見出し画像

京葉線快速縮小問題を考える㉕2024年9月「ダイヤの一部変更について」を具体的に見る

前回は「速報版」として感想的なコメントが中心となったが、今回はどのような変更があったのか、具体的に見ていきたい。以下示すダイヤはプレスリリース掲載時刻からの推定に基づく。

平日朝上り快速(7時台)

ダイヤは想定。特急は省略

蘇我709発(上総一ノ宮始発)と756発(上総湊始発)が快速格上げとなった。2本目については新習志野で通過追い越しを行うと予測している。運転間隔が一定でなかったり、武蔵野線の間隔が大きく開くところもあり、実際にはもう少し修正がされる可能性が高いと考えている。快速としての設定のため千葉みなと〜海浜幕張の快速停車駅にも恩恵があり、例えば海浜幕張→新木場所要時間は30〜34分から24分程度に短縮する。

格上げとなる快速はいずれも遡れば通勤快速として設定されており、変遷を見ていきたい。

新旧比較。括弧書きは始発からの所要時間

蘇我756発快速(上総湊始発)は、通過運転と特急退避の解消で10分もの短縮とインパクトがあり、通勤快速比でも5分差で「通勤快速並み」も大袈裟ではない。

海浜幕張での緩急接続は駅ホームの混雑面から千葉支社長コメントでも否定されたが、たしかに海浜幕張まで各駅に停車する快速が新習志野で通過追い越しするぶんにはホーム滞留は各駅に分散し問題なさそうに思える。列車側、すなわち快速への旅客集中も懸念されるが、特に混雑する新浦安から先において「混む列車」と認知されれば前後列車に分散すると見込まれ、運行側として許容できる判断があったものと推測する。また、趣味的観点からは20数年ぶりに朝ラッシュ帯快速の新習志野通過追い越しが復活しそうな点も興味深い。

一方、蘇我709発快速(上総一ノ宮始発)は海浜幕張での時間調整が生じる点や先発追い越しがないことが響き、実のところ各停時代からの短縮効果は3分に過ぎず、ルーツとなった通勤快速との比較では15分も遅い。プレスリリースで記載があった旧通勤快速とそれを置き換えた各駅停車との比較での時短効果は大きく見えるが、注釈にあるように快速となったのは異なる列車(別スジ)であり、誉田駅での併合が無いことによる時短効果が大きい結果になっている。

なお、外房線からの旧通勤快速(蘇我744発)が復元されなかった点について、やはり最ピーク帯は全各駅停車による運行は譲れず、2024年ダイヤ改正の目的であった「混雑平準化」が奏功していると解釈できる。逆の視点から言えば、蘇我発709・756は快速運転が可能なラインとJRは判断していると解釈もできる。

休日朝上り快速(7時台)

ダイヤは推測

公表された新ダイヤ時刻そのままだと、東京方で現行武蔵野線と競合する。復元される快速2本がかつて快速として走っていた時代のダイヤを参考に、競合する武蔵野線1本目(東京着758)は西船橋で時間調整するか新浦安で緩急接続、2本目(東京着838)は西船橋停車時間を削り前倒しと推測した。また、快速2本目(東京着841)は2023年以前のダイヤ同様新浦安で各停と緩急接続と推測した。

ただ、各停の運転間隔が5~20分とかなり不均衡なので、前後の各停、武蔵野線ともども調整が入る可能性も考えられる。

平日夜下り快速(20時台)

ダイヤは想定

プレスリリースをもとに想定ダイヤを作成した。快速新ダイヤの記載から基本的に蘇我方のダイヤを崩さず、東京方で調整していると推測している。また、各停の追い越しはなさそうである。

内房・外房直通列車(20時台)変遷

続いて20時台の内房・外房直通列車の変遷として比較する。快速新ダイヤは東京~蘇我間で47~48分を要している。各停時代の所要時間との比較では1本目の君津行きは特急待避があり55分、2本目の上総一ノ宮行きは51分であったため、特急待避解消による短縮が大きい結果になっている。2023年以前のダイヤでの同スジ快速は44~46分で走っており、蘇我方でスジを動かさない、東京方での運転間隔維持等の制約から、途中駅での時間調整が生じており速達効果が減殺されている点が惜しい。それでも上り同様、新木場→海浜幕張で見ると28〜32分から23〜24分に短縮しておりメリットは大きい。

なお、快速復元時間帯が何故20時台なのかについては疑問が残るが、プレスリリースには「朝・夜時間帯に京葉線と内房線・外房線を直通する各駅停車4本(上下2本ずつ)を快速に変更します」との記載から、朝上り・夜下りの内房線・外房線各1本の快速復活がまず前提としてあり、JR千葉支社長コメントの通り下りピーク帯(18~19時台)の快速設定が難しく、20時台に設定したものと推測できる。

これは3月ダイヤ改正時の早朝上り快速2本復元と似た位置づけの暫定的な復活とみることも出来、この点については別途検討してみたい。

休日夜下り快速(20時台)

ダイヤは想定

休日も想定ダイヤを作成した。プレスリリースに示されたダイヤと蘇我方での現行ダイヤ維持を前提にすると、新浦安で緩急接続する形態がうまくはまり、2023年以前のダイヤでも緩急接続があったことから、上記予想としている。休日ダイヤでは東京~蘇我間44分で「速い快速」となっている。

その他の時間帯

プレスリリースでは朝・夜の内房・外房線に直通する快速とは別項で「都心と海浜幕張・蘇我方面相互間の速達性向上を目的として、京葉線の一部の各駅停車を快速に変更し、快速の運転時間帯を拡大します」とある。具体的には平日・休日の9時台、休日は加えて16時台に快速運転時間帯を拡大する内容となっている。

プレスリリースには詳細時刻は示されていないが、JR千葉支社長会見時の説明資料中にスジが描かれていた。

このスジは予定時刻を忠実に示していると思われることから、旧快速ダイヤ及び現行ダイヤから快速運行時刻を予測した。

ダイヤは推定

平日下り9時台につき、新旧ダイヤを比較する。

24秋ダイヤは想定

JR千葉支社説明資料を見る限り、9時台前半の快速が上総一ノ宮行きになっており、快速時代も特急待避があり遅かった状況から改善が見込まれる。海浜幕張から先は1本後のスジとなっているが、蘇我発時刻は949のため吸収可能と推測している。

次いで、休日上り16時台の比較。

24秋ダイヤは想定

上記の説明スライドを見る限り、外房線から直通する蘇我1619発(旧1620発快速)ではなく、その後の2本が快速として設定されそうなのだが、当該は旧ダイヤでも各停だったため、新たな設定になりそうである(2022年ダイヤでは近接する快速設定があるが、2024年ダイヤとは一致しない)。

外房線から直通するスジ(蘇我1619発)を快速化出来れば、日中の外房線直通列車は全て快速となり、運転間隔上も良さそうに思える。平日が快速に戻らない時間帯のため引きずられたとも考えられるが、平日ダイヤにおいても当該スジが駅や列車に許容できないほど混雑が生じるとは考えにく
く、快速化で良かったようにも素人目には思える。16時台については、休日は快速設定出来るが平日は出来ない事情があると思われるが、混雑面からの説明はできず謎である。

まとめ

「朝上り・夜下りに快速復活」「快速の所要時間は通勤快速並み」「日中の快速運転時間帯拡大」はインパクトがあり、沿線自治体首長も一定の評価をしておりメディアも好意的に伝えている。ただし、平日の快速増加数でいえば下り4本、上り3本のわずかな本数に過ぎず、最小の労力で高い成果と言って良さそうで、JR側の戦略としては成功といえる。

一方で自治体要望やJR自身も認めているように、夕方時間帯の快速設定がない等、依然として課題は残されており、沿線民としては納得しがたい点が残る。次回はこの点を深堀りしてみたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?