びのうえ訂正としたい。
改めて整理すると下記が要望になる。
・夕方と夜の下り快速(各市)
・海浜幕張を起点とする快速
・午前7時台に上総一ノ宮を出発する快速
・土日の下り快速(趣旨からすると朝)
・(新習志野駅の)停車本数の充実
各自治体が要望する夕方の速達性改善、習志野市が求める停車本数の充実と、JR側の課題認識は一致するところとなる。必然的にこの点がどこまで改善されるかが次期ダイヤ改正の焦点になると考えられる。
夕方の快速設定可能性・新習志野駅の利便性(停車本数の充実)については、本noteでも検討を行っており、この方向での改正を期待したい。
各論を見てゆきたい。
夕方と夜の下り快速(各市)
9月1日のダイヤ変更後にもっとも意見が大きいところで、JR側も課題認識は示しており、なんらかの手が入ることが予想される。JRは夕方下り快速が設定できない理由として「新木場駅が混雑するため快速設定が出来ない」としており、県議会でも答弁されている。
この問題については下記にて検討している。
上記は9月1日のダイヤ変更前の記事であり、現在と若干見解の相違はあるが、「快速列車そのものの混雑」ではなく、「新木場駅で快速を待つ旅客混雑」に起因するところとなる。
「快速を待つ旅客」を解消できれば良いのだが、快速はその性質上どうしても先発列車との間隔が開く。また、追い越しを伴えば先発列車の見送りも生じる。加えて、より本数が少なく混雑する武蔵野線にも同様の課題が生じている。逆にいえば、快速(と武蔵野線)を待つ旅客を解消することが快速設定条件ともいえる。
海浜幕張を起点とする快速
本noteでも従前注目していなかったが、千葉市長は上記の表現で主張を行っている。「海浜幕張を起点とする」との表現は「海浜幕張始発」とも捉えられ微妙なところだが、海浜幕張を始発とする快速設定は定期ダイヤでは過去になく、海浜幕張→東京の上り快速を意図してのことと理解している。
9月変更での休日ダイヤでは9時台・16時台に各2本/hの快速復元がなされたが、2023年以前はもう少し幅広い時間帯での運転があった。海浜幕張から東京方面への帰宅客への配慮とすると夕方上り17~18時台の快速設定の要望と理解できる。現ダイヤでも海浜幕張始発の各駅停車設定があり、これとの組み合わせで快速設定は出来そうである。幕張メッセのイベント等で東京方面への帰宅が集中すると見込まれる時間帯でもあり(だからこそJRは各駅停車で混雑平準化を狙ったのかもしれないが)、旧ダイヤ同等の快速復元は期待したい。
土日の下り快速
下り現ダイヤでは平日・休日とも9時台からの快速運行となっているが、旧ダイヤでは休日7~8時台にも快速設定があった。この時間帯の復元についても設定があるに越したことはないが、この時間帯は舞浜輸送もピークタイムに当たり、各駅停車による堅実な輸送が求められるところでもある。快速通過駅の停車本数確保の観点もあり、ここの復元は難しいかもしれない。
午前7時台に上総一ノ宮を出発する快速
一宮町の要望となるが、旧通勤快速の復活要望を指すものと思われる。旧通勤快速は各駅停車化に伴い大幅に所要時間が伸び、希望としては理解するとことではあるが、9月1日ダイヤ改正ではピーク帯を外した直通列車が快速化されており、当該時間帯(蘇我7:44発)の快速運転が難しいことが推測できる。
上総一ノ宮7時台には総武快速が存置されており、蘇我接続で京葉線快速(内房線直通)の利用も出来る。旧通勤快速の運転時間帯とはずれてしまうが、せめてここの接続改善は望みたいところとなる。
(新習志野駅の)停車本数の充実
停車本数の確保だけであれば、上記「快速通過駅の利便性向上」である程度達せられると考える。習志野市が主張する「快速が止まるにも資する」との見解については、下記ブログにて検証記事がある。
2023年度の乗降客数は新習志野11,655人、3つ蘇我方で快速停車駅の検見川浜駅は14,469人、外房線鎌取駅は18,629人、特急停車駅の土気駅は10,937人となっている。海浜幕張・蘇我で輸送力の段が生じていること、海浜幕張以遠の速達性が課題になっていること、習志野市の中心は総武線津田沼駅であることを踏まえれば、京葉線の快速通過は妥当と判断せざるを得ない。各駅停車の通過追い越しが可能な駅(配線上、緩急接続はできない)でもあり、この観点からも快速停車は困難と推察する。
停車本数の確保からすると、東京~海浜幕張間各駅停車の増発が本来望ましいが、現ダイヤでも同区間列車の利用率は相対的に低い。そこで西船橋~海浜幕張間列車の設定増が考えられる。南船橋駅で快速との片接続(上りは快速に先発・下りは快速の後発)が出来れば、新習志野駅から有効本数としては増加する。ダイヤ構成がさらに複雑化してしまうが、全体的に輸送力不足気味の武蔵野線列車の増発が望ましい姿と考える。
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