京葉線快速縮小問題を考える㉛9月1日ダイヤ変更の新旧詳細を比較する
「9月1日ダイヤ変更」の新旧詳細を比較する
前回第30回では速報的な所感を投稿したが、今回は変更ダイヤの詳細をみていきたい。まずは平日上りダイヤから。
平日上りダイヤ
目玉となる蘇我駅7時台上り2本の快速化に伴う変更と、その前後で変更が見られる。
1本目となる632Aは外房線内〜海浜幕張間で1分繰り下げ、既報の通り時間調整もあり3分の短縮に留まり、先発列車が市川塩浜以西で1分程度繰り上がっている。素人目には、快速632Aを509Eの前に走らせれば短縮できそうなところ、武蔵野線側の運転間隔を変えられない判断があったのかもしれない。快速通過駅では10分間隔が開くが、直前に海浜幕張始発の武蔵野線設定があり(海浜幕張716発)南船橋乗り換えで片接続が可能にはなっている。2本目となる634A関連では、事前予想の通り先発各停を新習志野で通過追い越し、武蔵野線は繰り下げとなり、東京方では3本の前後関係が入れ替わっている。快速への旅客集中と、武蔵野線の間隔が開く点が懸念されるが、ラッシュ終盤でこれも許容範囲となるだろうか。
632A・634Aとも、京葉線以外を出来るだけ変更しない制約下で設定した苦労が伺え、次期ダイヤ改正では調整が入りそうな印象を受ける。
9時台の快速922A関係では、新習志野止まりの各停と海浜幕張始発の各停接続を解消し、日中同様海浜幕張での快速と始発各停の接続に改めている。蘇我~検見川浜間で見ると、9時台後半で大きく開いていた運転間隔の改善になっている。快速自体のスジも速く、理想的な快速設定といえる。
なお、新726Y・920Yは列車番号(=車両運用)のみの変更で、ダイヤは変わっていないが、参考記載している。車両運用については全体的に差し替えがあるようで、以降車両運用のみの変更は省略する。
平日下りダイヤ
続いて平日下りダイヤ。大きく分けて、東京発断面で8時前後、9時台、20時台で変更されている。
8時台については、上り快速設定に伴い東京到着が1分程度繰り上がる一方で、その折り返しとなる列車が1分程度繰り下げられ、折返しに余裕を持った修正と受け取れる。
9時台1本目の915Aは既報の通り上総一ノ宮直通の快速となり、対外房線では14分短縮となった。新浦安で海浜幕張行き各停を、海浜幕張で蘇我行き各停をそれぞれ追い越す設定だが、海浜幕張以遠各停となる快速が海浜幕張で緩急接続する例は定期ダイヤでは見たことがなく、運用の都合とはいえここにも調整に苦慮した形跡が見受けられる。なお、前運用の714Yは新習志野で快速退避が生じ東京到着が10分繰り下がるスジだが、915Aが快速となることで直通運用に影響なく繋いでいる。
9時台2本目の909Aは八丁堀で2分停車ののち、新浦安で先発各停を追い越す設定になっている。
夜20時台については、19時台の1929Yを繰り下げて快速化と予想していたが、20時台の2017Yの快速化となり、新習志野で通過追い越しする設定となった。対海浜幕張以遠では有効本数が減り、各停の運転間隔が開く時間帯が生じる等、快速の旅客集中解消・運転間隔の均等化から逆行する流れであるが、これが快速設定のトレードオフとなる分かりやすい事例とも受け取れる。2031Aは途中追い越しはなく海浜幕張まで6分短縮するも、その海浜幕張で先発各停との運転間隔調整のためか3分停車する。続行の2027Yは1分程度繰り上げの調整がなされている。
旧ダイヤでは概ね10分間隔の各停設定であったところ、旧2017Yの快速化で京葉線各停の運転間隔が大きく開き東京19:55の次が20:15となるのは若干の懸念点ではある(途中に武蔵野線各停は挟むが)。
朝同様、快速設定のための調整の難しさが伺え、これら調整が許容できず18~19時台の快速設定を見送ったとすれば理解できなくもない。
休日上りダイヤ
続いて休日上りダイヤ。快速設定本数の多さもあるが、平日以上に変更が大きい。
蘇我発7時台の快速2本(632A・634A)については、休日ダイヤでは2本とも新習志野での快速通過追い越す設定となっている。9時台については、1本目の932Aは単純格上げ、2本目の984Aは新浦安で緩急接続する形態になった。
16時台については、1本目は単純格上げ、2本目は海浜幕張始発と運転順序調整のうえ、同駅始発との接続形態となり上手い設定になっている。なお、1608Aは途中の各停接続はないのだが、直前に上総一ノ宮始発各停(蘇我1619発)があり、こちらを快速化した方が運転間隔上も良さそうなのだが、それを見送った理由が判然としない。また、1616Aは海浜幕張17:00ちょうど発となり、狙ったわけではないのだろうが、設定としては上手い。
快速設定と関係ない修正があったのが19時台。蘇我方で運転間隔が大きく開いていた点の是正、海浜幕張での時間調整(旧1910Yは臨時特急待避)解消と、内房線・外房線との接続を目的としたものと思われ、明確な改善点もありもっとPRしても良さそうに思える。
休日下りダイヤ
最後に休日下りダイヤだがシンプルな変更になっている。
蘇我方は運転間隔を変えない(既存ダイヤに乗せる)ことを基本に9時台・16時台ともに日中のパターンの延長として、新浦安で先発各停の追い越しを行う設定となっている。20時台は1本目の2011Aは新浦安で緩急接続するが、2031Aは各停の快速格上げのみで各停接続はなく、東京発断面で2分後(2039発)で各停が続行している。
まとめ
文中にもコメントしているが、快速の時間調整停車、緩急接続を伴わない新習志野の通過追い越しの多数発生、海浜幕張での緩急接続(緩緩接続?)すら発生しており、あくまで緊急避難的な快速設定の色彩が色濃く見え、次期改正で直通先(内・外房線、武蔵野線)を含めた是正は不可避な印象を受ける。
また、各停を単純に快速化したことから快速通過駅の運転間隔が開く問題も生じており、快速通過追い越しと併せ、新習志野駅(習志野市)からの心象は良くなさそうである。
9月のダイヤ変更発表時にJR側は「夕夜間の速達性」と「快速通過駅の利便性」への課題認識を示しており、要改善項目はここに集約され良くも悪くも当事者であるJRが一番「わかっている」ことの裏付けにもなった。これらの是正が来年3月になるのか現時点では不明だが、沿線自治体と対話しながらとの見解もJRは示しており、状況を注視したい。
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